2016年のF1は面白い展開になる?合同テストとホンダ人事から見る今年のF1界(3/3)
- 筆者: 山口 正己
“レーシングだった時代”へホンダが向かい始めた
川本信彦 四代目社長は、1964年~1968年のホンダF1第一期にメカニックとして現場を体験した。“現場”とひと言でいっても、まだ4輪車生産を始めたばかりのホンダが挑戦したF1という世界は、まるで宇宙のような場所だったと思う。
現場を体験した川本社長は、再びチャレンジした第二期のホンダF1で、ホンダを4輪の世界に認識させることになるCVCCエンジンの立役者として活躍した人物、桜井淑敏氏、さらにはその後を受け継いだ後藤治氏を抜擢するなど、采配によって黄金期を創った。
今回の松本-長谷川ラインを耳にした瞬間、それが脳裏に浮かんだのである。
もちろん、F1という世界はどんな人事が実行されようが、結果が出るまでは、どんなに早くても1年間は待つ必要がある。
しかし、今回の人事は時間こそ必要だが、その方向にホンダが向かったことを感じさせるものだった。その方向とは、ホンダが“レーシングだった時代”である。
さて、次回はまもなく始まるF1シーズンの前に、ホンダの“F1史”を振り返っておきたいと思う。
[Text:山口正己]
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