結局は“増税”「自動車取得税の廃止」は嘘!消費税10%の2017年4月からクルマ関連の税負担は確実に増える!(3/3)

結局は“増税”「自動車取得税の廃止」は嘘!消費税10%の2017年4月からクルマ関連の税負担は確実に増える!
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自動車税、軽自動車税も課税根拠は非常に不可解

あまり問題視されない自動車税と軽自動車税も、課税の根拠は非常に曖昧だ。自動車税のルーツは、1873年(明治6年)に創設された車税に遡る。

この時は馬車と人力車が対象で、1935年(昭和10年)にクルマの増加に伴って自動車税となった。

軽自動車税は、もともとは自転車荷車税からスタートしている。これらの課税根拠は「財産税」だ。かつての馬車や人力車、その後のクルマは高額財産とされ、仕事などに使えば多額の利益を生み出す。

「あなたはお金持ちで、高価な自動車を使ってさらに多額の利益を得ているのだから、ほかの人達よりも税金を多く納めてくださいね」という趣旨だった。

ところが今のクルマ社会はどうだろう。公共の交通機関の発達していない地域では、人口に占める高齢者の比率が高く、古い軽自動車がお年寄りの通院や買い物に不可欠なライフラインとして機能している。

日本におけるクルマの本当の姿は「福祉のツール」だ。となれば軽自動車税の増税などは絶対に行ってはならないが、2015年4月以降に新車販売された軽自動車では、軽自動車税が年額7200円から1万800円に値上げされた。

この増税はやがて、高齢者を中心に生活を圧迫していく。そして自動車税や軽自動車税が「財産税」ならば、資産価値に基づいて課税するのが本来のあり方だ。ところが実際は、中古車として売却できず、査定額がゼロの車両にも多額の自動車税を課している。

自動車税も減価償却の考え方に基づいて、初度登録からの時間経過によって税額を軽減すべきだ。

国やメーカーは、もっと日本のユーザーを大切にしてほしい

年末の首都圏ガソリン価格

ガソリン税も高く、1L当たり53.8円に達する。直近ではレギュラーガソリンの価格が下がってきており首都圏では1L当たり107円くらいとして、ガソリン税がなければわずか53円。ガソリン価格に占めるガソリン税の割合が50%を超えるのだ。

このように「元・道路特定財源」だった自動車関連の税金は、今でもクルマの所有者に重圧を与え続けている。東京都は輸入車の販売台数が全国で最も多く、軽自動車の世帯当たり普及率は最下位だ。

だから永田町や霞ケ関からは、日本のクルマ社会の真実は見えない。もう少しいろいろな地域に目を向けて、「クルマのユーザーから多額の税金を徴収してやろう」という浅はかな魂胆は捨てて欲しい。

また、メーカーのロビー活動も重要だ。アンダーテーブルで政治と老猾に話を進めるのが良いとはいわないが、メーカーの首脳陣は、もう少し国内の市場と販売に本気になって欲しい。

今の日本メーカーは世界生産台数の80%以上を海外で販売しており、国内市場の優先順位が下がった。これも矛盾のある自動車税制の遠因になっていると思う。

今ではいわゆる新興国も自動車の開発力を急速に高め、所得も増加傾向にある。日本のメーカーが今後も継続的に海外市場で都合良く稼げるとは限らない。

国もメーカーも、もっと日本のユーザーを、日本の市場を大切にすべきだ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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