autoc-one.jp 記事・レポート 特集 特別企画 社長に訊く ~ネクセンタイヤ コーポレーション CEO Travis Kang(トラビス・カン)~ page01

山本シンヤ
Q
と言うことは、ポルシェ以外にも新たなハイパフォーマンスカーメーカーとのコンタクトを取っているわけですね?
カン社長
先日、皆さんもよく知っているドイツのメーカーさんが弊社に来られましたが、高い評価をいただきました。それと比べると日本のメーカーはまだまだハードルが高いですが、密接にコンタクトを取っています。その中でも新しく手を握ってくれたのは三菱自動車さんで、現在様々なモデルに対して話を進めている状況ですね。
山本シンヤ
Q
一方、日本の補修タイヤ市場に関してですが、これまで並行輸入で取扱いはあったものの、正規輸入と言う意味で初となります。このタイミングでネクセンタイヤジャパンを設立し、日本への本格参入を行なう目的は?
カン社長
補修タイヤに関しては流通経路や自国メーカーが大きなシェアを握っていることなど、韓国と非常に似ている所が多いです。しかし、韓国では現在輸入車マーケットの成長に合わせて輸入タイヤのシェアが伸びている状況です。日本でも同じ状況と聞いていますので、タイヤも同じ事が起きると思っています。
私個人としては単純にタイヤを売ることだけでなく、日本の歴史や経済にも非常に興味があります。日本と韓国の間は文化としての繋がりもたくさんありますので。
山本シンヤ
Q
かつてヒュンダイ自動車は日本へ本格参入しましたが、現在は一部を除き撤退してしまいました。その不安はありませんでしたか?
カン社長
もちろん、今も心配や悩みは尽きません。しかし、現在は新しい流通経路もあることや、その商品がどのメーカー製である事より、その商品がいかにユーザーに満足して頂ける物かどうかが重要な時代だと考えています。そのためにはマーケティングも含めて重要になってくると思います。
一般的なタイヤメーカーの海外進出は単独でやることが多いですが、我々は豊田通商さんとのジョイントベンチャーです。厳しい日本市場の中で成功するためには優秀なパートナーが必要です。彼らと手を組むことで新しい流れを構築できることを期待しています。
山本シンヤ
Q
日本のタイヤ市場は数多くの日本メーカー以外に欧州/アメリカに加えてアジア系など多種多彩な上に、「消費の二極化」が激しい市場だと思います。その中でネクセンタイヤはどの立ち位置で商品展開を行なうのでしょうか?
カン社長
現在4100万本/年の生産を行なっていますが、全てパッセンジャーカー用(一部、小型ライトトラック用)に特化しています。実はグローバルランキング30位以内のタイヤメーカーでは弊社のみです。
今後もその中で特化された商品をどのように開発していくのかが課題だと思っています。日本のメーカーは様々な工夫をして成果を上げていますので、お手本にしたいですね。
山本シンヤ
Q
特化と言うのはどの辺りを考えていますか?ユーザーがタイヤに求められる性能はグリップ、静粛性、乗り心地など様々です。
カン社長
マーケットによって様々な要望があるので一概には言えませんが、我々はフットワークの軽さが強みですので顧客やマーケットの要望に速く応えていくことが重要だと認識しています。現在は新タイヤの開発を1年以内に収める努力をしており、来年くらいから成果が出てくると思います。また、戦略とは言えませんが、世界的な流れで言えば様々な性能を維持もしくはアップさせた上で“転がり抵抗”の少ないタイヤの開発が重要ですね。
山本シンヤ
Q
タイヤは実際に体感すると性能差があることに気が付きますが、パッと見たときはどれも同じ「黒くて丸いモノ」。その中でネクセンを選んでもらうためのPR活動などをどのようにお考えでしょうか?
カン社長
グローバルにおけるスポーツマーケティングとしてイングランド・プレミアリーグのマンチェスターシティFCとの公式パートナーシップや、Formula DRIFT参戦チームへのタイヤ供給、また韓国プロ野球チーム・ネクセンヒーローズのスポンサーにもなっていますが、これらを日本でのPRにどう繋げていくのか思案中です。コンシューマーへのPRはもちろんですが、日本での販路拡大のためにはタイヤ販売店へのPRも積極的に行っていきたいと思っています。
山本シンヤ
Q
日本のモータースポーツはSUPER GTや86/BRZレースのようにマルチメイクのタイヤバトルが激しいです。その中で“勝つ”ことも大きなPRになると思います。
カン社長
実はモータースポーツ用のタイヤ開発は完了しており、その一部を韓国のモータースポーツに投入しています。日本でもタイミングを計りながら実践していきたいと思います。
山本シンヤ
Q
流通に関しては、日本のタイヤメーカーは直営の販売店を持っていますが、ネクセンタイヤはどのような手段をお考えでしょうか?
カン社長
まだジョイントベンチャーがスタートしたばかりですので、すぐに直営店を持つのは体力的にも厳しいです。まずは大型量販店を始めとしたタイヤ販売店との関係作りに力を入れることが重要です。
企業は人間と同じで青少年期をどう過ごすかが大人になった時に重要なキーになります。そういう意味では、ネクセンタイヤジャパンは非常に頑張ってくれています。
山本シンヤ
Q
日本のユーザーにネクセンを選んでもらうために、どのような特徴、ベネフィットがあるとお考えでしょうか?
カン社長
世界的には「コストパフォーマンスが一番高いタイヤ」、「クレームが少ない」と評価されていますが、それがそのまま日本市場でも当てはまると思います。
日本のユーザーの考えは「コストパフォーマンスに優れたモノを買いたい」ですので、ユニクロのような企業が発展していると考えています。私たちも日本のユーザーに「良いモノを、いい価格」で提供していくつもりです。
山本シンヤ
Q
タイヤの性能を知るには自動車メディアに加えて“口コミ”も大事です。そのためにはまずは履いてもらうことが大事ですね。
カン社長
おっしゃる通りだと思います。製品には絶対の自信がありますので。

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ネクセンタイヤ CEO Travis Kang(トラビス・カン)
延世大学経営学部を卒業
ソウル国立大学経営学修士取得後
2001年3月Nexen Tire入社
経営企画室マネージングディレクター、販売部門や戦略企画室のトップなど多くの役職を歴任
Nexen Tireでの15年の経歴を通じ、従業員らと緊密に協力して、とりわけ国際市場、新車装着(OE)タイヤ市場での販売活動を促進し、Nexen Tireの事業拡大に貢献
Nexen Tireの世界的なブランド力を強化するため、2015年にマンチェスター・シティFCとスポンサー契約締結。各種のスポーツマーケティング活動も主導してきた。

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