“スバル好き”視点から見るスバル レヴォーグ 新型車解説(中編)/マリオ高野(1/4)
- 筆者: マリオ 高野
マリオ氏による「スバルヲタ」目線の新型車解説“中編”!
「EyeSight ver.3」の生産が追いつかないため、発売が6月20日へ延期となった「スバル レヴォーグ」。もはや、喉から手が出てしまったのでは、と思うほどに待ち焦がれている人にとって、大変残念なニュースとなりました。
しかし、これは納車を急ぐあまり突貫工事的に生産を優先するよりも、万全の体制で丁寧に作り込まれたクルマを届けたいというスバルの良心であるともいえます。
予約注文をして納車待ちの状態にある人も、納期の長さに躊躇して、購入するか否かで悩み中の人もレヴォーグの詳細情報を読み漁りながら「その時」が来るのをお待ちください。
そんなレヴォーグについての、スバルヲタ目線による詳細ガイドの“中編”であります!
(マリオ氏によるレヴォーグ解説は、全3部作となっております。なお、前編を見てない!という読者の方は「“スバル好き”視点から見るスバル レヴォーグ 新型車解説(前編)」からご覧頂ければ幸いです[編])
レヴォーグ搭載のエンジンは「安直な流用」では無い!
まずは、レヴォーグのパワートレーンについておさらいすると、搭載エンジンは「2リッター」と「1.6リッター」の2種類で、いずれも「DIT」の名が付く直噴ターボ。
ですが、まずここで絶対に誤解してはならないのは、レヴォーグは既存のエンジンを安直に流用しているわけでは決してない、ということです!
レヴォーグの「2リッターDITエンジン」は、「300ps/40.8kg-m」という出力とトルクこそレガシィと同じスペックながら、バルブスプリングなどを強化したことなどにより、レブリミットがレガシィの「6,100rpm」からレヴォーグでは「6,500rpm」まで引き上げられております。
高回転域における最後の「+400rpm」がもたらす効果は想像以上にデカく、車重と出力は現行レガシィとほぼ同じながら、レヴォーグではより刺激的な炸裂感が得られるようになっているのです。
レヴォーグとレガシィの2.0DITにおけるパワーフィールを比較すると、レヴォーグのほうが20~30psアップか車重が10%ほど軽くなっているのでは、と感じられるほどですが、この体感加速の違いは許容回転の向上にあります。
そして、1.6リッターDITについてはなんと!共通するパーツはクランクシャフトのみで、それ以外は〝すべて新設計〟!(涙)
エンジンの型式は両方とも「FB16」なので、ほぼ同じエンジンかと誤解されがちですが、型式は同じでも実質的にはまったくの別物と認識すべきエンジンなのです。
1.6リッターDITの出力スペックは「170ps/25.5kg-m」と、例えばプジョーのRCZ Rなど同じ1.6リッターターボで270psという高出力を発揮しているものもありますが、レヴォーグの1.6DITはピークパワー追求型ではなく、実用域の“モリモリ感”とエコカーと呼べるほどの“低燃費”、そして驚きの“レギュラーガソリン仕様”としていることから、「万能性」を高い次元で追求したエンジンといえるでしょう。
11.0という高圧縮比のターボであるにも関わらず、レギュラーガソリン仕様としたことは本当に驚異的で、ノッキングを抑えるために極めて緻密な制御と創意工夫が凝縮された、世界に誇れるユニットなのです。
世界で最も贅沢なユニット「FB16」
そもそも、世界の4気筒1.6リッターのエンジンの中でもFB16は“最も贅沢なユニット”と呼べるほどコストがかけられたエンジンで、先に出された2リッターのFB20の縮小版ではなく、これまたほとんどイチから新設計されて誕生したという経緯があります。
さらに遡った話をすると、水平対向エンジンは4気筒でもヘッド部分が2つもあるなど、普通に作っても直列4気筒よりもコストと生産の手間がかかる面倒くさいエンジンです。スバル以外のメーカーがどこもやらなくなった理由はそこにあるわけで、同じ排気量の直列4気筒エンジンよりもプレミアム性が高いという事実を思い出しておきましょう。
FB16DITのフィーリングは、中低速域になると排気量がアップするかのように自然とトルクが盛り上がり、必要にして十分なターボの過給感をしっかり実感させつつも、エコ重視のドライバーにアクセルを踏み続けることを躊躇させない、良い意味での「ほどほど感」が得られることが印象的でした。
まさに「インテリジェントDIT」の名の通り、知的なエンジンという印象です。
この記事にコメントする