ベタープレイス・アジア・パシフィック代表 藤井清孝氏インタビュー(3/3)

  • 筆者: 藤島 知子
  • カメラマン:オートックワン編集部
ベタープレイス・アジア・パシフィック代表 藤井清孝氏インタビュー
藤島知子さんとベタープレイス 藤井社長 ベタープレイス・ジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏 ベタープレイス・ジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏 ベタープレイス・ジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏 藤島知子さんとベタープレイス 藤井社長 ベタープレイス テスト車両 ベタープレイス 電池交換イメージ 画像ギャラリーはこちら

普及に向けてフリート実験、まずはタクシーから

ベタープレイス テスト車両

藤島「バッテリー交換型EVのメリットは分かってきたのですが、今後、普及に向けて、日本でどのような取り組みをしていくのでしょうか?」

藤井社長「まずは2010年の1月から、東京でタクシーを使ったフリート利用によって、実証実験を開始する予定です。これはタクシー会社の日本交通と六本木ヒルズの協力で行われることになりました。」

藤島「一般の人たちが乗れるタクシーとは、注目の的になりそうですね。狙いはどこにあるのですか?」

藤井社長「環境のテーマというものは、インパクトがないといけません。太陽光発電のパネルなどは、屋上に付けていたら皆に見えないのが残念なところですが、やはり大事なことは、分かりやすくて未来がイメージできるということ。明日すぐにクルマがEVに変わらなくても、はじめは10台のタクシーに1台のEVが混ざることで目に留まり、EVタクシーに手を挙げて実際に乗ってみたら乗り心地も悪くなくて快適。そんな風に認知されるようになると、10台に2台、5台と増えていくことがイメージできるでしょう?そもそも、まだ日本車が発展途上だった昭和30年代に、日本メーカーはアメリカのタクシー会社に頼んで実証実験を重ねていました。

昔から、タクシーのハードな使われかたによって、生のデータが得られていたのです。タクシーを使うことには、もうひとつ面白いことがあります。ロサンゼルスやシカゴといった平坦な街並みでは、タクシーは景色に埋もれてしまうのですが、ロンドンやパリはどちらも歴史的な建造物が立ち並んでいる街なのに、両者の街並みを比較してみると、ロンドンの風情は黒い箱形のタクシーが欠かせないことが分かるのです。マンハッタンや東京、上海、シンガポールなど、構造的に街がコンパクトに凝縮されている地域は、街においてメッセージを発信するときにタクシーの存在がもの凄いインパクトを与えてくれるものなのですよ。」

藤島「なるほど、日本を訪れた外国人にもインパクトがありそうですね!」

ベタープレイス・ジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏

藤井社長「東京のタクシーはサービスがいいですし、モラルや意識の高さについても世界一。しかも、クルマはいつもピカピカに磨かれています。そうしたタクシーをEV化することで『さすがは日本らしい次の一手だ』とアピールできれば本望です。さらにいえば、無線タクシーで指名が増えてくる。路駐し続ける客待ちのタクシーが少なくなれば、実車率が増えて採算も上がりますよね。」

藤島「企業の意識が問われる時代ですから、企業がお客様向けにEVタクシーを利用していたら会社のイメージがアップしそうですね。」

藤井社長「さまざまな意味を含めてタクシーに利用するメリットは大きいのです。また、タクシーであれば、生産時に先行確定受注がとれることで、バッテリーの量産体制を早い段階で整えることができるでしょう。バッテリーの技術をジャンプスタートさせるためには、いいお客様が必要不可欠なのです。」

藤島「今日はEV普及に向けてのお話し、とても解りやすく勉強になりました。EVに対しての興味がさらに広がりました。本日はどうもありがとうございました。」

藤井社長「こちらこそ、どうもありがとうございました。またいつでもお話しさせていただきますよ」

藤井清孝 プロフィール

藤井清孝(ふじいきよたか)

ベタープレイス・ジャパン代表取締役社長兼アジア・パシフィック代表。

1957年神戸市生まれ。

81年東京大学法学部卒業。同年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。86年ハーバード大学経営大学院(MBA)卒業。

同年ファースト・ボストン投資銀行ニューヨーク本社のM&Aグループに勤務後、40歳でケイデンス・デザイン・システムズ日本法人社長就任。2000年SAPジャパン代表取締役社長就任。2006年ルイ・ヴィトン・ジャパン カンパニーCEO、LVJグループ代表取締役社長就任。

2008年現職に就任。ベタープレイス社は2007年にベンチャー・キャピタルより2億ドルの出資を受け米国カリフォルニア州に設立された、電気自動車用充電インフラ提供ビジネスの先駆者的企業。

すでに欧州、米国、オーストラリア、イスラエルにて同社によるインフラ構築予定が発表されている。90年代前半はM&Aの専門家として、日米のTVや主要新聞、雑誌に数多く取り上げられる。フランスのビジネススクールINSEADにて国際金融を講義(1986)。

その他ハーバード大学、MIT、慶應大学、一橋大学、横浜国立大学、国際大学、学習院女子大学、エコノミスト・コンファレンス、外国人記者クラブ、グロービス、経済同友会での講演、講義の経験多数。2009年1月「グローバル・マインド」をダイヤモンド社より出版。

現在、フジテレビ日曜夜の情報番組「サキヨミ」に準レギュラー出演中。一男二女の父親。趣味はゴルフ、野球、旅行。

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藤島 知子
筆者藤島 知子

通称「藤トモ」。スーパー耐久のレースクイーンを経験後、軽自動車レースに参戦したことがきっかけで様々なレースに参戦。レースで培った技術と女性ならではの視点が魅力の女性モータージャーナリスト。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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