FRにこだわってきたBMWが「FF」に方向転換したワケ(3/4)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:和田清志
FF化による走りの面でのメリット/デメリットは?
山本:振り返ってみると、BMWが初採用した装備やアイテムはたくさんあります。
P・H:例えば、新型7シリーズはジェスチャーコントロール、リモートコントロールパーキング、レーザーライト、カーボン複合ボディなどの先進アイテムを採用していますが、近い将来BMWラインナップにも水平展開されるでしょう。BMWはそれぞれの世代で新技術を先駆けて投入してきた実績があります。iDriveなどインターフェイスやナビゲーション、業界の標準になった物もたくさんあると思いますよ。
山本:ちなみにFFモデルでは最も新しいX1は、現在世界的なトレンドとなっているクロスオーバー市場に投入したモデルですが、ライバルも多いと思います。X1の強みはどこにあると考えていますか?
P・H:BMWはSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼んでいますが、世界で人気を博しています。ちなみに初代X1はグローバルで73万台を超えるヒットモデルで、日本の若い世代にも人気が高いです。2代目は全長が短くなっていますが、全幅と全高は高くしています。これにより、他のXモデルと共通のプロポーションを維持しています。一方、インテリアは高品質はもちろんですが、FF化によりスペースが取れるようになったので、後席の居住性も大きくアップ、ラゲッジも大容量を確保しています。エンジンも環境性能を下げながらパフォーマンスを引き上げています。
山本:FF化のメリットは室内空間の広さだと思いますが、走りの面でのメリット/デメリットはどうでしょうか?
P・H:BMWはこれまでFRにこだわってきましたが、エンジニアリング的にはFFでもダイナミックな走行が可能であることも確認しており、それはミニが証明しています。なので、FF化のデメリットはありません。むしろバランスのいいクルマに仕上がっているので、普通に運転している限りはFFなのかFRなのか解らないでしょう。どのモデルもBMWの“運転する喜び”はあります。
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