懐かしの日産車から英国ピュアスポーツカーまで!20代中心のクルマの祭典「ゆーるピアンミーティング」潜入記

  • 筆者: チダ ユウタ(オートックワン編集部)

年代も国籍もバラバラな130台が、車山高原スキー場に集結!

9月のある日曜日、長野県は車山高原スキー場に、年式も国籍も異なる様々な自動車が集まった。

大抵の自動車イベントはある程度、参加車種が絞られているものだが、このイベントはその辺りが完全に自由。

現行の国産車から、イタリア、フランス、ドイツのコンパクトカー、ちょっぴりハイソなセダン、さらにはポルシェやフェラーリといったスーパーカーまで。またノーマル状態を保ったもの、走り系のカスタムが施されたもの、派手なグラフィックが描かれたものなど、そのジャンルは様々だ。

このイベントの正体は『ゆーるピアンミーティング』

今回で第9回を数えるイベントで、その参加台数は回を重ねる毎に増え続け、今回は130台もの参加となった。

なにより注目すべきは、イベント運営のコアメンバーが20代前半であるという点。また、SNS(主にTwitterとFacebook)で参加を募っているという点だ。そんな事情もあって、参加者の平均年齢もかなりお若い印象。

何を隠そうそのコアメンバーには、かつてオートックワンの“学生カーソムリエ”活動にご参加いただいた方も含まれている。

そんな縁を感じつつ取材に赴き、コアなカーライフを存分に楽しむ皆さんの生の声を聞いてきた。

▼過去記事

若者のクルマ愛を侮るなかれ!第3回「ゆーるピアンミーティング」潜入記

21歳、あの頃の四角いマーチにゾッコン!

最初にご登場いただくのは浅利一輝さん(21)。

愛車は日産「マーチ」だが、年式は1991年式で、現行型とは大きく違うスクエアなシルエットが印象的だ。

飄々とした印象の彼から、このクルマのオーナーになるに至った経緯を聞いてみた。

【編集部】この型のマーチのオーナーになったきっかけを教えてください。

【浅利さん】もともと同年代の競技仕様グレード「マーチR」に乗っていたのですが、トラブルでしばらく乗れなくなってしまいまして……。そこで、マーチRが復活するまでの繋ぎとして、ヤ◯オクで格安で見つけたのがこの個体になります。

なんと、これが初めてなのではなく、2代目ということ。しかも以前に乗っていたのはスパルタンな競技仕様車。何故、そこまでマーチにこだわるのだろうか?

【編集部】なんと、2台目のマーチだったのですね。どうしてそんなに、この年代のマーチがお好きなのですか!?

【浅利さん】やはりこの佇まい、それと、当時の大衆車でありスタンダードな一台なので、あの頃の空気感が伝わるのが良いですね。正直、軽自動車よりも遅いですが、それも含めて大好きです。

“スクエアな形がレトロで可愛い”という回答を予想していた自分の想像の斜め上を行く“あの頃の空気感”という回答。彼は本当に21歳なのだろうか……。ちなみにこのマーチ、写真の通り、販売中とのこと。なんでもマーチRが復活したら乗り換えるから、ということらしい。買い手が見つかるよう、祈っております!

「三角窓」が決め手でパオに。目指すは70年代のカフェレーサー風

続いてご登場いただくのは、先の浅利さんの隣に駐車をしていた安江陽祐さん(22)。

愛車は未だにファンの多い日産のパイクカー「パオ」。ドイツのキューベルワーゲンのような「サファリ×ミリタリー」な雰囲気が独特な一台ですが、そのオーラを活かしつつ、絶妙な塩梅でカスタムしている。

【編集部】パオですね、懐かしい!はじめに、このクルマを選んだきっかけを教えてください。

【安江さん】最初は、オシャレな雰囲気のクルマに乗りたかったんです。探偵が乗っていそうな感じのやつですね。

【編集部】探偵……。『探偵はBARにいる』の光岡「ビュート」みたいな感じでしょうか。

【安江さん】しかし、決め手は“三角窓”でしたね。ここにヤラれました。この三角窓が決め手です。今これ付いているクルマってあまりないので……。

この個性的な一台を持ってして“三角窓”。意外な決め手に、濃いインタビューの予感。続いてカスタム内容について聞いてみた。

【編集部】購入してから手を加えた点について教えてください。

【安江さん】まず、このナンバー後ろのダミーグリルです。これはアストンマーティン「DB4」のデザインがモチーフです。

【編集部】いきなり濃い……!(※興味のある方はDB4でググってみてください)

【安江さん】それと、70年代のカフェレーサー風のデザインに憧れて、中古で手に入れたウェッズのホイールに換装しています。他にもミラーやステッカーなど、いろいろといじっています。

【編集部】なるほど、当時のカフェレーサー風の雰囲気がお好きなんですね。

【安江さん】はい、ローバー「ミニ」やフォード「コルチナ」、いすゞ「ヒルマンミンクス」などですね。

【編集部】例えも濃い……!

どうやら70年代のカフェレーサーにパオのカスタムのモチーフを見出した安江さん。他にも細かい点をいろいろいじっているほか、内外装ともにまだまだやりたいことが沢山あるそうだ。どうか大事に乗り続けてあげてください!

下手したら車より若い!?19歳×プジョー「205」

洗練されたピニンファリーナデザインが今なお色褪せない魅力を放つプジョー「205」でご登場いただくのは、何と19歳の佐藤満郎さん。どうやら年代物のアルファロメオにお乗りのお父さんの影響で、古いイタリア車・フランス車に興味を抱いたという。

【編集部】懐かしのプジョー「205」ですね!もともとこのクルマがお好きだったのですか?

【佐藤さん】はい。特にこの形が好きだったので、縁あって出会えて嬉しいです。

【編集部】乗ってみて、特に気に入っている点を教えてください。

【佐藤さん】全部ですね。回したくなる軽快なエンジン、よく曲がるコーナリング性能、ハンドルの握り心地、内装の雰囲気、乗り心地……全部です!

物静かな印象の彼だったが、愛車のことを語ると熱くなる。やはり相当気に入っているようだ。そんな彼だが、愛車に関して切ない悩みもあるという。

【佐藤さん】周りの同年代の友人からは、左ハンドルの国産車だと思われてしまいますね。はやりデザインがおとなしいので、パッと見では見分けがつかないようです。そんな飾らない佇まいも含めて大好きなんですけどね。

今は維持費で手一杯だが、今後はモータースポーツでもガシガシ使えるように、足回りや給排気系をいじっていきたいとのこと。今後またイベントでお会い出来れば是非、その進化を見てみたい。

数少ないセダン党。この渋すぎな一台は一体……!?

ハッチバック車とクーペ車が多い中、珍しい4ドアセダンで登場いただくのは、遠藤魁さん。またしても御年19歳。

ただでさえ珍しいセダンの中、この車両はとんでもなく珍しい。なんと、正規輸入されていないイタリアの高級セダン、ランチア「カッパ」だ。

【編集部】まず非常に珍しい車なので、簡単にどんなクルマか教えてください。

【遠藤さん】はい。このカッパは有名(?)なランチア「テーマ」の後継車にして、有名(?)な同「テージス」への系譜となった、ランチアのフラッグシップセダンです。イタリアの当時の首相ベルルスコーニ氏も乗った、最上級セダンになります。ちなみに並行輸入車なので、正式な年式はわかりません(笑)

クルマ好きの方であれば「テーマ」の名前は聞いたことがあるかもしれない。が、これが「テージス」と言われると、有名と言われても、急に“知る人ぞ知る”感が増すというもの。サラッと有名と言われてしまうあたりに、彼の知識量を感じさせる。

【編集部】ありがとうございます。続いて何故この車を選んだのか、キッカケを教えてください。

【遠藤さん】もともとシトロエン「2CV」やルノー「サンク」、フィアット「パンダ」に憧れていた中、たまたま縁あって出会うことが出来、そのまま気に入ってしまいました。乗ってみると、それまでイタリア車に期待していた機敏さ、クイックな挙動があまり感じられず、優れた乗り心地が印象的でした。そのギャップも気に入った理由ですね。

【編集部】なるほど、確かに後席の居住性も重視した最上級セダンですからね。他に気に入っている点はありますか?

【遠藤さん】昔の応接室にあるソファーのような、えんじ色のフカフカのシート。それと、エンジンが5気筒(!)ということで、4気筒とも6気筒とも違う独特のエンジン音が聞けます。これも、他にはない魅力ですね。

さすがはこのクラスの車種を選ぶだけあり、見るポイントが違う!が、物珍しさ、人と違うという点だけではなく、ちゃんと理由を持って選んでいる当たりに、このクルマへの強いこだわりを感じることが出来た。

40時間かけて自分で磨き上げたロータス「エリーゼ」×21歳

会場では珍しいピュアスポーツモデル、ロータス「エリーゼ」(※初代モデル)にお乗りの彼は、伊藤泰地さん(21)。

乗り始めてまだ1週間とのことだが、そのエリーゼ愛あふれるエピソードを多数いただくことが出来た。

【編集部】エリーゼですね。選んだキッカケから教えてください。

【伊藤さん】もともと英国の自動車趣味人のように「ピュアスポーツカーのある生活」と言うものに憧れていました。そんな折、アルバイトの関係でこの個体に巡り会えたのと、実家に別の車があり、実用性の低さはそこまで問題にならないということで、購入を決意しました。

【編集部】購入後のエピソードがあれば教えてください。

【伊藤さん】大好きなクルマだったので、買ってからとにかく磨きました。洗車と内装クリーニングを40時間(!)掛けて行ったほか、ボディサイドのストーンガード(注:リアフェンダー全部に貼られているフィルム状の部分)が劣化してボロボロだったので、傷がつかないように指で丁寧に剥がす→新しいものを張るのに、計25~6時間かけました。が、大好きなクルマなので全然苦になりません!

洗車無精な編集部としては、頭の下がる思い。それくらいの思い入れで大事にしていることもあり、乗る時間こそ長いが、サーキットを飛ばしたり、モータースポーツに使ったりといったことは現状あまり考えていないらしい。むしろボディをさらに綺麗にするため、コーティングも検討中ということだった。どうか大事に乗り続けて欲しい!

トラブルなんか気にしない!初代パンダ×20歳

ラストを飾るのは、フィアット「パンダ」にお乗りの高橋明寛さん(20)。

なんと、新潟から自走しての参加ということ。好きが講じてとはいえ、その行動力には恐れいる。

【編集部】新潟から自走とは恐れ入りました!パンダを選んだキッカケを教えてください。

【高橋さん】中学の頃にこの形に一目惚れし、ずっと憧れてきました。そんな折、縁あって知り合いから譲ってもらうことが出来ました。

今でも状態の良い車両はそこそこの値段がつく初代パンダを譲ってもらうとは。しかも憧れの一台。相当な強運の持ち主なのではないか。

【編集部】まさに“縁”ですね!パンダ以外の同年代のクルマは、あまり目に入らなかったのですか?

【高橋さん】はい。同年代に優れた車種、よく比較される車種はたくさんありますが、それらはパンダに乗り始めてから知りました。やはりクルマ好きになる入り口をくれたのはパンダだったようです。

【編集部】形以外で、パンダの気に入っている点を教えてください。

【高橋さん】長距離を走っても、驚くほど疲れないですね。実際、新潟から自走してきたぐらいなので。また、ボディが小さいから街なかでも取り回しやすく、内装も広い。もうゾッコンです。

ほとばしるパンダ愛。だがその裏で、苦労もないわけではないという。

【高橋さん】オイル周りのトラブルはちょいちょい起きており、完治には至っていません。アイドリングも若干不安定ですね。また集中ドアロックも絶賛故障中でして、ドアの開け閉めはちょっと手間だったりします。

そんな高橋さんだが、向き合い方は至ってポジティブだ。

【高橋さん】でも、ちゃんと走ってくれるんですよね。ある日急に動かなくなったり、急に止まって帰れなくなったりすることがない。なので、実は案外丈夫なんじゃないかと思い始めています。もちろん、時間とお金をかけてちゃんと直してあげたいという思いはあるのですが、普段楽しむ分にはなんとかなる、というのは意外な発見です。

古い輸入車というと、どうしてもトラブルや維持費の問題が気になってしまう。が、幸いにして彼のパンダは致命的なトラブルに見舞われることもなく、日常生活から長距離ドライブまで大活躍している。しかし、とはいえ油断は禁物。出来ることなら愛車のためにも、早めに直してあげて欲しい……。

クルマの楽しみ方は人それぞれ!今後のイベントにも期待

今回はハタチ前後の6名の方にインタビューをさせていただいたが、皆さんしっかりと自分の考えを持ち、それでいて、枠にはまらない自由なカーライフを楽しんでいるのが印象的だった。

一見「どうして!?」と思ってしまうようなマニアックな車選びにも、彼らの好みやバックグラウンドがしっかりと反映されていた。そのあたりの自由度と良い意味でのユルさが、このイベントが長く続いている理由なのかもしれない。

なお次回のイベントは12月頃の開催を予定しているようなので、興味のある方は是非、公式SNSアカウントをチェックしていただきたい。

▼ゆーるピアンミーティング公式SNS

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筆者チダ ユウタ(オートックワン編集部)
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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