試乗レポート
とにかく抜群にスタイルが良く、欧州車にも引けをとらない秀逸なスタイルを普及車に採用したことは、一般的にデザイン面で不評な日本車の水準を底上げする意味でも大変望ましい。
運転も、シートのポジションや形状が適正化され、SUVならではのアイポイントの高さや見切りの良さなどで至極安楽、快適である。まさに、ストレスフリーで、高速を使用したロングドライブにも十分応える。
その一方で、スポーティな走りにも対応する辺り、さすがマツダだと思わせられる。試乗したディーゼルエンジン搭載車の「XD」グレードは2.2ℓの直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載していたが、そのトルクフルな加速には驚かされた。車輌重量は1620kgと決して軽いわけではないが、試乗した台場の平坦な道路上では、流れに乗る程度ならば大してアクセルに足を乗せずとも十分に対応出来た。また、アクセル操作に対するレスポンスも相当敏感に反応し、高速での合流時など「ここぞ」というシーンでもスムーズにこなしてくれそうである。
その一方で、エコなのが嬉しい。昨今は自動車の市民権が大きく奪われていて、その一因が自動車の持つ環境破壊の側面であり、またガソリン価格の高騰などによるランニングコストの上昇である。何を差し置いても、エコフレンドリーであるのは正当な車である証明なのであり、そうでなければイメージも利便性も悪く、周囲からの風当たりも強くなる。スカイアクティブ技術のすごさはそこにあり、環境に優しく、かつ走って楽しい。それは、まさに「現代のエコカー」なのだと強く感じた。つまり我慢することがが何もないのだ。ちなみに、このCX-5にはi-DM(インテリジェント・ドライブ・マスター)なるシステムが装備され、エコ度だけではない運転操作全体の評価もしてくれた。操縦全体の評価なんて、またやはりマツダらしい。私は試乗中、終始そのシステムに夢中であった。
最後に、この車の買い得感の高さにも言及しておきたい。装備類についてもライバル(あまり見当たらないが…)に見劣りはせず、必要十分な機能がついているようだ。ディーゼルエンジンは製造コストが嵩むので車輌価格自体は競合するガソリン車に比べて高いようだが、よくよく考えれば取得税・重量税はエコカー減税で免除され、またクリーンディーゼル搭載車は補助金の交付を受けられたはず。もともとディーゼル車の中では戦略的に安価に抑えられているのに、さらに免税措置・補助金の交付を受けられるなんて、なるほどディーゼル仕様が売れるわけだ。