“スバリスト(スバルヲタ)”視点から見る「スバル インプレッサ マイナーチェンジ」マニアックすぎる新型車解説/マリオ高野(2/5)
- 筆者: マリオ 高野
- カメラマン:小林岳夫・マリオ高野・富士重工業(株)
ダンパーは摺動抵抗の低減もはかったカヤバ製を採用
ダンパー減衰力の具体的な変更点としては、インプレッサスポーツ/G4とも、フロントの縮み側は従来型と同じで伸び側を約10%低めに、リアも縮み側は同じで伸び側を約30%低めとしています。
いずれもダンパーは摺動抵抗の低減もはかったカヤバ製で、タイヤの路面追従性を高める方向に修正。最近のスバル車が採用するカヤバ製ダンパーは精度の向上が著しく、最新スバル車の乗り味の良さにも大きく貢献しているように思います。
(※取材時にエンジニア氏と行き違いがありましたので訂正します。現行型インプレッサシリーズが採用するのはカヤバ製ではなくショーワ製。2リッター車/1.6i-S (リアスタビライザー付き車)にはショーワの商標で「S-SEES」と呼ばれるものを採用。
作動油やオイルシールなどの仕様で静摩擦と動摩擦の差を縮めることにより、より滑らかなダンパーの動きを実現。1.6i/1.6i-L(リアスタビなし車)はノーマルタイプのダンパーを採用とのこと。ちなみに、現行型のスバル車では生産工程の都合により、レガシィとレヴォーグがカヤバ製、インプレッサシリーズとフォレスターはショーワ製を採用しています。)[2015年3月26日 追記]
スプリングは、グレードなど仕様によってレートを上下させているとのことでありました。
これらの変更のおかげで、従来型では17インチタイヤを履いている状態だと若干ながらみられたバネ下のバタつき感がほぼ完璧に解消されていることを確認(インプレッサスポーツの特別仕様車Active Styleにて確認)。
XVはダンパー変更により突き上げ感を解消
なお、XVでは、フロントの縮み側を20%、伸び側を30%、リアの縮み側を20%、伸び側を10%低くしたダンパーが採用されており、従来型ではわずかに感じられた突き上げ感を解消しています。
大幅な車重増とクイックなステアリングなどでサスペンションのセッティングを徹底的に煮詰めたXV ハイブリッドでは「すでにやり尽くした」とのことで、新型でも足の変更はなし。
また、1.6iと1.6i-Lの5MT車には、従来型と同じ油圧式のステアリングを踏襲。ギア比も従来型と変わらず16.5:1のままなので、ギア比がクイック化された2リッター車から乗り変えるとかなりスローな感触ですが、新型を知った後でも違和感はなく、今もなお積極的に選ぶ価値があると思えるのは不思議なところです。
今や電動パワステのステアリングフィールに不満などはなく、燃費を考えれば電動に軍配が上がるのは明らかですが、それでもやはり、油圧のしっとりとした手応えは捨てがたいものがあるのも事実。
「ステアリングは電動か油圧か!?」
「ステアリングは電動か油圧か!?」で選択に悩むマニアも居られるでしょうが、インプレッサに関しては優劣をつけるのは難しい問題です。
1.6iおよび1.6i-LのMT車に他の仕様よりもスローなギア比の油圧パワステを採用する理由は、エンジン出力やシャシーセッティング、またコストも含めた全体のバランスを考慮した結果によるもの。
またFF車ではなくAWD車にMTを用意するのは、雪国ユーザーの使い勝手や要望を反映したものであることを思うと、2種類のステアリングは適材適所的に設定されたものであると、あらためて感心させられるのでありました。
ただし、車庫入れなどでの切り返しの際には、ロック・トゥ・ロックの数値が小さいクイックなステアリングのほうが断然ラク。その意味でも、インプレッサスポーツ/G4は、D型となってから2リッター車のほうがより万民向けの仕様となったといえます。
一方、アイサイトが付かない代わりにMTが選べ、ステアリングが油圧式だったりする1.6リッターのMT車は、従来型以上にマニア向けの特殊仕様っぽさが強まりました。
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