「レクサス」はなぜ「メルセデス・ベンツ」に勝てないのか(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
中古で購入したレクサスオーナーはラウンジが使えない
以上のように、レクサスは北米の事情に基づいて設けられているため、日本では少なからず違和感を伴った。
これを助長したのが「接客」だ。開業当初のレクサスに勤務するセールスマンは、大半がトヨタ店やトヨペット店で経験を重ねたベテランであったが、ホテルマンを招いたりして接客態度を改めさせてしまう。それによって、顧客にも違和感が生じた。
例えば、知り合いのセールスマンがレクサスに異動になったので、顧客が次はGSでも買おうかとレクサス店に出向いたとする。知り合いのセールスマンに「最近、スキーには出かけているの?」などと軽く話掛けると「スキーでございますか、最近はですね・・・」などと返答される。これでは戸惑ったり、気分を害するのは当然だ。
後年になって、あるトヨタのレクサス担当者から「開業当初の接客では、お客様から慇懃(いんぎん)無礼という批判が多かった」という話を聞いたが、それも当然だろう。
さらに、2006年にレクサスLSが発売された頃は「レクサス車はタクシーに使わせない」という話も聞いた(今ではレクサスのタクシーも走っている)。
これもナンセンスであった。タクシーに乗ったことで静かさや乗り心地に感心して、レクサス車の販売に結び付いたり、ブランドイメージが高まることもあるからだ。
そして今でも、一般の中古車販売店でレクサス車を買った顧客には、点検などを引き受けてもレクサスオーナーズラウンジは使わせないという。どうでも良さそうな話だが、顧客は気分を害する。中古車で買った顧客も手厚くもてなせば、「次はレクサスを新車で買おうか」と考えることもあるだろう。
前述でも触れた「差別」が、さまざまなところに散見され、顧客に不快感を与えて販売促進でもマイナスに作用している。
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