国産セダンは人気がない!?日本でセダンが売れない2つの理由(4/5)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
昔のような「国産車は基本的な走りは不満だけど、ターボや先進装備がいろいろ付いて安いから買う」という評価すら成り立たなくなってきた。この点は国産車にとって痛手だろう。
クルマの基本的な機能は「走る・曲がる・止まる」という走行性能と乗り心地だが、最近は全般的にレベルが向上して、走りに不満を感じる車種は減った。
そこで感覚的な部分、例えば機敏な運転感覚で個性を演出しようと考えても、走行安定性や長距離移動時の快適性と両立させるのが難しい。
「走りの個性」とは良く聞く言葉だが、その演出がしやすかったのは、走りが発展途上の段階だった。クルマが進化すると各車種がバランスの良い方向性に集約され、差が付きにくくなる。
本来国産車が得意であった「付加価値」を今こそ発揮させる時なのだが・・・
そこで優劣を決めるのが、安全装備や燃費性能といった各種機能の先進性。
今こそ国産車が得意な付加価値を発揮させる時なのだが、この分野で欧州車に勝てないのは困る。売れ行きが下がったことで商品開発が停滞し、さらに売れなくなる悪循環も見受けられる。
これではセダンの購買層が、伝統があって、なおかつ先進機能も優れた欧州車を選ぶのは当然だ。追いかける日本車よりも、あらゆる面で先をいく「本場」の商品に魅力を感じるだろう。
輸入車の課題は価格だが、最近は日本車の価格帯が上に向けて拡大し、輸入車は相対的に割安になって、双方の垣根が低くなった。
例えばトヨタのヴェルファイア&アルファードは、両車を合計すると1ヶ月に6000~7000台は売れる。トヨタ ヴィッツなどと同等だ。そしてヴェルファイア&アルファードのハイブリッドにカーナビなどをオプション装着すると、総額は500~600万円に達する。
これらの購買層にとって、先進装備を満載した新型メルセデス・ベンツ Eクラス(E200アバンギャルドは675万円)は、あながち高価格ではないだろう。「ヴェルファイアに飽きたから、次はEクラスに乗ろうか」という代替えは十分に起こり得る。そうなると、国産セダンはさらに浸食されていく。
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