VWの新型「ゴルフ8」に迫る!ディーゼル不正から1年、次世代「MEB」で新時代への幕開け(3/3)
- 筆者: 川端 由美
- カメラマン:VW AG/和田清志
次世代のモビリティは“乗れるデバイス”
さらにこのコンセプトカーでは、価格、充分な室内空間、充電システムといった基本的な部分に加えて、ユーザーエクスペリエンス、HMI、インターネット接続といったデジタライゼーションも盛り込まれる。"A Smart Device on the Wheels"、直訳すれば「車輪の上の賢いデバイス」だが、要はスマホの上に乗るようなものだとして、次世代のHMIやコネクティビティを盛り込む方針だ。
ビートルがシンプルで耐久性に優れ、手の届きやすい価格で評価されたのに対し、ゴルフは万国共通で普遍的で、カスタマーバリューが高い点で評価を受けている。
では、MEBに求められるのは何かというと、電動モビリティ、高度な自動化、ユーザーエクスペリエンス、常時接続を担保したデジタル・エコシステムの搭載だという。
…と、あまりにも未来的な何かを並べ立てられても、どんなクルマになるか想像がつかないだろう。具体的に説明すれば、現在のクルマは約90%の時間停車しており、朝の通勤では渋滞し、その間スマホを操作することもかなわない。
これに対して、次世代のモビリティは“乗れるデバイス”であり、朝の通勤時に仕事の準備をしたり、コミュニケーションをしたり、ドライバーも一緒に家族と車内で楽しい時間を過ごせる。停車中、クルマに宅配便が届くなんてこともできる。もちろん、ローカルでの排ガスはゼロだ。
eモビリティで300万台生産への野望
将来的には、駐車場の予約ができるなどの周辺サービスを充実させて、クルマのユーザーがより快適に人生を送れるサービスを提供するとまで考えている。
クルマのカギをあけるのではなく、「VW ID」で個人認証をして、デジタルでのログインになる。車載OSとアプリの準備も万全で、世界初の「iTunes Appstore for cars」も用意されている。自動運転への道筋も整っている。
必要なソフトは、常にオンラインでアップデートもできる。どうやら、パリサロンで登場する新しいアーキテクチャを持つEVと、その先にある「MEB」は、次世代のフォルクスワーゲンを担う中核となるようだ。
eモビリティで300万台を生産する自動車メーカーを目指すというフォルクスワーゲンの目標は、野望めいて聞こえるが、将来への答えとして確信が持てているからこそ、来るべき電化の時代を見越した量産プラットフォームとして「MEB」をローンチするのだ。
[Text:川端由美]
この記事にコメントする