急速に広がるメーカー間のOEM戦略/松下宏のコラム(3/4)

急速に広がるメーカー間のOEM戦略/松下宏のコラム
トヨタ ダイハツ軽自動車OEM供給合意 ダイハツ アルティス トヨタ パッソセッテ ダイハツ ブーンルミナス スバル ルクラ トヨタ FT-86コンセプト マツダ AZワゴン マツダ キャロル マツダ AZオフロード (左)日産自動車 カルロス ゴーンCEO/(右)三菱自動車 益子 修取締役社長 日産自動車 カルロス ゴーンCEO 画像ギャラリーはこちら

スズキ・マツダ/OEMを含めた軽自動車で実質首位

日本のメーカーのOEM供給の核となっているのがスズキだ。

スズキは従来から、マツダに対して軽自動車をOEM供給してきた。マツダが早い時点から軽自動車の自社開発を中止したのに合わせた対応だ。

マツダ AZワゴン
マツダ キャロルマツダ AZオフロード

スズキの主力車種である「ワゴンR」を「AZワゴン」として供給しているのを始め、「スズキ アルト」を「マツダ キャロル」、「スズキ ジムニー」を「マツダ AZオフロード」、「スズキ エブリイ」を「マツダ スクラム」として供給してきた。

スズキは、ハイトワゴン、セダン、SUV、1BOXとほとんどのタイプの軽自動車を供給している。

しかし、現在ではスズキはマツダへの供給よりも日産への供給のほうが多くなっている。

最近のスズキは、軽自動車の販売統計に現れる台数ではダイハツに抜かれ2位に甘んじているが、マツダと日産に供給している台数をカウントすると、ダイハツを大きく上回る。

軽自動車ナンバー1という「名」を捨てて、実質1位という「実」をとった形だ。

軽自動車以外でもソリオを三菱に供給する話がまとまっており、「D:2」の名前で販売されると言われている。

日産・三菱/軽自動車を中心に積極展開

スズキのOEM供給が大きく拡大したのは、日産への供給が始まってからだ。

現在では日産が「スズキ MRワゴン」を「日産 モコ」として、「スズキ パレット」を「日産 ルークス」として供給を受けている。ひと世代前の「スズキ アルト」を「日産 ピノ」として供給を受けていた時期もあった。

日産自動車 カルロス ゴーンCEO

さらに日産は、スズキから供給を受けるだけでは足らず、三菱からも「三菱 ekワゴン」を「日産 オッティ」として、「三菱 パジェロミニ」を「日産 キックス」として、「三菱 タウンボックス」を「日産 クリッパーリオ」として供給を受けている。

全体的に見ると、スズキから供給を受ける車種が比較的良く売れているのに対し、三菱から供給を受ける車種の売れ行きはさほどではない。

ただ、日産と三菱は軽自動車の企画・開発を行う合弁会社の設立を決めており、今後は三菱との関係が強まっていくことになるだろう。

スズキと三菱から供給を受けた結果、売れた日産ブランド車の半数が軽自動車になった時期もあった。OEM供給車ばかりが売れて、自社で生産するクルマが売れなくなったのでは必ずしも良い結果とはいえないわけで、OEM供給車が成功しすぎるのも考えものだろう。

日産のOEM供給について裏話をひとつ。

日産はスズキからOEM供給を受ける前に、かつて資本関係もあったスバルに対してもOEM供給を打診していた。そのときは、まだスバルが自社でやれるという自信を持っていたことや、日産の提示額が安かったことなどから、このOEM供給の話は実現しなかったとされている。

“たら・れば”の話ではあるが、このOEM供給が実現し、日産ブランドのスバル製軽自動車が良く売れていたなら、スバルは今でも軽自動車の開発生産を続けていたかも知れない。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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