中国のルールなき交通社会/日下部保雄のコラム
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:日下部保雄
中国のルールなき交通社会/日下部保雄のコラム
韓国の次は、中国に行ってきた。そして、そのイケイケパワーに圧倒されて日本に帰ってきた。
あまりのカオスに、大人しい日本人としては隅で縮こまっている他なかった・・・と言うのは大げさだが、それほど中国は強大なエネルギーを内包していた。
上海は数年前に行ったことがあったが、その頃と比べても加速度的に力を溜め込んでいるようで、国の急速な変貌にも、人々がその変化に追いついていることにも驚いた。
韓国のパワーにも凄いものを感じていたが、中国はルールなき成長で乱暴だが、世界はこのパワーに引っ張られているんだろうなぁと思う。クルマも新車が圧倒的に多くなり、アメリカよりもキレイなクルマが多く走っていた。
日本車も多く、クラウンやティアナも走っていたが、圧倒的に多いのはVWとアウディ。それと、意外なのはGMが多かったことだ。
GMは早くから中国に進出しており、上海は富裕層が多く存在するので中型車が多いが、地方ではGM製の小型車が多く走っている。米国のGMしか知らないと、このメーカーのしたたかさを見誤る。
中国メーカーも数多く存在するが、ちょっと見では、かつての粗悪品への連想は殆ど持たない。
乗ったわけではないので、中国で走っているクルマの実力は不明だが、少なくとも外観は海外メーカーとそれほど差があるようには見えない。国と同様に、中国車も急速に力をつけているようだ。
ただ、この国でクルマを運転しようとすると、ちょっとためらう。
車道を逆走してくる自転車やバイク、歩道を走るバイク、左折(右側通行)でも対向車が来て躊躇しようものなら、後ろから激しくホーンを鳴らされる。
余談だが、中国向け車両のホーンが強化してあるというのが信じたくなるほど、ホーンをひっきりなしに鳴らす。
歩行者も同じで、信号などあって無きがごとし。激しい交通のカオスに人が横断する、大量の荷物を積んだ自転車が横切る、もうあっけにとられるしかないが、呆然としているとどこにも進めないので、郷に入っては郷に従えで強行突破で切り抜けるしかない。ルールを理解しようとしても無理だ、自分の直感を信じるしかない。
中国では人とクルマ、そしてエネルギーに溺れそうになり、ヘトヘトになったが、ガムシャラという言葉も思い出した。膨張する中国と成熟しつつある韓国はまるで日本をトレースしているようだった。日本は大丈夫か?
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