スバル WRX STI S206 試乗レポート/河口まなぶ(1/3)
- 筆者:
- カメラマン:茂呂幸正
良い意味で“裏切られた”S206の乗り味
分かっちゃいるのにまた裏切られたっ!
STIが送り出したS206は思わずそんな風に叫びたくなる1台。というのもSTIのクルマって乗る度に良い意味で期待を裏切られるのだけど、今回もまた同じ手にヤラレちまった。忘れた頃にハッとさせられる。
で、今回はその見た目から想像するイメージとは180度違う乗り味に裏切られた、というワケ。
STIのコンプリートモデルには、エンジンやタイヤはノーマル同様でスプリングやショックアブソーバー、補剛パーツを中心にチューニングしたtSがあり、さらにその上にこの「S」シリーズが据えられる。Sは手が入る範囲が広く、エンジンやタイヤまでがノーマルとは異なるものに変更されるわけだ。
tSでも十分にノーマルよりも優れた「調律」が施されて気持ち良さは相当にアップし、運転が上手くなったように感じさせる走りを手に入れている。
だが、Sとなるとそれ以上でtSの良さに加えて独自の味わいがこだわりを持って投入されている。
実はここまで手を入れるのは、相当に本気じゃなきゃ無理。なんせエンジンやタイヤにまで手を入れると、例えばVDCなどはそれ専用にチューニングを行って承認を取る必要もあるなど、手間はもちろんお金も相当にかかるからだ。
事実、今回のS206はそうした手間ヒマをかけて投入されただけあって、冒頭の良い意味での裏切りが、これまでのどのSTIのモデルよりも強く感じられたのだった。
走らせてまず圧倒されるのは、乗り心地の良さ。これには心底驚かされる。
というのも、S206はまず見た目がいかつい。
フロントフェンダー上にエアアウトレットが備わり、さらに特に今回試乗したニュルブルクリンクパッケージだけに与えられるカーボンルーフ、リアの大型のウイングを備える他、車高はビルシュタインのダンパーを採用した上で下げられた結果、ホイールハウスの隙間とタイヤの間はかなり狭められている。
そしてこれもNBRパッケージだけに与えられるブラック塗装された19インチのBBSホイールを採用。そしてここにミシュランのパイロットスーパースポーツを履かせ、ホイールのスポークの隙間からはブレンボの巨大なキャリパーと、それに挟み込まれるドリルドディスクのローターが見える。
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