三菱自の補償金「10万円」は本当に“妥当”なのか、ユーザーへの損失を計算してみる(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
「eKワゴン」のユーザーにはいったい、どれ程の損失が生じるのか
まずはeKワゴンの自然吸気エンジン搭載車で、ユーザーにどのような損失が生じるのかを計算してみよう。
燃料代については、JC08モード燃費は旧数値は「30.4km/L」、新届け出値が「25.8km/L」と15%悪化した。仮に実用燃費がJC08モードの85%、レギュラーガソリンの平均価格が130円とすれば、1km当たりの燃料代は新届け出値では5.9円。旧数値では5円になる。1km当たり0.9円の違いだから、1万kmであれば9,000円の差額だ。
1年間に1万kmを走ると仮定して、3年後に売却すれば2万7,000円、5年後なら4万5,000円、7年後であれば6万3,000円の差額になり、10年乗れば9万円だ。
数年後の買い取り価格にも差が生じる。高年式で代替えするユーザーほど買い取り価格の差も開く。複数の買取店に取材したところ「今回の燃費偽装問題によって、eKシリーズの買い取り価格は、少なくとも10%程度は減るだろう」と言う。
軽自動車の平均的な買い取り価格は、3年後で新車時の43%くらいだ。eKワゴン G・セーフティパッケージ(新車価格は142万5,600円)であれば、3年後の買い取り価格は本来であれば61万3,000円。今回の燃費偽装問題で10%減額されると6万1,300円のマイナスになる。
このほかエコカー減税とグリーン化特例による納税額の違いも生じる。購入時のエコカー減税額については、三菱自動車が補填するが、初回車検時の自動車重量税、購入の翌年度に収める軽自動車税も、燃費基準の達成度合いによって変わるので注意したい。
eKワゴンG・セーフティパッケージの場合、旧燃費数値では平成32年度燃費基準プラス20%を達成していた。そのために初回車検時に納める2年分の自動車重量税も購入時と同じく免税になり、軽自動車税は50%軽減される。それが新しい数値では平成32年度燃費基準の達成にとどまり、初回車検時の自動車重量税の免税はなく、5000円を納める。
軽自動車税も25%の軽減にとどまるから2700円増える。つまり税額は7700円の上乗せだ。
以上を合計すると、3年間の燃費損失(2万7,000円)+3年後の買い取り価格の下落(6万1,300円)+税金の上乗せ(7,700円)=9万6000円という計算が成り立つ。
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