日本版コンシューマレポート-スバル レガシィ ユーザー試乗レビュー-(2/6)

日本版コンシューマレポート-スバル レガシィ ユーザー試乗レビュー-
米国テキサス州内のスバルティーラー 米国テキサス州内のスバルティーラー 2009年 北米国際自動車ショーで発表された「レガシィコンセプト」 画像ギャラリーはこちら

自動車メディアvsユーザー、「レガシィ」の進化で対立!?

本来なら、まず「エクステリア」の解析から入る日本版コンシューマレポート。だが「レガシィ」編では、そのルールに従わない。

当ページを通常、最後の纏めである「総合評価」の代わりとさせて頂く。

なぜ今回だけそうするのか?なぜ「レガシィ」を特別扱いするのか?それは、現行「レガシィ」を語る上で、「避けて通れない問題」があるからだ。

それは、日本の多くの自動車メディアが「(現行)レガシィ叩き」をする問題だ。

自動車評論家のなかには、自動車雑誌の誌面上で「かなりハッキリとネガティブな意見」を書く人もいる。また、誌面やウェブ上で本音を書かない/言わないまでも、かなり多くの自動車メディア関係者が、現行「レガシィ」についてネガティブな意見を言う。

「これはもう、レガシィではない」「レガシィはアメリカばかり向いている」「レガシィは日本のユーザーを切り捨てた」という類だ。

これらは、走行性能や質感、アイサイトなど電子機器系に対する技術論ではない。「日本でのレガシィのあるべき姿」に対する「感情論」の域にある。

そしてこの問題は、事がアメリカに関わるだけに、アメリカを活動拠点とする筆者に対して、数多くの自動車メディア関係者から直接的に意見を聞かされ、または筆者への個人的感想を求められることが多い。

これが現行「レガシィ」に関する、日本の自動車メディアの実情だ。

また、以前から感じていたのだが、日本の自動車メディア関係者は、扱っている内容が輸入車/外車、国産車を問わず、「純粋なスバル好き」が実に多い。

「小規模ながら、独自技術で大メーカーと戦うスバルの姿」を愛して止まない人たちが多い。彼らは自分自身のなかに「スバルの理想像」を描いているのだ。

米国テキサス州内のスバルティーラー米国テキサス州内のスバルティーラー

確かに、「レガシィ」における第4世代から第5世代への進化は急激だった。「それまでの欧州車イメージが一新された」という表現は正しい。

さらに、富士重工業・森郁夫社長はこの数年、「アメリカが当面の最重要市場」とメディアの前で公言している。

「インプレッサ」「フォレスター」そして「レガシィ」と続いたFMC(フルモデルチェンジの業界用語)で、「アメリカでより多く売れるクルマを目指す」という方向性があったのは事実だ。

そしてこの戦略、見事に当たった。

正直な言い方をすれば、当のスバル関係者自身が驚いてしまうほど、アメリカでの販売シェアが拡大。三菱を引き離し、マツダを抜き、BMWに迫るほどのシェア急拡大となった。

そしていま、ユーザーのクルマに対する趣向性がアメリカに近い中国でも、一連の「FMC」は追い風となっている。

またここで、公平を期するため、スバル側の主張を明確にしておきたい。

筆者は2009年4月、米ニューヨークショーでの「レガシィ」(この時は北米仕様セダンとアウトバック)世界初披露の場にいた。

そして、第4世代・第5世代「レガシィ」のPGM(プロジェクト・ゼネラル・マネージャー)を務めた、スバル商品企画本部長・執行役員の日月(たちもり)丈志氏から、次の言葉を聞いた。

以下は、筆者執筆の日経BP社Tech-onNews記事からの一部抜粋だ。

「日本の雑誌などで新型レガシィは北米優先だと報じられている。そうではなく、これまでがあまりにも日本市場に偏った商品だった。今回は北米市場での価値を高めた。

だが、新型で日本を二の次にしたつもりはまったくない。レガシィは300万円以上の高級車であり、また既存ユーザーは過去20年間、レガシィと共に歳を重ねてきた。こうしたことから日本でのレガシィは、高級車として成熟するべき時期だ」(日月氏)

こうした一連の流れをうけて今回、日本版コンシューマレポートではユーザーにこう問うた。

設問は、

「日本の多くのメディアが、レガシィ/アウトバックが欧州車イメージから米国車イメージに転じた、と言います。なかには、かなりネガティブな意見を言うメディアもいます。これについて、あなたはどう思いますか?」

その結果(当ページ下部を参照)を見て、筆者は本当に驚いた。

感情論を持ち出す方は全くいない。皆さん、実に冷静に「いまの日本の現実」を把握していたのだ。

また、これらを筆者の判断で、ポジティブな意見、ネガティブな意見、ニュートラルな意見で振り分けた結果もグラフ化した。ちなみに、筆者の意見は「ニュートラル」である。

いま現在の日本のユーザーは、世に溢れる数多くの情報を「自分自身の尺度でしっかり振り分けている」。そして、最終的には「自分自身の考え」で、欲しい物を、欲しいタイミングで買う。

以下の全国ユーザーのご意見、こうした日本の現実が見事に証明された内容である。

この現実を、富士重工業の商品企画、開発、国内営業、海外営業、そして経営陣の関係各位には是非、直視して欲しい。

そして、日本のユーザーの「正しくも厳しい目」の存在について、いま一度、認識して頂きたい。

では、日本版コンシューマレポート「レガシィ編」、次頁からは今まで通りのパターンへと戻らせて頂く。

日本の多くのメディアが、レガシィ/アウトバックが欧州車イメージから米国車イメージに転じた、と言います。なかには、かなりネガティブな意見を言うメディアもいます。これについて、あなたはどう思いますか?

ポジティブな意見

・言われて見れば何となくだが、実際乗ってみると風評は気にならないぐらい走りはいいです (シまさん 愛媛県)

・よい転向であり賛成である (シモムラさん 福井県)

・デザインが悪いとか サイズが大きくなりすぎたとよく聞くが 自分的にはそうは思わず 現在のデザイン、サイズになったからこそ 購入しました (いわてさん 岩手県)

・そんな事は、無いと思いますなかなかいい車だと思う (フクトミさん 鳥取県)

・私個人的には以前よりも今の方が好きである。 (ツツミさん 東京都)

・そんなことはない・・・良いと思います。 (とっち☆さん 滋賀県)

・確かに大きい車で、ごっついイメージがあり、米国車イメージという人もいるかもしれないが、スバルの思いがこもった車なので、よいと思います。 (ニックさん 千葉県)

・現行のデザインはレガシィに似合っていると思われるので、このままでいいと思う。 (カワセさん 福井県)

・自分も米国車イメージになったと思いました。しかし実際に運転すると車内が広く快適であり、視界も良好でした。これで外観がシャープだったら、さらに評価が上がります。 (ヒロムさん 愛知県)

・欧州車イメージから米国車イメージに転じた云々言う評論家は欧州車大好きの20年時代の古い人たち。今や欧州車が日本車のデザインを真似する時代。アメリカをメインマーケットにするのだからアメリカンテイストもある日本車デザインになるのは必然ではないのでしょうか? (nqi11455さん 群馬県)

・結論的に言うと、米国車イメージに少し転じながらも、特長ある立派な日本車だと思います☆確かに、ボディサイズなども北米をかなり意識している感じはしますが、軽量化を図り、乗り心地の快適性を高めるなど、日本のスバルの特長も充分に感じられるからです♪ (ネコちゃんさん 福岡県)

・それでもレガシーはレガシーです。唯一無二! (ゆかうさぎ9さん 大阪府)

・自分もそのようなイメージを少し持っていたが、スバルならではの走行性の良さは何も変わらないと実感した。特にカーブでの運転のしやすさを感じたし、燃費や価格を考慮すると、実用性重視で良いと思う (ヨシさん 青森県)

ネガティブな意見

・米国車イメージがある。大きさ、デザインには賛成できない。エンジン、CVT変速機等はすばらしいのに残念 (クワノさん 富山県)

・デザインがどこか大味になってしまっており、よくないと思う。もう少し塊感のあるデザインを目指してほしい (ヒガシタニさん 福井県)

ニュートラルな意見

・アウトバックに関しては多少分かりますが、それ以外はまったく感じないと思います (バンさん 埼玉県)

・実際にサイズが北米向けになったのは実感できるが、かといって走りは欧州車っぽいところは残っている (のりぼうさん 兵庫県)

・販売台数を考えると米国にシフトするのは仕方がないと思います。アウトバックは特に米国人に人気があるようで、乗ってみるとそれがなんとなく分かります (pontaさん 奈良県)

・その通りだと思うが、北米での販売がメインなのでしょうがないと思う (ナナさん 山形県)

・メディアは大げさに言い過ぎだと思う。だから私はそれを正しいとは思いません (イシトさん 千葉県)

・特に気にならない (レオゴンさん 大阪府)

・自分はそうは思わない (ボン太さん 鹿児島県)

・アメリカの市場規模はなんといっても大きいので、そこをターゲットにするのは仕方がないと思う (プライスさん 秋田県)

・デザインが変ったような気がします (ヤナギハラさん 北海道)

・好ききらいがあると思う (マツダさん 埼玉県)

・欧州車も同じように大きくなっているので何とも言えない (はるさん 福岡県)

・今回試乗して感じた満足感から考えると他の方には米国車イメージを感じさせるネガティブな転換だとしても個人的には問題ありません (キスケさん 愛知県)

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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