全日本EVレース 現地レポート/桃田健史(2/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史
猛暑の中でのEVレース、その結果は果たして!?
午前中の予選では、気温34度、路面温度67度という条件下で、テスラ、i-MiEVともにモーターのオーバーヒートに悩まされていた。そのなか、ポールポジションは飯田選手のテスラが1分21秒304、二番手に植田選手のテスラが1分27秒600、三番手に大串信選手のi-MiEVと続いた。
午後3時、決勝レース(21周)スタート時、気温は34度ながら路面温度は55度まで下がった。5秒前の表示の後、「ほぼ無音」状態で、各車きれいにスタンディングスタート。
レースは予想通り、飯田選手のテスラがリードし、少し遅れて植田選手のテスラ。その後方から4台のi-MiEVが団子状態で追う展開。各車はバッテリーの残量と、モーターの加熱を気にしながらの走行。
レース序盤、思いのほか、テスラとi-MiEVの差が広がらない。レース中盤、モーター加熱を懸念してペースダウンしていた植田選手がペースアップし、テスラ1・2体制。
レース終盤は、i-MiEVのなかでペースに差が出始めた。これはウォームアップ走行の後、十分な充電が出来ていなかったクルマがいたためだ。最終ラップの最終コーナー、飯田選手はリアを大きくドリフトさせてフィニッシュ。全日本EVの初代ウィナーに輝いた。二位は植田選手、三位は大串選手となった。
同理事でレース運営を取り仕切る富沢久哉氏は、本シリーズの意義についてこう語る。
「60年代、鈴鹿で日本でレースが始まったあの頃。また80年代、富士でWEC(世界耐久選手権)が始まったあの頃。EVレースは、そうした過去に日本人が体験した『レース創世記』にあります。量産車や改造車など、様々な技術レベルのクルマが混走するのは、創世記としては当然の姿。
きょうが、日本の本格的なEVレースの第一歩です。今回のテスラは、WEC時代に欧州最強で日本上陸したロスマンズ・ポルシェのようなイメージ。そこに日本陣営が戦いを挑むような構図を考えました」という。
同シリーズの将来構想については「来年も2回か、それ以上の回数で開催したい。カテゴリーも増やして、多くの方が参加出来るレースにしたい」という。今回レース会場には、レース関係者も数多く視察に訪れており、今後の日本でのEVレース本格的な盛り上がりの期待が高まっていた。
同シリーズ第二戦は11月7日、岡山国際サーキットで決勝が行われる。
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