太田哲也選手/今井優杏の「あなたの愛車教えて下さい!」(3/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:今井優杏
自分の人生を共に生きるクルマを選ぼう!
―太田さんと言えばフェラーリも外せない存在ですが、アルファとフェラーリの共通点って、あるんでしょうか。
すっごく似てる。同じ血だなと思うね。例えばフェラーリってポルシェとよく比較されるけど、ポルシェとは全く違うクルマなんだよね。
―カタログデータ的には似てますよね。
ポルシェは運転する人のスキルを問わずに乗れるような作り方だよね。あんまり運転が上手ではない人が乗っても乗りやすいように作ってる。だからブレーキは踏んだら踏んだだけ止まるし、トルクも低いところから出て扱いやすくしてる、っていうのがポルシェのアプローチ。
だけどフェラーリは運転手が下手とか上手いとか関係なく、自分たちが作りたいものをどんどん作っていっちゃう。だからF40ってクルマなんて誰が乗りこなせるの?って思うわけ。あんなのレーサーの俺たちしか正直乗れないでしょって思うの。
そういう意味でポルシェとフェラーリは対極にあるクルマだと思う。でもそういうクルマだからこそ、フェラーリは乗った時の、たとえばエンジンサウンド、たとえば切り込んだ時の挙動、それらがなにかこう、『来る』んだよね。とても有機的で感情的なんだけど。ポルシェはとても精巧な、よく出来た機械だと思う。
―私はフェラーリも機械的になりつつあるイメージを持ってました。F1マティックを投入して、デジタルになりつつあるような。
そう、それはモンテゼモロになってからそういう色が出てきちゃったよね。フェラーリもビジネスとしてクルマを売らなきゃいけないという流れもあって、今“商売”という意味では大成功してるし。だけどそうは言っても今も基本的にはさっき言ったようなクルマ作りの精神は継承されていると思うよ。
―そのクルマ創りへの姿勢が、アルファと似てると。
音であったり、運転した感覚、内装、それぞれに“機械としてよければいい”というだけではないこだわりを感じるんだよね。
―“パッション”という感じでしょうか。
そう、パッションだね。有機的、動物的。
―イタリア車には「壊れるんじゃないか」とか「トラブルが多いんじゃないか」とか、ちょっとしたアレルギーがあって、購入に二の足を踏んでる人もいるかと思うんですが、読者にアドバイスはありますか?
え?そんな人、今もいるかな?壊れないよ?
―そうですよね、実は私もフィアット・バルケッタに4年乗ってますが、ノントラブルです。すぐ壊れる、っていうのは都市伝説的な話なのかな?と、ユーザーとして思いますけど(笑)
確かに古いイタリア車にはトラブルが出る個体もあるけど、大体トラブルが出る箇所って決まってるんだよね。それを把握してる信頼できるショップを持つ、というのが大事なんじゃないの?
―主治医というか?
そう、初心者がいきなりヤフオクとかで買うのはやっぱりオススメできない。でも行きつけのショップを持ってちゃんと付き合えば、イタリア車はそんなにハードルの高いものじゃないけどね。
―特徴的なデザインに関してはどうでしょう?
デザインって平凡だと安っぽくなるじゃん。自分をどう表現するか、ということをクルマに対してももっと考えて欲しいよね。
すべての人はすべての人の人生というドラマにおいて主役でしょ。敢えて誰かの脇役を選ぶ必要はない。
そう思ったら自分の人生を共に生きるクルマを選びなよ!と思うけどね。
―胸に沁みました・・・(感涙)
今井優杏の「取材後記」
筆者のTwitter上で、この連載出演者のリクエストを募ったところ、『太田哲也さんの愛車が見たいです!』というご意見をいただき、実現した取材。豊富な知識とクルマ愛に感動し、つい原稿が長くなってしまいました(笑)。
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