AV機能に関しては、新しい基板やパーツなどの採用により、従来以上の高音質が期待できる。
その中でも「AVIC-CE900VE-M」を初めとするモデルには、「車種専用エキスパートチューニング」が施されている点に注目したい。
これは「Expert Tuningチーム」と呼ばれる、いわゆる音のプロフェッショナルチームが車内における音響特性を調整。「運転席重視」と「全席重視」の2種類の設定を可能にしている。
つまり、ユーザーは特別にチューニング代などを払うことなく、最良の音を手軽に堪能することができるのである。
また、昨年のモデルから採用されたレコチョクとのコラボで生まれたMCC(ミュージッククルーズチャンネル)も大きく進化した。
新機能の「ライブレコメンド」は日時/目的地/自車位置などから状況にあったチャンネルをレコメンド、またスマホ内の楽曲も再生できる「MCCライブラリーモード」も新しく追加されている。
クルマにおける「先進安全装備」は、もはや切っても切り離せない重要な機能になってきている。
一方で、その機能自体を装着していないクルマを所有している人、また中古車を購入しようとしている人にとっては正直寂しい部分もあるだろう。これを改善するのがサイバーナビに新しく設定された「マルチドライブアシストユニット」である。
これまでも専用カメラを活用した「クルーズスカウターユニット」など安心&安全運転をフォローする機能を持っていたサイバーナビだが、今回さらに一歩も二歩も進化させたのがこのユニットなのである。
画素数や視野角も進化させた専用カメラと、画像認識技術を用いることで、「前方車両接近警告」や「レーンキープサポート」、「誤発進警告」などのセーフティドライブをサポートする機能を実現させている。
また「ドライブレコーダー」機能も内蔵しているので常に運転状況の録画や、万が一車両に衝撃が加わった際の「イベント録画」にも対応する。
さらにこのユニットは、運転中だけでなく駐車時のセキュリティ機能も充実している。クルマの異常を検知した場合、自動的にカメラが動画と静止画を同時に記録するなど、自分のクルマ自体の性能を高めてくれるのである。
これまでも社名のパイオニアが語るとおり、サイバーナビも常にその世界での「先駆者」であったことに異論を唱える人はいないだろう。
カーナビの進化はもう十分という声もここ数年間聞こえてくる中、トップランナーであるサイバーナビがどのような“一手”を打ってくるかは、ユーザーを始め注目を集めていたのも事実だ。
昨今は、スマホナビに代表されるアプリが人気であることも承知している。これ自体を否定するものではないが、クルマには専用のモデルが必要であることを、今回の新サイバーナビを使うことで改めて気持ちを強くした。
一例だがスマートループの経験者として言わせてもらうと、現状でも正直十分と言える効果を体感している。それでも渋滞を含め、この日本における複雑かつ特殊とも言える道路状況における渋滞を避け、より早く目的地に到着できることは安全運転の観点でも重要だ。
その点でも「カーナビは本来どうあるべきか、どう進化すべきか」を、真摯なまでに作り込んだ新サイバーナビは新時代を切り開いてくれるモデルであることは間違いないだろう。
機能はもちろんだが、今回はデザイン面での進化、特に車種専用に設計されたモデルの仕上がりは驚くべきものがある。五感に訴えるほどのモデルゆえに、見て・触れて・感じて欲しいのである。
TEXT:SEIKAN TAKAYAMA PHOTO:TAKEO KOBAYASHI