ドキッ!“スバルだらけ”の雪上試乗!WRX STIやレヴォーグ、さらにはスパイクタイヤのBRZまで!(1/2)
- 筆者: 山本 シンヤ
スバルの四駆を雪上で試せる貴重なイベントが今年も開催
4つのタイヤを全て駆動輪として用いる「四輪駆動(=AWD)」。
当初はジープなどを筆頭に悪路走破性(=トラクション)を高めるためのシステムとしてスタートしたが、1980年に登場した世界初のフルタイム式を採用したアウディ・クワトロの登場以降、舗装路面での操縦安定性や旋回性能、更には快適性や安心感を生むシステムとして、現在では車種カテゴリーを問わずに浸透している。
そして、日本メーカーのなかで古くからAWDに強いこだわりを持っているのが“スバル”だ。同社における2015年の世界販売台数のうち、実に98%はAWDである(OEM車を除く)。
さらにスバルのAWDシステムは現在、なんと4つものバリエーションが存在する。スバルの車種数を考えれば、これは明らかに多い。ただし、スバルのエンジニアは「うちはAWDが当たり前ですので」と、それを声高らかにアピールしようとはしない。
筆者は「スバルにとっては当たり前でも、ユーザーにとっては当たり前ではない事はたくさんある。もっとアピールすべきだ!」と言い続けてきた。
そんな声がスバルに届いたのか(!?)今年も北海道の千歳モーターランドにスバルAWDを一同に集めた「スバルAWDオールラインナップ雪上試乗会」が開催された。
ドライバーの腕次第でコントロールは自由自在/VTD-AWD
今回は、比較的フラットな「ハンドリングコース」と起伏に富んだ「悪路コース」、そして、振り回して走れる「ジムカーナコース」の3つを用いたコースで試乗した。
1つ目は「VTD-AWD」を採用するWRX S4だ。
このシステムはスポーツドライビング向けのAWDで、高出力ユニットとの組み合わせ。複合遊星歯車タイプのセンターデフにより駆動力配分は45:55と後輪寄りの駆動力配分となっている。フロントタイヤの駆動力方向の負担が減るので、回頭性や旋回性能を高めることが可能だ。
もちろん、走行状況に応じてトルク配分は油圧多板クラッチにより直結状態(50:50)まで連続可変できるので、トラクション性能や安定性も高度にバランスしている。進入時にフロントタイヤのグリップを意識しながらキッカケをしっかりと作ってさえあげれば、後は豪快にテールスライドをさせながらの旋回も、AWDのメリットを活かした安定した旋回もドライバー次第で作り出せる。
もちろん「曲がるAWD」と言う意味ではWRX STIのDCCDが一番だと思うが、「安心と愉しさ」を高度にバランスさせる、と言う意味ではこのVTD-AWDが最良のシステムだと感じた。
VTD-AWDは、少し前まではスバルAWDのメインとなるシステムだったのだが、年々採用車種が少なくなって現在はWRX S4とレヴォーグ(2.0リッター)のみ。燃費が厳しいことが原因のようだが、それをクリアさせつつ進化していってほしいシステムだ。
安定性重視だが他メーカーとは一線を画す/ACT-4
2つ目は、フォレスターとアウトバックをはじめとする多くのスバル車が採用する「ACT-4」。
ACT-4の駆動力配分は60:40だが、トランスミッション内にあるMP-T(MultiPlateTransfer)が走行状態に合わせて前後輪の駆動力配分比をリアルタイムに可変(100:0から50:50)。構造がシンプルで軽量設計なことも特徴の1つとなっている。
かつてはベーシックエンジン搭載モデルに採用されていたが、現在は280psを発揮する2.0リッター直噴ターボDITを搭載するフォレスターXTにも採用するなど、高出力エンジンとも組み合わせられている。
また、フォレスターとアウトバックにはエンジン/トランスミッション/AWD/VDCなどを統合制御し、スリップを予兆することで悪路&登坂時の走破性を更に引き上げる「X-MODE」も設定。
VTD-AWDに対してACT-4は安定性重視のAWDシステムと言えるが、逆を言えばリアが無駄に出ないので運転が非常に楽なのが嬉しいポイントでもある。トルク配分が緻密なこととVDCの制御を上手に活用することで、挙動を安定させながら曲がる方向に導いてくれる印象で、他のスタンバイ式の生活四駆とはレベルが違う。
ちなみに、次期モデルがすでにスタンバイしていると言う噂もあるフォレスターだが、現行モデルとしてのメリットは「第3のブレーキ」であるハンド式サイドブレーキである点。進入のキッカケを作るには、嬉しいアイテムだろう。
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