マクラーレン・ホンダ、後半戦でいきなり魅せた確実な進化!来年には表彰台狙う!(2/2)
- 筆者:
- カメラマン:本田技研工業
モンツァは「平均速度の高い低速コース」?
高速でテクニカルな舞台である鈴鹿サーキットで行なわれる日本GPの活躍が期待できる状況になった、ということだ。元々鈴鹿は、平均速度が220km/hと、235km/hほどのスパ-フランコルシャンよりは遅いが、パワーユニットの依存度が高く、マクラーレン・ホンダが苦手な部類に入っていた。だが、ベルギーの週末の結果から、それなり以上の活躍を期待してもよさそうなムードになってきた。
興味深いのは、ハイスピードコースでのベルギーGPを前に、長谷川F1プロジェクト総責任が「まったく太刀打ちできないと諦めているわけではない」とは言っていたこと。ベルギーGPの結果から、このコメントは自信に裏打ちされたものだったもので、さらに期待を高めてくれることになった。
さて、ベルギーGPと連戦で行なわれる今週末の9月4日決勝の第14戦イタリアGPは、21戦の中で最速のモンツァが舞台。平均速度は240km/hを超える。長いストレートでパワーユニットに負担がかかり、さらに高速からのブレーキングのために、効率のいいダウンフォースも要求する。マシン性能がモノを言う。
言い替えると、モンツァは長いストレートとシケインでつないだようなコースで、小林可夢偉は現役時代に、「平均速度の高い低速コース」と表現していたことがある。
テクニカルでドライバーの力量に追うところが多いスパ-フランコルシャンとは違い、まっすぐ行ってフルブレーキングの繰り返しで、ドライバーの腕の差が出にくい。つまりモンツァは、マシンポテンシャルがモロに出る、マクラーレン・ホンダが最も苦手なコースと言えそうだった。
「ホンダは新しいパワーユニットを用意してくれた」
長いストレートでの最高速は、ここまでホンダの弱点だったからだ。最高速を高めるためには、手前のコーナーの脱出速度も響く。そして優れたブレーキング性能のためには、ダウンフォースがモノを言う。
つまり、車体の能力も重要だが、長谷川F1プロジェクト総責任は、劣勢の最高速に対して、「"エンジンパワーでそれを挽回する"という作戦」と言った。マクラーレン・ホンダの今後を占うことになるはずのモンツァの結果が気になるのだ。
ベルギーGPは、アクシデントが連発し、大荒れの展開だったが、もう一台のマクラーレン・ホンダを駆るジェンソン・バトンがそのとばっちりでリタイアを喫したのは残念だった。バトンは、予選で予測を大幅に上回る9番手タイムを記録、スタートダッシュもよかったが、1コーナーのフェラーリの同士討ちに始まった混乱でコースを外れ、なんとか修羅場をかいくぐったものの、バックスストレッチで追突されレースを終えてしまった。
「これもレース」とバトンは肩をすくめたが、マシンの進化には満足し、予選を9番手で終えた土曜日には、「スパは僕らのマシンにとって厳しいサーキットだから、この結果は期待してなかった」としながら、「ホンダは新しいパワーユニットを用意してくれた」とコメントした。
マクラーレン・ホンダが確実に進化して後半戦を進み始めた。
[Text:山口正己]
この記事にコメントする