日産 新型エルグランド デザイナーインタビュー/プロダクトチーフデザイナー 大月圭介(4/4)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:オートックワン編集部
もはや若者に旧来のクルマの魅力は通用しない
A:カーデザインを志す人へアドバイスはありますか。
O:海外の経験を含めていうと、外国人の若いデザイナーはモチベーションがすごい高い。彼らと伍して戦っていくためには、3倍は努力をすべきです。カーデザインは専門知識が必要なので、そこを高めてほしいのです。
いいセンスがあってもカタチにできないと実力ではないですから。専門以外の引き出しをどれだけ持っているかも大切です。僕は中高生の頃がいちばんマニアックで、オーディオやカメラからミステリー小説まで、いろんなものに興味を持っていました。
趣味人になりたいと思っていたほどです。祖母が着物を着て、三味線や掛け軸、骨董、お茶など多趣味だったので、その影響が大きいのでしょう。
A:最後に、若者のクルマ離れに対して、なにか解決策はありますか。
O:僕には大学生と高校生の子供がいるのですが、彼らの環境を見ればクルマ離れは当たり前かと。テレビゲームやパソコンなど、いろいろ楽しいことがありますから。残念ながら、旧来のクルマの魅力は通用しないと思っています。
今後は電気自動車をソフト面を含めて提供するなど、クルマを新鮮なモノとして捉えてもらえるかがキーになるでしょう。ケータイの仲間に入っていくような存在になれれば、もう一度興味を持ってもらえると考えています。
インタビューを終えて
新型のデザインから若者へのアドバイスまで、大月氏はあらゆる質問に的確に答えてくれた。デザインという仕事に対する真摯な気持ちが、そこから伝わってきた。
エルグランドのブランドイメージを保ちながら、ここまで大胆な革新を実現できた理由が、インタビューを通して理解できた。 新型エルグランド、このご時勢での売れ行きはどうなるのか、期待したい。
大月圭介氏プロフィール
日産自動車株式会社 グローバルデザイン本部 プロダクトデザイン部 プロダクトチーフデザイナー
1959年生まれ。武蔵野美術大学造形学部卒業。 1983年日産自動車デザイン本部入社。 2005年日産デザインアメリカ デザインダイレクター就任。 2007年デザイン本部プロダクトチーフデザイナーとして帰任。
今までに手掛けた車種では、U14ブルーバード、最終型セフィーロ、インフィニティI35、A33マキシマ、L31アルティマ、ティーダ、エルグランド、セレナ、ローグ、デュアリスなどがある。
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