スバル インプレッサ S204 試乗レポート

スバル インプレッサ S204 試乗レポート
画像ギャラリーはこちら

STIが徹底的にこだわって開発したスーパー・インプレッサ『S204』

カタログ・モデルであるWRX STIグレードをベースに、スバルのモータースポーツ活動を統括するSTI(スバルテクニカインターナショナル)が様々な部分に渡ってより入念な手を加えた“スーパー・インプレッサ”が『S204』だ。一年前にリリースされた『S203』をたたき台としながらも「全ての部分の質感をさらに向上させる事が目標だった」というのがこのモデル。「受注を開始後1ヶ月半ほどで555台の予定台数が完売となった」というS203での前例を受け、こちらにはそれよりもやや多い600台という限定台数が設定された。

S203に比べると、フロントグリルやリアランプ周りの変更などベース車両が受けたマイナーチェンジに準じたフェイスリフトが行われてはいるものの、それ以外の見た目部分に大きな変更策は講じられていない。ちなみに、インプレッサを組み立てる群馬県の矢島工場の構内で「一度完成したベース車両の必要部分をバラし、新たなパーツを組みなおすカタチで生産される」というこのモデルの場合、購入時には架装車両としての“持ち込み登録”が必要に。また、新車保証は「ベース部分は通常のスバル車同様の扱いで、STIパーツに関しては一年間」という扱いになるという。

STIならではのこだわりのアイテムとプレミアム感

基本的には「S203で確立されたエクステリア/インテリア・デザインのテイストを継承する」のがS204のルックス。ドライカーボン製のフロント・アンダースカートや、トランクリッドの極力後端近くにマウントされたリアスポイラーの採用などにより、直進性や操安性、トラクション能力をより向上させるというエアロダイナミクスへの取り組みの手法ももちろん変わっていない。

アンダースカート同様、やはりドライカーボン製となるシェルを用いるレカロ社との共同開発によるフロントシートも、S203からのアイテムを受け継いでの採用。ただし、そのパッドの入れ方にはさらなる工夫が施され、「より一層のホールド性を得るのに成功している」という。また、目に付きにくい部分ではフロア全体に毛足の長い“マスバック付きカーペット”を用いたのもS203とは異なるポイント。「重量的には3kgほどのプラスとなるものの、ロードノイズやトランスミッション・ノイズの低減に効果が大きいので敢えて採用した」とされている。

管楽器が放つかのような惚れ惚れとするサウンドと強烈な加速力

S204の走りには、まさに『鮮烈』という言葉がピッタリ来る。ちょうど一年前に乗ったS203の鮮やかな走りもまだ記憶に色濃く残っているが、S204の走りは確かにそれを上回る上質さだ。

コンピュータのマッピング見直しにより、スペック上はS203用に対して最大トルクが1kgm増しというのがS204用のEJ20型エンジン。結果として「3000~6000rpmという領域でのトルク全般が上乗せになった」というこの心臓は、アクセルペダルの踏み込みに応じ本当に惚れ惚れとする上等な管楽器が放つかのようなサウンドと共に、強烈な加速力を味わわせてくれる。

シフトフィールに優れ、ギア比の決め方も適切な6速MTも、もちろんそんな優れた加速感に磨きをかける一因だ。「真にベストなセッティングをもう一度追い求めたかった」という理由からS203では用いられていた調整式のダンパーを廃し、タイヤやスプリングには同一アイテムを用いつつも改めて専用のチューニングが施された足回りはやはりかための設定。が、それでもボディ振動の減衰速度が一層高まりより快適に感じられたのは、どうやら新採用“パフォーマンス・ダンパー”の効果も大きいようだ。

サスペンション取り付け部にレイアウトされ、ボディへの入力を減衰させるのが、ヤマハ発動機との共同開発によるというこの新アイテムの役割。「そもそもはヤマハ発動機から富士重工に対してオファーがあり、後にSTIとの共同開発を経てS204に採用した」というのがこの一品。実際、鈴鹿サーキットに類似したレイアウトのヤマハの袋井テストコースでの走行でも、「その効果が絶大な事は明らか」と言う。

官能的で鮮烈極まるその走りのポテンシャル

まさにスバル車のDNAともされる“ドライビング・プレジャー”を際立って高いレベルで余すところなく体験させてくれるのがこのS204なるスペシャルなインプレッサ。480万円を超えるその価格はベース車であるWRX STIよりも約140万円も高い計算になるが、しかしどこをとっても官能的で鮮烈極まるその走りのポテンシャルは「そんな価格もこれなら当然」と納得させてくれるものでもある。

惜しむらくは、「すべてに高い質感を!」というこのクルマの開発コンセプトに照らしてみると、パッドの張り出しの強いシートがスマートな乗降性を許してくれなかったり、この性能でこの価格であれば国際的には標準装着で当然! と思われるスタビリティ・コントロールのシステムが用意をされていないのが奇異に思えてしまったり…といった程度のもの。これほどに飛びぬけた運動性能の持ち主には、本来この程度のプライスタグが与えられて然るべきであるはずだ。

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

スバル インプレッサの最新自動車ニュース/記事

スバルのカタログ情報 スバル インプレッサのカタログ情報 スバルの中古車検索 スバル インプレッサの中古車検索 スバルの記事一覧 スバル インプレッサの記事一覧 スバルのニュース一覧 スバル インプレッサのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる