三菱自の燃費不正問題を受け、国交省が三菱車の公開試験を実施!試験結果は6月末に(2/3)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史
8つの指定速度を一気にテストすることは事実上不可能
最初の指定速度90km/hに対応するため、バンクで加速した「ekカスタム」が直線路に戻って来て、100km/h超の時点でギアをニュートラルに入れた。
そして、95km/hに達した時点で、後席にいる担当者が計測スイッチを押す。さらに減速して、85km/hで計測スイッチを押す。この時点で、指定速度90km/hでの「惰行時間」が算出できた。
「ekカスタム」はそのまま惰行し、75km/h、65km/hと計測スイッチを押していくことで、指定速度80km/hと70km/hの「惰行時間」が取れた。
ただし、惰行が可能な直線路では、100km/h超で惰行を始めると、60km/hあたりで直線路が終わってしまう。
そのため、指定速度60km/hに対応するためには、初速を70km/h超で再度走り出す必要がある。その場合でも、最も低い指定速度20km/hに必要な15km/hまで惰行することができない。
結局、直線路1km程度のテストコースでは、90~20km/hまでの8つの指定速度を一気に計測することができないことが分かった。
国の規定では、8つの指定速度に対する計測を、「いくつに分けて良いのか」という規定はなく、自動車メーカー側の判断で決まる。
6つのデータの平均値
以上のような、8つの指定速度に対する惰行時間の計測は、直線路で(最低で)往路3回、(最低で)復路3回の計6回行い、その平均値をとる。
往復する理由は、風の影響を考慮したもの。規定では、直線路の方向に毎秒5m以下、直線路の垂直方向に毎秒2m以下としている。
こうして得られた8つの平均惰行時間から、走行抵抗を求める。
その計算式は、抵抗値=(1.035×試験車重量)÷(0.36×平均惰行時間)
これを、X軸に「速度」、Y軸に「走行抵抗値」とするグラフ化する。
その結果、(空気抵抗)×(速度の二乗)+ころがり抵抗、を導き出す。
こうした値を、シャーシダイナモに入力し、JC08モードでの実験を行うという流れだ。
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