増えすぎた「緊急自動ブレーキ」の種類、低価格タイプは廃止すべき理由(2/2)

増えすぎた「緊急自動ブレーキ」の種類、低価格タイプは廃止すべき理由
ホンダは横滑り防止装置をいち早く軽自動車全車に標準装備 EyeSight ver.2 EyeSight ver2を搭載したスバル レガシィB4 EyeSight ver2を搭載したスバル レガシィB4 「レーダーブレーキサポート」を搭載したスズキ アルト レーダーブレーキサポートをオプションで用意するレクサス IS エマージェンシーブレーキサポートを採用する日産 ノート デュアルカメラブレーキサポートを装着するスズキ ソリオ アイサイト ver3を搭載するスバル インプレッサスポーツHV スマートアシストIIを搭載するダイハツ ムーヴ Toyota Safety Sense Cを搭載するトヨタ カローラアクシオ 画像ギャラリーはこちら

緊急自動ブレーキが今後進むべき方向性は

Toyota Safety Sense Pを搭載したトヨタ プリウスHONDA SENSINGを搭載するホンダ オデッセイ

今後の展開としては、緊急自動ブレーキは「高速域まで作動」させ、なおかつ「歩行者の対応を充実」させることが重要だろう。

安心感の高い緊急自動ブレーキを挙げると、ステレオカメラ方式の「EyeSight ver.3」、ミリ波レーダー+単眼カメラ方式の「Toyota Safety Sense P」と「Honda SENSING」。システムをこれに集約すべきだろう。

簡易型の赤外線レーザー方式は低価格がメリットとされるが、例えばトヨタの「Toyota Safety Sense C」と高機能な「Toyota Safety Sense P」を価格で比べると、差額は3万2400円。となれば「Toyota Safety Sense P」に統合するのが合理的だ。

コスト低減も可能になり、Toyota Safety Sense Cに1万5000円ほど加えれば(つまり6万9,000円くらいで)、高速域の緊急自動ブレーキ、歩行者の検知、さらにレーダークルーズコントロールの機能まで得られる。

「EyeSight ver.3」も10万8000円に収まり、Toyota Safety Sense Pと同等以上の安全性能を得ている。

低価格タイプは廃止して上級化した方がメリットは多い

以上のように、緊急自動ブレーキを中核とした安全装備はシステムが上級化するほど割安になる。低価格タイプは廃止して、上級化した方がいろいろな観点から見てメリットが多い。

これがカーナビのような快適装備であれば、ユーザーが用途に応じて選べることが親切だが、安全装備は違う。「事故ゼロ」が目標だから、安全装備に「これで十分」という妥協点はあり得ない。最も先進的で高度な安全装備を、なるべく多くの車種に割安に装着して欲しい。

Honda SENSING 標準搭載モデルが用意されたホンダ ヴェゼル

ちなみに、「ホンダ ヴェゼル」は2013年の発売時点では低速で作動する赤外線レーザー方式を「あんしんパッケージ」として装着していたが、2016年の改良で高機能な「Honda SENSING」に置き換えられた。

価格はあんしんパッケージの赤外線レーザー方式の金額を割り出すと約3万円。現在のHonda SENSINGは7万円だ。道路標識をインパネに表示する機能なども含めて安心感は大幅に向上しているから、価格差以上のメリットが得られている。

Toyota Safety Sense Cを搭載するトヨタ オーリス

「トヨタオーリス」もToyota Safety Sense Cにとどまるが、3ナンバー車とあって長距離を移動する機会が多い。ハイブリッドGパッケージは280万円を超える高価格車でもあるから、すべてのグレードにToyota Safety Sense Pを装着すべきだ。

緊急自動ブレーキは事故防止の効果が高い。

EyeSight装着車は、非装着車に比べると追突事故が約80%減少、対歩行者事故も約50%減少、総合的に約60%減少したというデータもある。メーカーは高機能な安全装備を全車に装着するように努力して欲しい。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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