ドイツ発!驚きのヨーロッパ最新電気自動車 -eCarTec 現地レポート-

ドイツ発!驚きのヨーロッパ最新電気自動車 -eCarTec 現地レポート-
BMW メガシティビークル e-WOLF α-2 e-WOLFブース Piaggio ECOCRAFT「Eco Carrier」 VERSUCHSTRAGER City-EL Fact Four TWIKE Buddy(左)/TWIKE(右) SAM EV II 画像ギャラリーはこちら

「えっ!?ヨーロッパって、もうこんなにいろいろな電気自動車が売られていたのか?」

ミュンヘン・ニューメッセ会場に訪れた、日系自動車メーカー、部品メーカー、充電器メーカーの関係者たちは、皆一様に驚いた。

ここは、BMW本社があることでもお馴染み、ドイツ南部の街、ミュンヘン。「ドイツのアテネ」とも呼ばれ、16世紀の華麗な建築物で有名だ。そして、ビールの本場としても有名である。

ECOCRAFT「Eco Carrier」
VERSUCHSTRAGERTWIKE

この地で、昨年に続いて2回目の開催となったのが「eCarTec」(2010年10月19日~21日)。電気自動車の展示や、自治体・企業が電気自動車に関する講演を行うフォーラムが開かれた。

「eCarTec」開催期間中は小雨交じりの曇り空で、外気温は摂氏10度以下。朝晩は摂氏3度という真冬のような天気。しかし、同会場内は、次世代ビジネスへの期待と希望が満ち溢れ、熱気ムンムン。

正直なところ、こうした電気自動車関連のイベントが日本やアメリカで開催されると「まあ、こんなモンかなぁ~」という雰囲気であった。

つまり、出展ブース数もそこそこ、展示車両も「実現したらいいな」的なプロトタイプの類や、個人的な趣味、中小企業のイメージ戦略、大学の研究室の発表、さらには三菱やスバルなどバリバリの「量産電気自動車」が単純に横並び、そんな感じだった。

対する「eCarTec」は、迫力が違う!

参加企業は300社以上で、ドイツ、フランス、ノルウェー、イタリア、スイス、ポーランド、インド、日本、アメリカ、中国から「現在販売している各社オリジナルの電気自動車」がザックザックと登場。

さらにガソリン車、ディーゼル車から電気自動車へコンバート(改造)して販売している車両も、フィアット「500」、同「パンダ」、スズキ「スプラッシュ」、メルセデス「Gクラス」、「ノーマルのスマートの改造」などなど、かなりの展示数。

こうしたオリジナル&改造された電気自動車が、屋外に設けられた1周約1.5kmの体験試乗コースで、最高時速60km/h~80km/hでガンガン走っているのだ!

屋外試乗会の様子

同コースでは、電動スクーターや電動アシストバイク、改造セグウェイなども走っている。これはまさに、電動車のパラダイスだ!

そして、部品関連の展示では最新鋭のリチウムイオン二次電池、モーター、制御系の大手と中小の民間企業が多数。インフラ関連では、ドイツ大手の電力供給会社・全4社が大型ブースで出展している。

充電器の分野でも、家庭用AC充電関連で20数社が凌ぎを削り、日本の「チャデモ」規格のDC急速充電関連7社も「急速充電の世界標準化」を狙って緊急参戦。

このように、生真面目な企業からちょっとクダけたアフターマーケット系まで「電気自動車つながり」で、欧州のみならず他の大陸からもドバッと集まった感じである。

では、こうした楽しい電気自動車のなかから、注目の企業や電気自動車をご紹介しよう。

注目メーカー/BMW

BMW メガシティビークル

BMWはさすがミュンヘンがお膝元だけあって、力の入れ様が違う。

1972年、ミュンヘンオリンピック開催に合わせて開発された「1601EV」展示に人だかり。屋外試乗では、日本でも実証試験が始まっている「MINI E」と「アクティブハイブリッド X6」が豪快に走行。

そしてBMWのイチオシは、2013年に量産が決定された「メガシティビークル」。

シャーシにカーボン素材を多用して軽量化、搭載するリチウムイオン二次電池は、韓国サムスンと独ボッシュの合弁企業「SB LiMotive」社製。

BMW関係者は「BMWのEVは通常ブランドではなく、他の名称で付加価値をつけます。まあ、イメージとしては「M」っぽい感じですかね」と答えている。

注目メーカー/e-WOLF

e-WOLFブース

ルマン24時間用のレーシングカーのような「α-1SRF」、その脇には日産「N200」をベースの商用電気自動車、その脇には小型電気ダンプ・・・。

会場内で一二を争う大型展示ブースを構えた、独e-WOLF。2008年設立の新興ベンチャーながら、その実態に驚きの事実が・・・。

各車両が使用するリチウムイオン二次電池は、独Li-Tec社製。

この会社、ダイムラーの自社電池メーカーで、同社製品は門外不出のはず。ところが、e-WOLF社長はLi-Tecの創業者で、4年前にダイムラーに会社ごと売っていたのだ。だから、ダイムラーと同格の最新電池が使用できるのだ。

さらに、e-WOLFはトヨタモータースポーツ社と同じ、独ケルン市郊外にあり、両社の距離は2kmほど。トヨタがF1撤退の際、優秀なエンジニアがe-WOLFに転職したという。

そしてe-WOLFは来年9月の独フランクフルトショーに、スーパースポーツEV「α-2」を発表し、同10月に24万5000ユーロ(約2793万円)で市販する。

最高速度は230km/h、0-100km/h加速が3.9秒。世界最強のEVを送り出すe-WOLFに注目が集まる。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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