宮城光さん/今井優杏の「あなたの愛車教えてください!」(3/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:今井優杏/オートックワン編集部
ロータスは、値段からすれば圧倒的によく走るクルマ
―他にどこをチューニングされてます?
メーターは普通のコンビネーションメーターが付いてたんだけど、毎日見てたら飽きた(笑)。だからデフィの正規品でイイものがあったのでそのまま付けました。
それからマフラーは、ど~うしても楕円のが欲しかった。意味はないんだけど、惰円がよかった。だからもう一台の僕のクルマ、フォルクスワーゲンのルポGTIカップカーにも同じものが付いてる。
ルポは某自動車雑誌の編集さんから譲り受けたもので、もともとルポのワンメイクレースのカップカーだったもの。ロールゲージも入ってるしマニュアルだし、バケットシートです。
―う~ん、2台目もマニアック(笑)両方MT、しかもバケットとは!そのお二つに同じマフラーが付いてる、と。真円はバイクで飽きたんですか?
そうそう(笑)、だって僕、バイクのレース何年やってんの?30年やで!こんだけやってるとね、バイクのマフラーは全部真円でしょう。飽きた(笑)!だから惰円にしてみました。
―他には、エアロパーツですか。
そう、これはドライカーボンで型を作って、僕専用のを作ってもらった。売ってないんです。GTのメカニックをやってる仲間に作ってもらったんだけどね。人と同じはイヤやねん、僕。
―・・・でしょうねぇ(笑)
売ってるヤツはイヤやねん。ロータスのエアロって、中々納得行く物に出会わない。ホンマにこれでエエと思ってるの?というのが多いね。あっ、怒られそうやけど(笑)
―特に個性的なオーナーさんやショップさんが多いクルマですからねぇ。
僕の行く所は主にレーシングカーを作っていたエンジニアさんの店とか、会社とか。オンリーショップみたいなところには絶対行かない。
だから、ピストン西沢(DJ)には『ひとりレーシング』って言われてるねん。全部自分でやってるから。
―劇団ひとり、的な(笑)。そんなひとりレーシングさんから観て、ロータスの魅力はどこにあるでしょう。
ロータスは値段の割にはすごくよく走るクルマやね。コーナリングのいいクルマだ、パワーはないけどコーナリングマジックだ、みたいな表現をする人はよくいるけど、僕は決してそうは思わない。
3千万円出したらもっといいクルマはある。でもロータスっていうものは、500万円から1千万円のクルマとしては圧倒的によく走るクルマやね。
その理由は軽さです。それと、シンプルであること。構造が教科書に出てくるような簡単さなんですよ。ダブルウィッシュボーンのレイアウト辺りとかね。そこに教科書通りのミッドシップが乗ってるわけ、だからミッドシップスポーツの基本を体感するにはすごくいい。
後は、ガソリンタンクもシートとエンジンの間に有ったりで、僕は好きやね。GAS残量にハンドリングがあまり影響されにくい。スピードレンジでいうと120km/h~から180km/hかな、サーキットで走らせるととても気持ちいいね。
だから、個人のスキルやさっき話したようなセッティングを詰めていく作業においては最高の教材カーやね。
もしクラッシュしたとしても、決してそれぞれのパーツも高くないしね。これからレースやクルマのメンテナンスの勉強をしたい人には、是非お勧めしたい。むしろこういうクルマを、ホンダに作ってもらいたい。
―そうなんです、今国産スポーツカーが不遇の時代じゃないですか。それに関してはどういう風に思っていらっしゃいますか?
そんなん、毎日思ってるよ!あのね、若い子がクルマに興味がないって、本当にそう思う?
ロータスで走ってたら、子供たちはみんな指さして「カッコイイ!」って見送ってくれるし、高速道路でも助手席に乗ってる女の子が振り返ったりしてくれる。自宅のガレージでタイヤ交換してたら、散歩途中の若いママと子供が話しかけたりしてくれる。
そんなことを経験してるから、みんなが皆、クルマに興味がないとは思えないんですよ。
―今の景気の問題とか住宅環境もあって、都心部では所有が難しいのは理解できますが、私も常日頃から思ってます。こんな時代だからこそクルマはステイタスシンボルであるんじゃないかって。
だから量産性のあるクルマしか流通しないのもわかるけど、クルマ好きに響くクルマを作ってもらいたいなぁと思うよね。バイクもまったく同じ問題にぶつかってる。子供が振り返ってくれるようなかっこいいクルマを、やっぱり作ってほしいよね。バイクもそうやけどね。
―さて、そんな宮城さんに最後の質問です。今気になっているクルマはありますか?
フェラーリ458やね!カリフォルニアのDCTは世界でもトップクラスの精度やね、それをさらにアップデートしたのが458に積まれてる。それは魅力的ですね。
それに実寸以上に小さく見えるね、低く、小さくね。実寸が大きいクルマでも、いいクルマっていうのは小さく感じるね。四輪に手の届くようなフィールがあって、扱いやすい。
あんまり良くないクルマは必要以上に大きく感じるし、車副感覚がわかりにくいんです。
―確かに!おっしゃる通りです。そう考えると、宮城さんの基本傾向として、大きなクルマがあまりお好きではないんですね?
いやいや、僕は人間も小さいから、なんでも小さい方がいいんですよ!(笑)
―よう言わんわ(笑)。御謙遜が過ぎますよ(笑)。
今井優杏の「取材後記」
実は当連載に2輪界から出演していただくのは、宮城さんが初めて!
初登場にふさわしい濃い愛車紹介になりました。自らをドライダー(2輪も4輪も走っちゃう欲張りなレーサー、だそう!)として各方位に活動を広げていらっしゃる宮城さん、関西弁満載の取材、楽しかったです!
ドライダー 宮城光 HP
http://www.hikarun.net/
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