【解説】スバル インプレッサ マイナーチェンジ(2014年11月)新型車解説/渡辺陽一郎(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:小林岳夫
エンジン改善により2リッターの燃費が向上
エンジンは前述のように水平対向4気筒の1.6リッターと2リッターだが、各部の摩擦抵抗を抑えるなどの改善を施し2リッターの燃費性能を向上させた。従来型は2WDが17.2km/Lだったが、変更後は「17.6km/L」。4WDは従来型が15.8km/Lだったが、変更後は「16.2km/L」になっている。
2リッターモデルには「SIドライブ」を採用。動力性能の特性を「インテリジェント/スポーツ」の2段階に調節できる。
足まわりの変更も見逃せない。ショックアブソーバーの減衰力、コイルスプリングのバネ定数などを変えて、走行安定性と乗り心地のバランスを高めた。
ステアリングのギヤ比は、従来型の16:1から14.5:1に変更。足まわりの改善と相まって、車両の向きが少し機敏に変わるようにした。ウィンドウガラス周辺の造り込みを見直して、静粛性なども向上させている。
グレード構成は、1.6リッターエンジン搭載車にスポーティな「1.6i-S」を加えたことが注目される。装備は2.0i-S並みだ。ただし、それならば1.6リッター車にもアイサイト ver.3を設定すべきだろう。現状ではアイサイト ver.3を搭載しているグレードは2リッター車の4WDに限られ、1.6リッター車や2WD車には装着できない。
アイサイト ver.3の搭載グレードを限定することで価格の高い2リッターの4WD車を購入させるという販売手法は、スバルの好感度を下げてしまうのではないだろうか。むしろ、「全車標準装備」の方がスバルらしい。「最高の安全をすべてのユーザーに公平に提供する」という考え方だ。
「どうしても付けたくない」という人がいるなら、レスオプションの非装着車も用意すれば良い。価格は基本的に変更前を踏襲した。アイサイトバージョン3装着車で最も価格の安い2.0iアイサイトは、スポーツ/G4ともに225万7200円。以前と同じ価格だから、アイサイトがバージョン3に進化したことなども考えると買い得感を強めた。
特別仕様車「インプレッサスポーツ2.0iアイサイトアクティブスタイル」
そしてもうひとつ、特別仕様車として「インプレッサスポーツ2.0iアイサイトアクティブスタイル」も設定された。外観ではサンルーフ、ルーフレール、17インチアルミホイールなどを装着して、内装でも8ウェイパワーシートなどが備わる。
さらにディスチャージヘッドランプ、サイド&カーテンエアバッグなどによって安全性も高めた。2.0iアイサイトアクティブスタイルの価格は254万8,800円だ。
4WDの2.0iアイサイトに総額50万円相当の実用装備を加えながら、価格上昇は29万1,600円に抑えた。
なので少なくとも20万円は買い得になる。インプレッサスポーツの購入を希望するなら、2.0iアイサイトアクティブスタイルも検討したい。
外観がスポーティで価格は割安だから、XVとの選択に迷うこともあるだろう。スバルは他メーカーに比べると車種の数が少ないから、登場して時間を経過しても相応の台数を売る必要がある。
なので、マイナーチェンジや特別仕様車にも力を入れる。
見放されたり、放置されている車種はほとんどなく、スバルは商品を大切にするメーカーという印象だ。今回のインプレッサのマイナーチェンジにも、この特徴が明確に表現されている。
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