スバル、「アウトバック」をフルモデルチェンジ ~2014ニューヨークショーで初公開~
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次期レガシィは「B4」セダンと「アウトバック」のみのラインナップに
スバルは2014年4月17日(現地時間)、開催中の2014年ニューヨーク国際自動車ショー会場にて、新型「アウトバック」[北米仕様車]を世界初公開した。
既に一部報道などで明らかにされているように、2014年に登場する予定の次期型レガシィシリーズには、ステーションワゴンモデル(レガシィ ツーリングワゴン)は用意されていないと言われており、日本市場においてはその後継として、新型「レヴォーグ」が担う。そのいっぽうでレガシィブランドでは「レガシィB4」(シカゴオートショー2014で発表)と今回の「アウトバック」のみがラインナップされる模様だ。
クロスオーバーワゴンの老舗ブランドが5代目へ進化
スバル 新型 アウトバックは、今回のフルモデルチェンジで5代目。日本市場では、1995年に登場した初代モデル(レガシィグランドワゴン⇒レガシィランカスター)や、2代目モデル(レガシィランカスター)と独自の名称で呼ばれていたが、3代目よりはアウトバック(レガシィアウトバック)で統一されている。
アウトバックは、積載性能の高いレガシィツーリングワゴンをベースに、SUVの走破性と、セダンの快適な室内空間を併せ持ったクロスオーバーモデル。初代モデルの北米でのヒットを受けて、世界の自動車メーカーの多くが同様のコンセプトを持つフォロワーを生み出したほど、その影響力は大きかった。
そんなクロスオーバーワゴンのパイオニアが送り出す新型は、第三世代のアイサイトなど安全装備もさらに充実。質感を高め広く快適になった室内空間や上質な走り、そして堂々たるデザインなど、全ての面で新しくなった。
■メカニズム
<シャシー&ボディ>
クラスを超えた高い走行性能を追求。シャシー、ステアリング、サスペンション、ブレーキなどあらゆる点を見直し、豊かなロードクリアランスと操縦安定性を更に高い次元で両立し、乗り心地についても1ランク上の上質な走りを実現。
・ボディやサスペンション取付部の剛性を高め、サスペンションのしなやかさを損ねることなく、かつアウトバック専用のアライメントを新規設定することで腰高感を抑え、ロールを抑えた質感の高い走りを実現。
・サスペンションは作動フリクションを低減し、スタビライザーの効率を向上させるよう基本レイアウトからの効率向上を徹底的に追求、フロントストラット、リアショックアブソーバーの最適化と合わせて、操縦安定性と乗り心地を更に高い次元で両立し、1ランク上の上質な走りを実現。
・リアサスペンション及びその車体への取付部の剛性を高める為に、フレーム形状を一新させ、乗り心地の向上とフロア、シートの振動を低減。
・ステアリングはギヤ比を従来型の16.5:1から14.0:1に高め、ダイレクト感と俊敏性を向上。軽量・ 小型・高出力性能のコントロールユニット内蔵電動パワーステアリングを採用するとともに、モーター出力の向上と細かなモーター制御を行うことで正確かつ自然な操舵感を実現し、燃費性能向上にも貢献。
・アクティブトルクベクタリングを採用し、旋回性能、操舵応答性の向上を実現。
・電動パーキングブレーキをリアブレーキキャリパ内蔵式とすることにより、応答性とともに静粛性を向上。
・外観の質感向上と合わせて、走行時の空気抵抗低減も実現。特に車両後方の空気の流れを改善することで、旧型比10.6%の改善を実現し、高速走行時の燃料消費低減にも大きく貢献。
<エンジン(2.5リッター水平対向 4 気筒 DOHC NAエンジン)>
FB25型水平対向エンジンの中速トルクを上げ、実用域での扱い易さや軽快な走りを実現。また、吸排気系、燃焼系を中心に大幅な進化を織込み、燃費性能の向上も果たした。
・インテークマニホールド、TGV(タンブルジェネレーションバルブ)は従来型の構造を踏襲しつつ、TGV のバルブ位置と吸気ポート形状をよりシンプルにすることにより、高回転領域の体積効率と低回転領域の燃焼効率を両立させ、出力および燃費性能向上を実現。
・吸気音をチューニングし、心地良いエンジンサウンドを実現。
<エンジン(3.6リッター水平対向 6 気筒 DOHC NAエンジン)>
スバルが長年にわたり性能を磨き上げたEZ 型水平対向エンジンを高トルク対応リニアトロニックと 組み合わせることで、ドライバビリティ向上と燃費性能向上を図った。
・更なる環境対応を可能とするマイコンを搭載し、より軽量となった次世代ECUを採用。
<トランスミッション(リニアトロニック(2.5リッター/NA) )>
従来型より採用したリニアトロニックを環境性能と動力性能の両面で進化させ、燃費性能の向上を図る。また、リニアトロニック特有の滑らかな変速性能と同時に、新ステップ変速制御や6速マニュアルモードのパドルシフトを採用することで、常にドライバーの意思に忠実かつ軽快な走りを併せ持つ走行性能を実現した。
・トランスミッション内部のフリクション低減により燃費性能の向上を図るとともに、ダイナミックダンパー追加などにより振動騒音を低減し、走行時の静粛性の向上を実現。
<トランスミッション(高トルク対応リニアトロニック(3.6リッター/NA) )>
3.6リッター水平対向エンジンに高トルク対応リニアトロニックを組み合わせることで、動力性能と環境性能を高次元で両立。従来型の高トルク対応リニアトロニックに対して、トルクコンバータ、オイルポンプ、前後進機構を新設計するとともに、新ステップ変速制御や6速マニュアルモードのパドルシフトを採用し、ドライバビリティ、静粛性の向上を図った。
<安全>
高い強度をもつボディ構造をベースに、伝統のアクティブセーフティ性能とパッシブセーフティ性能の両者をさらに進化させることで全方位の安全性能を高めた。予防安全機能と運転負荷軽減機能を大幅に進化させた新型アイサイトや、BSD(Blind Spot Detection:死角検知機能)・LCA(Lane Change Assist:車線変更支援)・RCTA(Rear Cross Traffic Alert:後退時支援)から成る後側方視界支援機能、及びコーナーの曲がり方向に合わせて前方の夜間視界を確保し易くするSRF(Steering Responsive Fog Lights)、を新規採用した。
<予防安全(新型アイサイト)>
・ステレオカメラを全面的に一新。視野角、視認距離を約40%拡大することで、プリクラッシュブレーキや全車速追従機能付クルーズコントロールといった予防安全・運転負荷軽減機能を更に進化させた新 型アイサイトを採用。
<予防安全(SRF[Steering Responsive Fog Lights]>
・SRFの採用により、コーナリング時に片側フォグランプを自動で点灯させ、夜間のコーナリング時の視 認性を向上。対向車への配慮として、ステアリング操舵角、走行スピードに反応して自動点灯、 消灯制御することが可能。
<予防安全(後側方視界支援機能)>
(1)BSD(Blind Spot Detection:死角検知機能)
・後方視界が C、Dピラーに遮られて死角となってしまうエリアに存在する車両を検知して、LEDランプを点灯させることでドライバーに注意を促す。
(2)LCA(Lane Change Assist:車線変更支援)
・隣車線において高速で接近中の車両が存在している状態で、ドライバーがウィンカー操作をした上で 車線変更を試みた場合、ドアミラーに付いているLEDランプが点滅することで、ドライバーに対して警 告を行う。
(3)RCTA(Rear Cross Traffic Alert:後退時支援)
後退時に左右から接近してくる車両を検知し、衝突の危険性があると判断した場合にドライバーに警 報音を発する。ドライバーがギアをリバースに入れて後退中に、左右から車両が接近してきた場合 に、ドアミラーに付いているLEDが点滅するとともに、リヤビューカメラ表示モニター内にアイコンを表示し、スピードメーターから警報音を鳴らすことで、ドライバーに対して警告を行う。
■デザイン
<エクステリア>
スバルのフラッグシップクロスオーバーモデルにふさわしい質感と高い機能性をデザインでも表現することを目指し、デザインテーマを「“アウトバック”を極める」と設定。乗用車とSUVの長所を併せ持った特徴的なシルエットと豊かなロードクリアランス、一目でライフスタイルの広がりを連想させるタフ&ラギッドなスタイリングといった、これまでアウトバックが築き上げてきた特有のスタイルをより強く表現することを目指した。
・基本となるプロポーションでは広く快適なキャビンを継続しつつ、ダイナミックで安心感を伴うボディ造形とサイズアップしたタイヤと張りのあるフェンダーパネルによりAWDで路面をグリップする足腰の強さを表現。また、丹念に造りこまれた表情豊かなボディ面は、フラッグシップに相応しい品質と車格感をより一層高める。
・ボディ下部を取り巻くプロテクションパネルはライフスタイルのフィールドを広げる機能性だけでなく、アクティブでラギッドな印象をアピール。また、大型フロントフォグランプや機能的なルーフレール、圧倒的なロードクリアランスなどを備えることで、アウトバック特有のスタイリングをさらに進化させた。
・フロントはバンパーとの一体構造を採用したヘキサゴングリルとホークアイランプによるスバルのファミリーフェースを構成しつつ、そのフロントノーズから始まる立体的な造形をボディへ連続させる事で、よりダイナミックな造形表現を実現した。
・リアコンビランプにもヘッドランプと共通のモチーフを採用することにより、精悍な印象を前後で統一。またテール&ストップランプの光源にLEDを採用し質感を高めるとともに、燃費の向上及び夜間の視認性を向上させた。
<インテリア>
「コンフォート&スポーティ」をデザインテーマとし、上質さ、快適さを格段に向上させながら、スポーティなドライバーズエリアやインフォテイメントの愉しさを提供する新世代インテリアを実現。
・運転席周りには立体感のある筒型2眼メーターと多機能スイッチを備えた3本スポークステアリングを採用するとともに、メーター中央のディスプレイには大型のカラー液晶パネルを搭載、更に上級仕様ではメーター部にブルーリング照明を配して先進的なスポーティ感を強調。
・堂々としたセンターパネル部には、直感的なタッチ操作が可能でワイド&フラットなセンターディスプレイを搭載。新世代のインターフェイスデザインにより見易さや操作性を一段と高め、ナビやオーディオをはじめ各メディアとのコネクティビティを手軽に愉しむことが可能。
・スバルのフラッグシップクロスオーバーに相応しいインテリア品質として各部の素材や触感にこだ わる。ソフトパッド化されたダッシュボードやクッション厚を増したアームレスト、ドアグリップの断面や触感にまで配慮を重ねることで乗るたびに心地よさを実感できる。
■パッケージング/ユーティリティ
視界の良さ、居住空間の広さ、世界最高水準の安全性を極めて高効率なパッケージで実現し、スポーティで力強いスタイリング、明るく広々と開放感があり、ゆったりくつろげる快適な車内空間を実現した。
・基本諸元スペックは車両の取り回し性能に影響しないレベルの拡大に留め、ドア構造の合理化、ドアサッシュの薄肉化やルーフ部車体骨格の見直しなど各部をリファインする事で充分な空間を確保。特 に乗員の肩、肘、腰まわりの空間、後席の足元スペースを広げることで、安全性をさらに高めながらも快適な車内空間を実現した。
・Aピラーを前出ししキャビンエリアを拡大。またドアミラーのショルダーマウント化やフロントパーテーションガラスの採用により、ドアミラー前方の死角を減らし、前方視認性を高めた。これにより安全性、室内の開放感を一層向上させた。
・クロスバータイプのルーフレールにロープフックを新規採用するとともに、自転車などをルーフに積み込 む際に足を置くことのできるステップをサイドシル上面に設定することで、より多彩で確実な積載性を実現。
・パワーリアゲートを採用し、リアゲートを電動で開閉可能にするとともに、任意のリアゲート開度設定メモリー機能や、反転機能を採用することで、ルーフキャリアに長尺物を積載した時のリアゲート開閉など、幅広いシーンでの優れた利便性を実現した。
【新型アウトバックの主な仕様】(米国仕様)
2.5i | 3.6R | |
---|---|---|
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,817 x 1,840 x 1,680 mm | |
ホイールベース | 2,745 mm | |
エンジン | 2.5リッター水平対向 4 気筒 DOHC NA | 3.6リッター水平対向 6 気筒 DOHC NA |
排気量 | 2,498cc | 3,630cc |
トランスミッション | リニアトロニック | 高トルク対応リニアトロニック |
最高出力 | 175hp/5,800rpm | 256hp/6,000rpm |
最大トルク | 174lb.-ft./4,000rpm | 247lb.-ft./4,400rpm |
タイヤサイズ | 225/65 R17、225/60 R18 | 225/60 R18 |
乗車定員 | 5名 |
※リニアトロニック:フル電子制御自動無段変速(CVT)
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