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カーソムリエ 2014/8/21 14:09

トヨタ 86 開発者「多田 哲哉」氏×「学生カーソムリエ」対談(2/2)

関連: トヨタ 86 , スバル BRZ Text: Photo: 和田清志
トヨタ 86 開発者「多田 哲哉」氏×「学生カーソムリエ」対談

カスタマイズで楽しむことに価値が見出せる、かつての“AE86”のような存在を目指した

学生カーソムリエ 山形さん/京都大学86 開発者 多田氏と学生カーソムリエの対談の様子

学生カーソムリエ 山形さん/京都大学(以下、山形):今の86を開発するにあたり、参考にしたクルマは具体的にどのような車種になるのでしょうか。以前、多田さんが「現代のクルマはハイグリップタイヤや4WDなどで武装をしていて面白くないから違うものを作りたい」とコメントされているのをお聞きしたことがあります。

多田氏 :私の持論では、4WDやターボ、レーシングタイヤなどの、過度に速過ぎてお金のかかるものが今日のクルマ離れを招いたのではないかと思っていて、その真逆をいこうと思って作ったのが今の86です。「スポーツカーだけど、絶対的なスピードにはこだわらない」というスポーツカーはなかなか他にありません。スピードを追求するのではなく、カスタマイズして楽しむことに価値を見出すようなクルマとして、まさにAE86のような存在を目指したのです。

現代のクルマの中で、運転することによって得られる感性の面、そして工業製品としての素晴らしさの面で参考になるのはポルシェですね。挙動やフィーリングの部分で迷いが生じたときには、ポルシェを見ると答えの方向性がわかることがあります。

86の開発当初は、既存の直4エンジン搭載も検討していた

学生カーソムリエ 磯田さん/日本大学トヨタ自動車株式会社 スポーツ車両統括部 部長 兼 86チーフエンジニア 多田 哲哉氏

学生カーソムリエ 磯田さん/日本大学(以下、磯田):今の86にはスバルの水平対向エンジンが搭載されていることは大きなポイントだと思いますが、水平対向エンジンを積むことの必然性を教えてください。提携の都合上、最初から水平対向エンジンありきで商品企画が立ち上がったのでしょうか?

多田氏 :そもそも86は、若者のクルマ離れを食い止めたいという社内の危機感の高まりにより立ち上がった企画です。それまでもbBなど若者に訴求するクルマはありましたが、やはり若者を惹き付けるにはスポーツカーが良いとの結論に達しました。企画が立ち上がった段階では、販売する時期やクルマのサイズ、排気量などはまだ何も決まっていなかったのですが、我々にはAE86という素晴らしいお手本があり、まさにAE86のようなクルマこそが、前述した「現代のスポーツモデルとは真逆のクルマ」であることに気がついたのです。

駆動形式のFRは自分の好みで選びましたが、最初は社内の既存の直列4気筒エンジンの搭載を検討しました。しかし、衝突時の歩行者保護性を考えると、直列4気筒ではどうしても背の高いスポーツカーになってしまいます。そこでロータリーか水平対向が良いと考えているタイミングで、たまたまスバルさんとの提携が強化され、「水平対向エンジンを積んだFRスポーツカー」という発想が生まれたのでした。

「86」という車名に込められた意味

86 開発者 多田氏と学生カーソムリエの対談の様子

蔵人 :車名は「86」であるべきだったのでしょうか?

多田氏 :AE86のような存在にしたい、AE86のような文化をもう一度作ってみたいとの思いから、最終的に86と決めました。トヨタはスポーツカーづくりを辞めてしまい、スポーツカー文化が途切れてしまっていたので、それを継承するとの意味も込められています。

日本車からスポーツカーが年々減ってしまった理由のひとつに「スポーツカーは儲からない」という誤った考えがあります。当初は、自動車業界の未来を考えると、スポーツカーは赤字覚悟でもやるべきものなのだと考えていました。

たとえば、長年にわたりスポーツカーを販売し続けているマツダさんには、スポーツカーは多少赤字でも許されるような理解が会社にはあるのだろうと想像していたのです。しかし、ロードスターの産みの親でもある貴島孝雄さんに相談してみると、「赤字でもいいから作っているなんて思うのは大間違いだ!」と一喝されました。赤字でもいい、なんていうのは甘えに他ならず、それでは景気が悪くなったときに辞めざるを得なくなります。

マツダさんのロードスターが景気の波に左右されず販売され続けている理由は、歴代ロードスターはしっかり利益が出ているからなんですね。今の86もおかげさまで少しですが黒字を保っているので、社内では次も考えて良いと言われています。

磯田 :私はスポーツカーが全盛の時代を知らないので、あくまで想像でしかないのですが、昔のスポーツカーはハードだけ作って、勝手にユーザーが盛り上がっていたのではないかと思うのです。

お話を伺っていると、これからスポーツカーを作り続けるにあたって、メーカーがブームの火付け役になろうと気を遣うような時代になったとの印象を受けましたが、そういう時代の変化についてはどう思われますか?

トヨタ自動車株式会社 スポーツ車両統括部 部長 兼 86チーフエンジニア 多田 哲哉氏

多田氏 :昔はクルマにライバルが居なかったんですよね。若者にとって、まずはクルマを手に入れるのが人生の第一歩といっても過言ではありませんでした。たしかに、放っておいても盛り上がるという時代でした。

しかし、今はスマホなど、クルマとは違うカテゴリーのエンタテイメントが多くなったので、売り手側が何らかの工夫を凝らす必要があります。

これからは、違う角度からクルマと遊ぶことを提案しなければならないでしょう。たとえばアメリカではシリコンバレーのエンジニアが、クルマを使ってまったく新しい遊びをするコンテストを開催しています。

リアルタイムで実際のF1やスーパーGTのレースに参戦するゲームを作ることも技術的に可能で、そういったバーチャルとリアルを混在させるゲームなどの柔軟な発想からもクルマの楽しみ方を提案していきたいですね。

「学生カーソムリエ」とは?

「Fuji 86 Style with BRZ 2014」イベントの様子

オートックワンでは、学生など若者へもっとクルマへの興味を持って欲しいという思いから「学生カーソムリエ」企画を立ち上げました。

「学生カーソムリエ」は、全員が19~25歳の学生。オートックワンが主催する、学生たちのクルマの知見を競う「カーソムリエ学生選手権」で上位入りした優秀な学生に対し、様々な企画を通じて自動車の魅力を発信してもらうために始まったのがこの「学生カーソムリエ」プロジェクトです。

彼らは学生でありながら、自動車についての深い知識と飽くなき探究心、そして自動車の魅力に触れ、それを発信したいという強い意思を持ち合わせており、今後もオートックワンの様々な企画に登場致します。学生カーソムリエに興味を持たれた方は、以下のリンクもぜひご覧ください。

「クルマ離れと戦う学生、それが学生カーソムリエ!」特設ページ

「Fuji 86 Style with BRZ 2014」イベントの様子「Fuji 86 Style with BRZ 2014」イベントの様子「Fuji 86 Style with BRZ 2014」イベントの様子「Fuji 86 Style with BRZ 2014」イベントの様子「Fuji 86 Style with BRZ 2014」イベントの様子

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