2009年度販売台数ランキング-インサイト効果でホンダが2位へ-/松下宏のコラム

2010年3月の新車販売台数は、比較的順調な回復を見せている。

リーマンショックによる大底だった2009年3月に比べたら登録車(軽自動車ではないクルマ)は40%近い伸びを示したからだ。エコカー減税でいわれなき差別待遇を受けた軽自動車は6%ほどのマイナスになったが、全体としては大きく伸びている。

といっても、あまり喜んではいられない。40%近い伸びを示した登録車にしても、過去10年で見ると2009年に次いで少ない台数であり、3月だったら50万台くらいは売れてほしいところなのに44万台レベルにとどまったからだ。

3月は年度の区切りでもあるので、2009年4月から2010年3月までの年度単位での販売台数を見てみよう。

2009年度(09年4月~10年3月)のメーカー別新車販売台数

※左から [メーカー名]/[販売台数]([登録車]+[軽自動車])

トヨタ/1,524,865(1,524,865+0)

ホンダ/ 660,323(501,891+158,432)

日 産/629,878( 493,653+136,225)

スズキ/616,339(61,851+554,488)

ダイハツ/ 603,369(7,203+596,166)

マツダ/220,752(170,772+ 49,980)

スバル/192,292(80,452+111,840)

三 菱/170,515(65,066+105,449)

圧倒的なトヨタ、ホンダが「インサイト効果」で2位に浮上

最初の表は乗用車系のメーカー別販売台数だが、トヨタの圧倒的な強さが目につく。唯一150万台を超える販売台数を記録し、2位以下のメーカーが60万台レベルで並んでいるのに対して大差をつけているからだ。

プリウスを牽引役にコンパクトカーやミニバンなども良く売れた結果がこの圧倒的な首位となった。

この表を見てもうひとつ気づくのは、登録車だけの台数でも、軽自動車を合わせた台数でも、ホンダが日産を抜いて2位メーカーになったことだ。

これはかなり驚きの結果である。前年は、日産がホンダに対して登録車だけでおよそ10万台もの差をつけており、軽自動車を合わせた台数でも日産が上位に立っていたが、2009年度はインサイトなどが好調で、ホンダが一気に逆転を果たした。

インサイトは、話題性の高いハイブリッド車であることや、エコカー免税によって単にインサイトが売れたというだけでなく、インサイトを買いにきたユーザーにフィットやフリードが売れるという「インサイト効果」も大きかった。

日産は、昨年の4月にコンパクトカーを中心とした多数のマイナーチェンジを実施して、エコカー減税対象車を増やすなどの対応を図ったが、その効果は限定的なものにとどまった。

ミニバンではセレナ、SUVではエクストレイルがカテゴリ別でトップの売れ行きを示すなど、健闘している車種もあるのだが、トータルでは3位だった。

これは、2009年の新型車が少なくモデルチェンジの狭間にあったことも理由の一つだ。2010年にはマーチを始めとして、フルモデルチェンジや新型車の投入が数多く予定されているので、巻き返す可能性は高い。

日産は、新型車投入前の2010年1~3月の段階で、すでに登録車だけでホンダに2万台、軽自動車でも1万台の差をつけて最逆転している。

いずれにしても、当面は日産とホンダの間で激しい販売合戦が繰り広げられることになるだろう。場合によってはスズキがこれに絡むような展開になる。

2009年度の台数で見ても、スズキは日産やマツダにOEM供給している分の台数があるので、国内販売車を生産ベースで見たらすでに2位になっているとの見方もできるだろう。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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