クルマ開発は目に見えない「空気」への挑戦!プリウスの燃費も、F1の速さも「空力」がキモ!(1/3)
- 筆者:
- カメラマン:本田技研工業/VOLVO CAR/トヨタ自動車
目には見えない壁「空気」
F1ベルギーGPが行なわれるスパ-フランコルシャン。難攻不落と言われるコースは、ドライバーの腕が試されるが、もちろん、安定したマシンでなければ闘えない。特に最近のマシンは、空気の流れをいかにうまく利用した“優れた空力”が重要だ。
蛇足ながら私は、大学の卒論が『レーシングカーのボディ形状にみる空気力学的考察』。レース専門誌の写真をコピーして綴じただけ(でもないが)だったが、まぁ、近所の公園にいる猫よりは空力に詳しいつもりだ。
最低限のことを知っておくと、今後、クルマ、中でもレーシングカーの形を興味を持って観られるようになるだろう。
空気抵抗は言葉の通り、空気の抵抗。空気は、ああ見えても(見えないが)粘りがある。高速になるとその粘りが進もうとする自動車の前に立ちはだかる。プリウスの様な優れた低燃費クルマもできる限り空気抵抗が少ない形になっている。
空気抵抗を減らすには水滴型が理想
単純に言うと、空気抵抗を減らしたければ、水滴型がオススメだ。板状の物体が空気抵抗になるが、水滴型で囲ってやるだけで抵抗は一気に1/20に減る。クルマの窓から手を出すと体感できる空気の“抵抗”が、時速300km/hでどうなるか想像して、それが1/20になることを考えれば、水滴型がいかにスゴイかわかるだろう。
飛行機の機体が細長いのは、最も抵抗の少ない水滴型に近づけようしているためだ。しかし、クルマは飛行機のようにボディを長くするわけにはいかず、そもそも地面を走っているからいろいろと制約がある。
地面を走るということは、タイヤが地面をきちんと捕まえていなければならない。クルマは必要条件を備えた上でなるべく小さくしたいということで、たいていの自動車は、前後方向の真ん中が出っ張った「凸」の形になる。ここが空力にとって最大の問題だ。この形の中で空気抵抗を減らそうとすると、困ったことが起きる。
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