autoc-one.jp 記事・レポート 特集 カーソムリエ カーソムリエがAE19へ会いに行く“桜86ツアー” 04

山形のアシスタントエディターに会いに来ました

日本の国土は世界的に見ても決して広い方じゃありませんが、
でも細長いために季節が一歩一歩、
ゆっくりと進んでいるのがよくわかります。
広島では、桜の開花には未だ早すぎました。
名古屋のときはだいぶ近づいてきているのがわかりました。

山形の途中で通った北関東のあたりでは、ちょうど桜が満開。そして山形に着くと、まだちょっと重たい冬の空気。でも気温はそこそこ過ごしやすい暖かさ、もうそこまで来ているのだなあと、感じさせてくれました。 あと2年くらいしたら、クルマとしてのお手本のW124か、ユーノスロードスターを買うのがいいのじゃないか…と思索中だそうです。こういう人がエンジニアになると「クルマもあの90年代の感動をもう一度」となるといいなあと思ったものです。
春は別れがあれば出会いの季節。いったいどんな若者なのでしょうか。楽しみです。


太田での予感が現実に!

今回お会いするのは山形大学医学部4年、中川拓哉さんです。
山形に向かう途中で、86の生まれ故郷「東洋のツッフェンハウゼン」こと群馬県太田市でお土産を買った際、「せっかくだから、スバル車に乗っていたら、ちょうどいいのだけれど」なんて思っていたのですが、朝、待ち合わせ場所で待っていると、後ろから真新しいレガシィがハザードをつけて86の後ろに止まるではありませんか!

そして降りてきた若者は、私に向かって「中込さんですか?」と聞いてきました。

来たーーーーっ!思わず心の中で叫んでしまいました。太田でお土産を買ったときの予感が現実になったのです。
さらに一緒にお友達のOさんも同行してくれることになり、我々はにぎやかに西蔵王高原へと向かいました。



医は仁術なり

「医は仁術なり」とはよく申しますが、今回訪問した中川さんとお友達のOさん、実はお二人とも一度別の道を志されていた経歴をお持ちだとか。

中川さんはもともと経済学を専攻。さまざまなケーススタディをしていくうちに、もっと具体的に技術を身につけたいと思い、医学部に入りなおしたのだそうです。
お友達のOさんはもともと工学部で医療工学を研究されていたものの、自分で作った機械が医師免許がないと使えない事のもどかしさから、医学部に再入学されたのだそうです。

現実に問題意識を持ち、具体的な動機から行動する。そうした一端を聞かせてくれたメッセージの端々には、まさに本物の仁術を目指そうとする真摯な姿勢を感じずにはいられませんでした。そして、この人たちもまた、人生というグランドツーリングのまさに今一番のハイライトとなるヒルクライムを謳歌しているように思えてなりませんでした。

そんな二人は最初、クルマの話はほとんどせず、似た経歴、境遇が故に話していくうちに実はクルマが好き、ということに気付いたのだそうです。

西蔵王高原は霧の中

以前はFFのフィットに乗っていた中川さん、アイサイトのレガシィを購入したのは昨年のこと。
雪も多く、特に凍結路での的確な発進、制動など、レガシィのアドバンテージは盤石だそうです。FFフィットはスタッドレスを履けば何とかなるものの、テールがハッピーになりがちだったりして、やはりレガシィの優秀な4WDの頼もしさを痛感したとのことです。
しかし中川さん、実はレガシィ購入前にはBRZを真剣に考えていたそう。ただ、納期が当時8ヶ月近くかかることから、山形でのクルマ無しの生活はちょっと考えにくく、レガシィに決めたとのことでした。
そんな中川さん、86をドライブして果たしてどんな感想を持たれるのでしょうか。お友達のOさんも、86の後席に座るという「貴重な体験」をしていただきました。
まず、中川さんが初めに話してくれたのは「クルマが逃げない」ということでした。普段、4駆でアンダーステア気味な特性があり車重もそれなりのレガシィから86へと乗り換えた印象は、かなり際立ったようです。
遊びが少ないステアリングはリニアな感覚。カーブに思いっきり突っ込んでいってもそのまま曲がれてしまう性能もさることながら、その心地良さは特に感心してくれました。
そして、長く交通量の少ない上り坂で、TOM'sのスーパーチャージャーが付いた86のパワーを実感してもらえたようでした。
西蔵王高原を数往復する中で、彼が禁じえずに発した言葉。 「チョー楽しい!!」 正直、この一言であとはもう何も要らないのでは、そんな感じでした。一度はあきらめたBRZも含め、「こうなると、ノーマルにも乗ってみたいですね」。若き医師の卵は探究心が絶えません。
また、後席のOくんの感想は、後席があるとないとは大きな違いで、短距離の移動であれば大人でも十分に乗れる空間との意見を頂きました。
私も、86を3,000キロほど走行して実感したこととしては、その素性の良さが挙げられます。“トヨタの良心をもつ、スバルの駿馬“。この86というクルマは、皆にそう感じてもらえるようです。

梅蕎麦で二色せいろを食べる

お昼は、地元でも美味しいとちょっと評判な「梅蕎麦」さんで二色せいろをいただきました。

もりそばと季節の変わり蕎麦、今は桜切りでした。十割そばの細打ちで、体の中から綺麗になるような美味しい蕎麦でした。

蕎麦を食べながら、クルマの話は続きます。中川さんとOさん、クルマ好きになったきっかけは、お二人ともR32スカイラインだそう。

もともとF1が好きだった中川さん、グループAに出場していたR32に惹かれたのだそうです。一方、Oさんは先輩が買ったR32スカイラインにあこがれて、クルマに興味を持つようになったとのこと。

梅蕎麦さん自慢の、そば粉をかなりふんだんに足してある濃厚蕎麦湯をいただきながら、「今でもR32スカイライン見ると、そんな昔のクルマだとは思えない」。
別に理由なんてどうでもよくて、あの車が良かった…そんな話で和す。これも立派な自動車ミーティングですね。

動画撮るんで・・・

蕎麦を食べて店を出ると、
「中込さん、よろしければエンジンルームを見せてもらえますか?」といって連れて行かれたのが、地元の家電量販店。
本降りの雨の中、こういうパーキングは屋根があるので、結構こんな天候の際には、こういった場所へ集合するようです。
そこで86のボンネットを開けて、トヨタ車のエンジンルーム内のセンサーなど端々に残るSUBARUのロゴや、冷却水や油脂の交換用キャップが黄色いのを見て、「SUBARU車は整備性の向上のためにキャップは黄色なんだよなあ・・・」と中川さん。
カメラ片手に、二人で撮影大会と相成ります。
楽しい時が経つのは早いもの。取材の最後に立ち寄ったガソリンスタンドで、給油をしていると「中込さん、去り際を動画で撮るんでこっちから出てもらっていいですか?」最後は誘導までして頂きました。
今回、二人が教えてくれたことは、「特に地方では“クルマ離れ”なんて全然ないみたいですよ」。
首都圏出身のお二人が、素直に感じたことなのだと思います。

クルマがあるとふらっと出かけて400キロ。こういうたびも悪くはないな。そんなことを思いつつ山形とお別れをしました。
山形はいい、いいとは聞いていたけれども、こんなにいいとは!そういうところがこの国にはまだまだ多いですね。山形の春はもうそこまで来ています。

86でハロー!!(学生アシスタントエディター訪問を振り返って)

今回広島県の呉を皮切りに、名古屋、、そして山形のアシスタントエディターに 会いに行きましたが、正直「行くことにしてみた」ものの、本当に行けるのかしら?大丈夫かなあ…。そんな不安がなかったわけではありませんでした。
ただ、いざ走ってみれば今回足にしたトヨタ86が、一人旅にはもってこいのランナバウトであるということを痛感しました。滞りなく帰ってこれたということが一番の証拠でしょう。
そして、何より「友が待っている」ことの尊さです。出かけた先で友と語る。待っていてくれた学生はみな、真摯で深い思索を持った若人でした。
「友が待つ。クルマがある。思い立ったら出かけてみる。」
ただそれだけのことですが、その「それだけのこと」がもたらしてくれる出会いや思い出は、何にも代えがたい価値を旅するものに与えてくれます。この国はそんなに狭くなんかないのです。狭くはないけれど、クルマでならぐるっと回れないことはない。実に走りたくなる国だとういうのが、今、自分の中で新しく体得した尺度だ、と言ってよいでしょう。
街道を進むと、今まで知らなかったことを後悔したくなるような、そんな素敵な街の多いこと。皆さんもぜひ、クルマで友達に会いに行ってみてはいかがでしょうか。