【ahead femme×オートックワン】-ahead 2月号-ダカール ラリー2012日本人の闘い(4/4)
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最後に効いてくるのは精神力だ
最後の通過国、ペルーが舞台となる終盤の第11ステージから第14ステージ。日野レンジャーの2台にとっても一時、ハラハラとする場面が待っており、2位との差を1時間近くもリードしているTLCにとっては、まさかの波乱の展開となった。
第11ステージ。まずリエゾンで国境を越えてチリからペルーへ。海岸沿いのボカ・デル・リオからアレキパ周辺まで、SS→ニュートラルゾーン(移動区間)→SSというコース。
最初のSSを順調にクリアした菅原照仁組だったが、トランスファーが石にヒットしたのが原因でオイルが漏れ出し、ニュートラルゾーンに入った所でクルマが走れなくなる。20分遅れで追いついた1号車は2号車を牽引。次いで2台のサポートカーが到着する。4人のメカを含めた全員で修理に掛かり、トランスファーを交換して再び戦線に復帰した。
不幸中の幸い。走れなくなった場所が競技区間ではなかったこと。1号車がきっちり追いついたこと。いつもならすでにビバークについていてもおかしくないサポート部隊が、すぐ引き返せる場所にいたこと。チーム全員がこの幸運に胸をなでおろした。しかしそれは単なるラッキーではなく、ラッキーを呼び寄せる”何か”があったということなのだろう。
一方、対照的に運に見放された感のあるのがTLCの三橋/ゲネック組である。アレキパ~ナスカを結ぶ第12ステージ。後半の砂丘を走行中にラジエーターからの冷却水漏れに気づいて停止。現場で応急処置をして走り出すが、焦りもあったのだろうか、その後リカバリー不能なほどのスタックをしてしまう。
前々日にも同様のラジエータートラブルで1時間以上タイムを失っており、この時点でそれまでの2位とのマージンを一気に吐き出すこととなった。三橋選手にとって、ラジエータートラブルも、これほどのスタックも初めての経験だった。これにより2位との逆転を許し、1位と1時間10分58秒差に後退する。
競技は残すところあと2日。29kmの短いSSを行う最終日を除くと、競技は実質的にはあと1日しかなく、第12ステージを終えた時点でクラス優勝は絶望的となった。
全行程8336km(うちSS4120km)を終えて、HINO TEAM SUGAWARAの菅原照仁組はトラック部門総合9位/排気量10リッタークラス1位、菅原義正組は総合24位/クラス3位。菅原義正氏は連続30回出場、通算24回完走の記録を打ち立てる。TLC三橋淳組はオート部門総合25位/市販車部門2位となった。
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