結局は“増税”「自動車取得税の廃止」は嘘!消費税10%の2017年4月からクルマ関連の税負担は確実に増える!(2/3)

結局は“増税”「自動車取得税の廃止」は嘘!消費税10%の2017年4月からクルマ関連の税負担は確実に増える!
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今のままでは、減税車に偏った売れ方は是正されない

ちなみに今の売れ筋車種は大半がエコカー減税の対象に入り、ハイブリッド車のトヨタアクアやトヨタ プリウスなどは免税になる。

スズキ アルト

新車販売されるクルマの38~40%を占める軽自動車も、スズキ ワゴンR/スペーシア/アルト、ダイハツムーヴ/キャスト/ミライースなどは、いずれも免税だから取得税を納めていない。

となれば2017年4月1日以降は、2%の消費増税分が丸々上乗せされてしまう車種が多い。そして「環境性能割税率」を導入しないで自動車取得税を単純に廃止すれば、今のエコカー減税車に偏った売れ方が多少は是正されただろう。

トヨタ ウィッシュ

例えばトヨタ ウィッシュは、平成27年度燃費基準は達成していて、以前はエコカー減税の対象だったが、2015年4月1日に新しい減税基準になってからは対象外になった。減税の最低ラインが平成27年度燃費基準+5%になり、ウィッシュは達成できなかったからだ。

売れ筋の1.8X(190万5709円)で4万7600円の自動車取得税を徴収され、売れ行きも大幅に下がった。

こういったエコカー減税に漏れた車種の売れ行きが、消費増税に伴って不利が薄れて持ち直すことも予想されたが、「環境性能割税率」が施行されれば変化はない。

国のやり方は、はっきり言って「嘘つき」だ

それにしても、国のやり方は「嘘つき」だろう。

「約束通り自動車取得税は廃止します。その代わり(名称を変えて)環境性能割税率を導入します」では、約束を破ったことになって納得できない。

過去を振り返れば、自動車取得税/同重量税/ガソリン税(揮発油税と地方揮発油税)は、いずれも1970年前後に道路建設に充てるための「道路特定財源」として徴収が開始された。

道路建設で恩恵を受けるのはクルマの所有者だから、そこから税金を徴収する「受益者負担」の考え方に基づいていた。しかし「道路特定財源」制度は2009年に廃止されて一般財源になり、すでに課税の根拠を失っている。

そのために自動車業界は以前から廃止を求めていて、自動車重量税とガソリン税は譲歩しても「自動車取得税は消費税が10%になった段階で廃止」とされた。それなのに自動車取得税すらも、稚拙に名前を変えて存続することになった。

また自動車税を含めてクルマ関連の税金は分かりにくいから、抜本的に自動車税制を見直す考え方もあったが、「平成28年度/国土交通省税制改正概要」にはまったく反映されていない。

この点を国土交通省に尋ねると「平成28年度/国土交通省税制改正概要に盛り込まれたのは、自動車取得税を廃止して環境性能割税率に変更するにとどまる。自動車税、自動車重量税などは平成29年度に検討される可能性もある」とのことだが、環境性能割税率が盛り込まれた以上、抜本的な減税はあり得ないだろう。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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