autoc-one.jp 記事・レポート カーソムリエ “カーナビ 生みの親”パイオニア「畑野 一良」氏×「学生カーソムリエ」対談/飯田裕子 2ページ目

カーソムリエ 2014/8/13 13:32

“カーナビ 生みの親”パイオニア「畑野 一良」氏×「学生カーソムリエ」対談/飯田裕子(2/2)

Text: 飯田 裕子 Photo: 和田清志
“カーナビ 生みの親”パイオニア「畑野 一良」氏×「学生カーソムリエ」対談/飯田裕子

スマートフォンとは「共存」する戦略を取っていくことが重要

自動車ジャーナリスト 飯田 裕子さん

飯田:スマートフォンの普及は、具体的にどのような影響をもたらしましたか?

畑野:カーナビが目指した「通信」という概念を本格化しました。たとえばスマホのおかげで、これまでカーナビに必要だったハードウェアやプラットフォームが必要なくなった。スマホ自体がモジュールの役割を果たすため、改めて通信会社に加入する必要もない。スマホが一台あれば、これまでカーナビがやってきたことは簡単にできてしまう。むしろ我々は、スマホの機能を拡張する音質のよいスピーカーや、ヘッドアップディスプレイといった周辺器機環境を整える必要があるかもしれません。

飯田:この30年で、通信環境がクラウドにまで発展することは、想像できましたか?

畑野:できましたよ。クラウドっていう言葉は新しいかもしれないけど、インターネットが始まった瞬間からその概念はあったんです。我々で言えば、通信ナビ『エアーナビ』をやったのですが、これはちょっとだけ時期が早かった。モジュールを揃えたり、通信料がかかったりと、ハードルも高かったために、上手くいかなかったんです。それをスマートフォンが、全部解消しちゃったんですね。だから我々は、スマートフォンと共存する戦略を取らないとダメなんですよ。

アイデアの押しつけや吸い上げだけでなく、若い世代と直接意見交換をしたい

松浦: 今までは商品の部分をお聞きしましたが、今度はプロモーションソフトの部分についても教えて下さい。パイオニアの活動として、秋葉原の「UDXギャラリー」でイベントを開かれていたと思うのですが、これはどのような取り組みなのでしょうか?

パイオニア株式会社 マーケティング部 部長 蒲生 宣親氏(以下、蒲生):

パイオニア株式会社 マーケティング部 部長 蒲生 宣親氏

サイバーナビをはじめとするカロッツェリアの製品を好んで使っていただいているファンの方々と一緒に、これからのナビゲーションシステムを考えて行く試みです。こちらのアイデアを押しつけるのではなく、またマーケティング的に意見を吸い上げるだけでもなく、お互いに意見を交換しました。そうすることでクルマの楽しみ方とか、カーライフ自体がもっと広がっていくのではないかと考えました。若い方たちの考えを聞きたかった、ということもあります。

学生カーソムリエ 松浦さん/日本大学

松浦: とても斬新なイベントでした。都心に住んでいる人はクルマを「道具として使っている」という印象があったので、今回のように「ドライブをエンターテイメントとして楽しむ提案」をしあうのはとても楽しかったです。ドライブしたときの映像をYouTubeにあげてらっしゃる方もいたりして面白かった。そういった「楽しみ方の発信」をしていく取組は、今後もっと求められる気がします。

蒲生: その映像を我々がお預かりして、プロモーションビデオにしてお返しするというサービスも用意しています。コンテンツとしてのライブ感を大切にしたかったのと、メーカーの人間とユーザーが直接接点を持つというのをやってみたかった。

飯田:テーマ館みたいなものもあるといいですよね。

蒲生:活動拠点として「カロッツェリアベース」というのを作りました。これはいま一度我々が、クルマ視点でモノ作りの原点に立ち返るための聖地といいますか・・・。新たなプロモーションの場としての機能を持たせたいと考えています。

磯田:最近は、カスタマイズへの関心も薄れている気がします。だから、そういったニーズに応えられるといいですよね。

学生カーソムリエ 石塚さん/早稲田大学

石塚:カロッツェリアってクルマ好きにとっては、ワクワクするような新製品をいつも生み出してくれる憧れのブランドです。だからナビとかオーディオとはまったく関係ない、ドライブ用のサングラスとか、眠気覚ましのコーヒーとか、ドライブにまつわる製品を提供しても面白いんじゃないかな、と思います。

蒲生:いいですね!

畑野:では磯田さんがいうような若い人たちに、「ビフォー・アフター」みたいな感じでカスタマイズをしてあげるというのはいかがですか?

近頃、特に都心ではあまり見られなくなった「カスタマイズ」

学生カーソムリエ 磯田さん/日本大学

磯田: これは主観ですが、都心の若者は最初に購入した何かをカスタマイズすることなく使い終えることの方が多いような気がします。スマホはその典型。バッテリーさえ自分で交換せずに使い終える、みたいな。自動車にもそういう流れがやって来ているんじゃないかなと。それをいかに変えていくか?が大切な気がします。

石塚:地方だとバリバリに改造したN BOXとか、シャコタンのエルグランドとかを普通に乗っているけど・・・、ちょっとやらないかな。

飯田:都心部と地方では、クルマの価値観が異なりますよね。

石塚:でも外見とかじゃなくて、ソフトのカスタマイズには関心ある気がする。カーナビのマークとか、声とかを好みに変えてみたり。

磯田:昔、モーターショーで面白いコンセプトカーがありました。東京を走ると江戸時代の町並みがナビ画面に出てきて、「ここはかつてお寺があった場所です」みたいな情報が得られるんです。ナビ機能を今流のエンターテインメントにできたら、楽しいのではないでしょうか。

畑野:カーナビはクルマから取り外せない装備。だからクルマと人とのコミュニケーションを魅力的にすることで、その価値を高めるというのはありですよね。

パイオニアが今後、開拓していきたい分野とは

パイオニア株式会社 経営戦略部 事業開発担当部長 カーエレクトロニクス事業統括部 テレマティクス事業部長 理事 畑野 一良氏パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子

石塚:ナビゲーション以外で、この先に開拓して行きたい分野はありますか?またそれを実現するために、協力するべきパートナーがいたりしますか?

畑野:まだ我々でも十分にはできていないことですが、喋ったら何でも答えてくれるものをつくりたいんです。スマホなどでも音声認識機能はあるけど、まだ完全とは言えません。そこでパイオニアでは今、「意図解釈」に注目しています。たとえば「この文脈でいうとこの人は何を考えているか?」とか、人が頭の中で考えていることや意図もきちんとくみ取れるような人工知能を作りたい。色んなベンチャー企業とこれについてやりとりしていますが、まだこれだ!っていうのはないですね。

飯田: よりHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)が大事になってくるということでしょうか?

畑野:大切なのは、「人間が頭の中で何を考えているか?」を、機械が理解することなんです。そのために必要だと思われるデータはいっぱいあるのですが、それがまだ扱い切れてないんですね。でも、もしこれが実現できたら楽しいと思いますよ!協業しているドコモさんの「しゃべってコンシェル」も、進化し続けています。日々その世界には近づいていますよ!

この後も様々な意見が学生たちの間から飛び出し、開発陣もこれに熱心に答える会話が繰り返された。一見、進化し尽くしたかに見えるナビゲーションシステム。しかしそのソフトを、そして人との関わりを魅力的にすることで、まだまだクルマの楽しみ方は広がりそう。そしてインターネットとの関わり合い。そこには先進的で、ワクワクするような未来が待っているように感じられた。

いつまでも新しい価値を提供するパイオニアであり続けるために、パイオニアはこれからも走り続ける。

筆者: 飯田 裕子
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