時速371km、賞金10億円・・・“常識外れ”の世界!「インディ500」はまさにアメリカンドリーム!(2/2)

時速371km、賞金10億円・・・“常識外れ”の世界!「インディ500」はまさにアメリカンドリーム!
2015 インディカー・シリーズ 第6戦 インディアナポリス(インディ500)にて、佐藤琢磨選手の走り 2015 インディカー・シリーズ 第6戦 インディアナポリス(インディ500)にて、佐藤琢磨選手の走り 2016 インディカー・シリーズ 第5戦にて、佐藤琢磨選手の走り 2016 インディカー・シリーズ 第5戦 インディアナポリス 決勝にて、佐藤琢磨選手の走り 2016 インディカー・シリーズ 第5戦にて、佐藤琢磨選手の走り 2015 インディカー・シリーズ 第6戦 インディアナポリス(インディ500)にて、佐藤琢磨選手の走り 佐藤琢磨選手 佐藤琢磨選手 ジェームズ・ヒンチクリフ選手 ジェームズ・ヒンチクリフ選手 2016 インディカー・シリーズ 第5戦 インディアナポリス 予選にて、グレアム・レイホール選手 画像ギャラリーはこちら

あまりのスピード域にスリップストリームも“強烈”

1台で走れても私はお断りするが、腕に覚えがあるレーシングドライバーなら走ることはそう難しくないかもしれない。

しかし、レースにはライバルがいる。インディ500のグリッドには33台が並び、他車の動きが大きく影響する。それは、クルマが“周辺の空気をかき混ぜながら走る”からだ。

クルマの後ろに張り付き、空気抵抗を減らしてスピードを上げる“スリップストリーム”。それが半端なく強烈に効く。前や後ろのクルマが急激に進路変更を行なうと、居場所に寄っては目には見えない空気の流れに進路を乱されてスピンする。まさに、合気道の空気投げだ。

2015 インディカー・シリーズ 第6戦 インディアナポリス(インディ500)にて、佐藤琢磨選手の走り

インディカードライバー出身で、現在は佐藤琢磨のスポッターを務めるロジャー安川氏は、そうした状況を「空気を分け合う」というなかなか詩的な表現で教えてくれた。要するに、相手が信頼できるかどうかで、近づくかどうかを決めるのだそうだ。

スポッターというのは、高いコントロールタワーなどの上から走りを観察し、ドライバーに周囲の状況を伝えるオーバルコースには必須の存在。空気を分け合っていることを理解した上で、ドライバーに指示を与える。

勝負は「最後の30周」

2016 インディカー・シリーズ 第5戦にて、佐藤琢磨選手の走り

さて、単純なコースをグルグル回っているだけに見えるオーバルコースだが、超高速で走るとなると些細なクルマの状況がスピードを左右する。ウィングの角度やタイヤの空気圧を、ピットイン毎に気温や周囲の状況などを読み取りながら有利になるように調整する。

勝負は200周レースの残り30周あたりから。そこまでのレース中に気温や湿度、周囲の状況を計算に入れてウィングの角度や空気圧などを微調整して「クルマを作っていく」とロジャー氏。最後の最後に最適なセッティングにして、勝負をかけるのだ。

問題は、出ている全員がそのことを知っていて、最後の30周に向けてレースを消化していること。勝つのは一人だけなのだから。

ジェームズ・ヒンチクリフ選手

そして、最後の30周から始まるバトルを熱くさせるのは“賞金額”である。予選でポールポジションを取っただけで10万ドル、約1000万円。そして、レースの優勝賞金は、ザッと10億円だ。インディ500に勝てば名誉と金を一気に手にすることができる。ドライバーが安静でいられなくなるのがわかるだろう。

ちなみに、インディ500はなにから何まで賞金が付く。200周全周に、その周のトップだったドライバーに賞金が出る。特に、区切りの周には額が跳ね上がるしくみ。

さらに面白いのは、“最初にリタイアした賞”“最初にウォールの餌食になった賞”などもある。

これぞ、まさに「アメリカンドリーム」

インディ500優勝トロフィー

インディ500の翌日は、優勝者が歴代ウィナーの顔が掘られた巨大な銀色の優勝トロフィーと一緒に記念撮影を行なうことになっている。画面の端に新聞の束が高々と積まれている、と思ってよく見たら札束だ。アメリカンドリームが明確な写真で全世界に流されるのだ。

1989年に初めてインディ500を見物したとき、最後の10周でエマーソン・フィティパルディというブラジル人と、アル・アンサーJr.という若いアメリカ人の先陣争いになった。

歓声だけでなく観客の大ウェーブが巻き起こり、壮観な眺めに圧倒された。

今年、ウェーブを起こさせるのは誰だろうか。佐藤琢磨は、予選11番手。レース中にクルマをうまく作ることができれば、オーバルコースなら、充分可能性があるポジションだ。

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山口 正己
筆者山口 正己

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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