autoc-one.jp 記事・レポート 特集 カーソムリエ カーソムリエがAE19へ会いに行く“桜86ツアー” 01

朋あり遠方より来る。また楽しからずや。

ひねもすクルマの語らい。
思えば昔から、そして今でもなお、誰かとクルマの話をしているように思います。
同好の仲間との語らいは実に楽しいもの。
時がたつのも忘れます。
狭い日本、なんて申しますが、なかなか細長い日本、
行ってみると案外スケールはあるものです。
しかし、クルマだといっていけないこともないくらいの大きさ。 「クルマで車好きの人に会いに行ったら楽しいのではないか…」
この冬は、寒さが厳しかったですが、ようやく各地から、ちらほらと桜の便りが届き始めました。
若くクルマ好きな我々の仲間、オートックワンのアシスタントエディターへ、まさに今だからこその桜を訪ねて深紅の
86で出かけることにしました。

走ること西へちょうど800㌔、造船の街で朋と会う。

初めに尋ねたのは、広島県呉市。 この造船の街で待ち合わせたのは19歳の青年、平岡純さん。
当日は生憎の雨の中、待ち合わせ場所に現れた平岡さんの相棒タントは、 「まさに桜色!」なライトローズメタリック。
思わず膝を叩いてしまいました。

まず平岡さんが案内してくれたのは、呉の街から少し内陸に入ったところにある小い山、野呂山。地元の人は遠足でも登るのだとか。 当日はあいにくの雨でしたが、お天気が良ければ瀬戸内海が見渡せるロケーション。 さらにはトヨタ自動車が運営するWEB86ファンサイト 「86SOCIETY」の峠セレクションにも選ばれた「さざなみスカイライン」が あり、86とのゆかりの地として、平岡さんが前もってチョイスしておいてくれた 場所でした。

また、聞けば約1年前、運転免許を取るべく教習所に通っていた時分、途中の見晴らし台に来る機会があると、クルマがあればこんな景色のいいところにも来れる! と期待に胸をふくらましたのだそうで、平岡さんの思い出の場所だったのです。

旅とは、満足ばかりではなく、両手では持ちきれないほどの「また来よう」という宿題を持たされるものですが、今回も例にもれず、是非お天気のいい時に再び訪れたいなと思いました。

マツダとカープに育まれ…

将来はパーツなども含め、自動車業界で車に関する仕事をしたい、という平岡さん。 やはりマツダの社会科見学の影響は少なくなかったようです。

またクルマ以外の趣味としては野球、サッカーなどスポーツ観戦なのだとか。そんな平岡さんにとって、赤ヘルがアテンザの赤になったのは興味深いニュースだったのだそうです。今回私が呉に乗り込んだ86も、そのボディカラーの赤を見て、「カープのグッズ、うちにあったのに…」と気に入ってくれた様子。 その街に生まれ育った人の内面や、キャラクターに、 このクルマで行ったからこそ触れられた思いがして、とてもうれしい一言でした。

そして、ポケットのお財布から取り出して見せてくれたのはJR西日本のIC乗車券 ICOCAと、セブンイレブンのNANACO。 すっとサイドの86バッジのところに差し出してくれました。シャイな平岡さんの熱い一面を垣間見れた瞬間でした。

86の感想~自戒としての「初心忘れるべからず!」

身長が180センチある平岡さん。86の助手席で頭上に手を入れて、意外にも広い室内に少し驚いていました。道具としてどうか、という視点でクルマを見るという平岡さん。必ずしもこのクルマ、そしてこの86で峠に行く…というようなカーライフには興味がないという彼も、乗ってみると思いのほか、そして実際外から見るよりずっと中がルーミーなことに感心していました。百聞は一見にしかず、いわんや一乗をや!!でしょうか。
今回800㌔を突っ走り、呉にお邪魔して、平岡さんに会ってみて感じたこと。

それは、免許取り立てのころの純粋にして無垢な、「モビリティに対する感謝」を 忘れていないか?という自戒でした。移動できる手段を得たこと、それは責任と引き換えに手に入れる、一段高い階層の自由だということにまず感謝しなくてはならないと思ったのです。車の話ひとつとっても、ともすると不平不満を言ってしまったり。例えば、今回の旅自体もそうですが、自分のペースで約一日のドライブで訪れた呉市で、平岡さん自身も普段はあまり出かけないという市内のポイントで、クルマの写真を撮りながら、クルマの話をする。車があったからこその出会い、旅先の街に一歩入り込むことができる車にはもっと感謝しなくてはいけないなあ…と思いました。

シャイで真摯で無垢に物事を捉える平岡さんに言われたのは、 「まさか本当に東京から来られるとは思いませんでした」という言葉でした。 ただ、その向こ うに、思いもよらないことをするから、赴いたからこその出会いがある。それができるのもクルマのよさではないでしょうか。 もっと自動車の原初的な効果、スペック以前に、あの免許を取ったころの行動範囲が広がったことへの純粋な喜びを忘れてはならないし、もっと掘り下げていかなくては、と思いました。

名残惜しくも出発し、次回は名古屋に向かいます。