「車の楽しさ」を忘れていないジュネーブMS/桃田健史(4/4)
- 筆者:
トヨタは世界戦略車をハイブリッド化、日産は個性的なデザインで勝負を挑む
国産メーカーでは、トヨタが「オーリス HSD フルハイブリッドコンセプト」を発表。
オーリス HSDに搭載されるエンジンは、1.8リッター直4(98ph、142Nm)を積む。電気モーターの出力は60KWで、EVモードも設定されている。
世界初お目見えとなったレクサス「CT200h」は、オーリス HSDと同じエンジンユニットを搭載。オーリス HSDよりもワイド&ローなボディスタイルで、20代~30代の若い購買層への訴求を狙う。
ホンダは、同社イタリア法人ミラノデザインスタジオが手がけた電動3輪車のコンセプトモデル「3R-C」を公開。後輪のみを電動モーター駆動で、リチウムイオン二次電池を運転席下部に搭載するイメージだ。
「量産の計画は現在ないが、従来の4輪EVという概念をなくして、シティコミュータとしてあるべき姿をゼロから考えた結果、この形状になった。キャノピー(風防)は開閉する全転向型とした」(同車デザイナー/マテロ・クロザノウスキ氏)。
日産は、キャッシュカイ(日本のデュアリス)の弟分として1.6リッターが主流の小型5ドアSUV「ジューク」を公開。キャッシュカイは20万台のヒットとなった。その小型版として投入するからには、かなり思い切ったデザイン手法で新規顧客層を狙いたいと思った。
「デザインイメージは、GT-RやZと同系だと思ってもらいたい」(同社デザイン統括・常務役員・中村史郎氏)。同車は今年夏に日本でも発売される。
また、日産は同社の次世代型世界戦略車として、マイクラ(日本ではマーチ)を発表。Aセグメント用として新開発のVプラットフォームに1.2リッターエンジンを搭載。日本市場向けはタイ生産で日本に輸出、欧州市場向けはインドで製造される。
また、新興国勢で注目されたのは、中国BYDとダイムラー社のEV技術での提携発表。「中国市場専用で、ダイムラー社のブランドの高級EVを共同開発する」(BYD海外営業部門幹部)という。
インドのタタは、超小型車「ナノ」のEVモデルを展示。
「2年半から3年後の市販を目指したい。今年中盤に発売する弊社インディカビスタEVとは違うシステムとなる」(タタ社幹部)という。また、ジュネーブモーターショーのもう一つの特徴が、イタリアのカロッツェリアを含む、欧州アフターマーケットの展示スペースが広いことだ。
毎年異色な展示で目を引くスイスのリンスピードは、フィアット500ベースのEV車を公開。
ドイツのメルセデスチューナー御三家の一角、カールソンはSLをベースとした「C25」を世界初公開した。C25は、メルセデス SL600をベースとしており、排気量6リッターV12+ツインターボで最高出力753ps、最大トルク1,150Nm。最高速度は347km/h、0-100km/h加速は3.7秒のモンスターマシンだ。
最近、経済ニュースではギリシャの国家財政破綻をキッカケとした、EU(欧州連合)全体での連鎖的な不況の可能性が取り立たされている。そうした中で開催された、今回のジュネーブモーターショー。
しかし、各種の環境車に加え、「車本来の楽しさ」を追求する様々な新型車が登場する光景を見ていると、「欧州=元祖自動車王国」という現実を思い知らされた感じがした。
この記事にコメントする