ロサンゼルスオートショー 現地レポート/日下部保雄(1/2)
- 筆者: 日下部 保雄
北米メーカーはシリーズハイブリッドが中心
ロサンゼルスオートショーは、北米のメジャーショーであるデトロイトと比較するとかなり規模が小さいが、最近では脚光を集めているモーターショーだ。
1月のデトロイトはモーターショーシーズンの開幕であり、各国のジャーナリストや首脳達の名刺交換会と言う風情を持っている。この後、舞台を欧州に移してジュネーブモーターショーに続くが、北米ではニューヨークやシカゴ、北米自動車工業の本場デトロイト周辺でのモーターショーが多く、トレーディングショーのイメージもある。
12月とはいえロサンゼルスは温暖の地で、西海岸は欧州車などのプレミアムカーがよく売れる土地柄と言うだけに、ショーも年々華やかになってきている。
各メーカーのプレスカンファレンスも行われ、ワールドプレミアもいくつか見受けられるようになった。
さて、ロサンゼルスオートショーの始めに、GMのヘンダーソン社長が突然の辞任となったため、人望の厚いボブ・ラッツ氏による基調講演から始まった。
ヘンダーソン社長辞任の真相はラッツ氏が引退するまで取っておくとして、ロサンゼルスオートショー自体はとても興味深く、太平洋を渡ってきた甲斐があった。
その理由は、どのブースを回ってもEV一色だったからだ。東京モーターショー2009もハイブリッドやEVをアピールしていたが、ロサンゼルスではEVが全て、といったような雰囲気だった。
日本のメーカーは、ハイブリッドを主体とした技術展示が目立ったが、北米メーカーの主流は同じハイブリッドでも「シリーズハイブリッド」を中心として、一気にEVまで突っ走ろうというもの。
日本メーカーのハイブリッドが、パラレルハイブリッドやシリーズ/パラレルハイブリッドであるのに対し、北米メーカーでは駆動を電気のみで行い、その電気をガソリンエンジンで起こすというシリーズ方式が主体だ。
EVと主張するGMの「ボルト」もシリーズ方式だし、ベンチャー企業で突然登場したフィスカーもシリーズハイブリッドだ。シリーズハイブリッドはエンジンを回すことでいつでも電気を供給できる利点があるが、従来はバッテリー容量が小さくてEVとして走れる距離がたかが知れていた。だが、リチウムイオンバッテリーの登場により、一気に状況が変わってきた。
シリーズハイブリッドのEVとしての走行距離はフルEVと同じぐらいだが、必要に応じてエンジンを回すことでEVでの走行距離を伸ばせるようになってきている。
アメリカでは日本よりはるかに走行距離が長いため、EVと言ってもシリーズハイブリッド方式により電気主体で走れるほうが現実的な選択だ。
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