スバル BRZ RA 試乗レポート/清水草一(2/3)
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:オートックワン編集部
男は黙ってサッポロビール!
まず第一印象。
黒いテッチン(鉄チン)ホイールがむき出し、ホイールカバーも付かないし、ドアハンドルやドアミラーも同様の素ブラック。
デュアルテールパイプは細~くて頼りない。この姿を見て「営業車みたい」という人もいるだろうが、昭和30年代生まれの私は、即、「スパルタンじゃん!」と反応した。
虚飾を捨てた“男は黙ってサッポロビール”の世界である。日本人には、こういう飾らないことを善しとする風土がある。その源は禅。色即是空なのである!
実は私のアクアも、プラスティック製のホイールカバーをわざわざ外して、黒いテッチンホイールをむき出しにした。禅の精神である。
オートックワンの若い担当者たちは「清水さん、なぜ?」と思ったそうだが、少し古い世代には、これをスパルタンと捉え、カッコいいと思う感覚があるのだ!
ま、ショボいと思われたら思われたでしょうがないですが……。
というわけで、RAのテッチンホイール、私としては大いにアリだ!!
同じく、ドアハンドルやドアミラー、細いデュアルマフラーもすべてアリ。性能に関係ないのだから何の問題もないし、逆にイカシているとさえ思う。男はスポーツ刈り!みたいな価値観ですな。
タイヤは、上級グレードに対してワンサイズ、ワンインチ小さい205/55R16のアドバンdB。グリップレベルは若干低いが、BRZはもともと、あまりハイグリップなタイヤは履かずに、コントロールするヨロコビを目指している。その伝で行けば、タイヤはこんなもんで十分!
ドリフト野郎の場合、公園の砂場に半分埋まっている古タイヤを盗んで履かせた……なんて話もあるくらいで、グリップに頼るなど男のすることではないのだ。
次、室内。さすがに標準ファブリックのシートは、かなりお安い雰囲気だ。
そしてフタでふさがれた2DINのオーディオスペース。これも微妙な寂しさを誘う。「これが225万円のクルマかぁ……」と思うと、せめてRにしようかとか、やっぱり最上級のS!といった逃げに入りたくなる。 初期受注の内訳を見ると、最上級のSが約8割。RAはたったの3.1%しかいない。
がしかし、男は禅!スポーツ刈りなのだ。
ナビなどスマホ、いや道路地図で十分。音楽はipod+携帯用スピーカーでいいじゃないか。クルマに乗るたびにキャンプに来たみたいな、アドベンチャー気分を味わえる。いい音聞きたければサントリーホールへでも行け!
なにはなくとも、RAにはエアコンが付く。さすがにエアコンがないと、夏は根性にも限界がある。86のRCには付かないエアコンが、このBRZ RAには付くのだ!それだけで大勝利だ。
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