【コラム】 海外偏重に陥った日本車の開発姿勢/渡辺陽一郎(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
日本車なのに「国内で売れない」
自販連や全軽自協から毎月発表される月別の新車販売台数ランキングを集計してみると、最近では軽自動車が4割以上を占めている。
販売ランキングの上位にも軽自動車が多く、そのほかは5ナンバーサイズのコンパクトカーとミニバンが目立つ。エンジンは、1.5~2リッター搭載車が中心。2リッターを超えるエンジンを積んだ3ナンバー車はトヨタ ヴェルファイアとハリアーくらいだ。
しかし、1ヶ月の販売台数が1,000台に満たないランキングの中堅から下位には、2.4リッター以上の3ナンバー車が多い。
売れ行きが伸び悩む大型車の多くは、海外向けに開発されている。世界販売台数の内、国内で売られている比率が10%以下の車種も少なくない。こういったクルマが相手にしている市場は北米や中国。「日本はオマケ」といえるだろう。
そこで2013年における各メーカーの世界生産台数に占める国内販売の比率を見ると、トヨタ/ホンダ/マツダの3メーカーが総生産台数に占める国内の販売比率は約18%。日産は約14%にまで下がる。
上記の国内販売台数にはOEM供給される軽自動車も含まれるから、日産やマツダは自社生産に限れば国内比率はさらに低くなる。つまり、今の日本車メーカーの多くは海外で生計を立てており、国内市場の依存度は20%以下となっているのが実情だ。
その結果、「海外向けに開発された国内で売れない日本車」が増えてしまった。
日本のユーザーをターゲットに開発された新型クラウンは販売好調
このことは、日本向けに開発された「トヨタ クラウン」の売れ行きを見ても分かる。
クラウンは2リッターを超えるエンジンを積んだ3ナンバーセダンで、今の日本では売りにくいジャンルのはずだ。だが、1ヶ月の販売台数は3,000~5,000台に達し、レクサス ISの4~5倍の販売数を誇る。
レクサスの店舗数がクラウンを扱うトヨタ店の20%以下という販売網の違いもあるが、たとえ高価格のLサイズセダンでも、日本のユーザーを対象に開発すれば堅調に売れる。
クルマという商品は移動のためのツールでありながら、デザインから操作性に至るまで、ユーザーの感覚的な評価が売れ行きを左右する。
例えば狭い道に路上駐車しているクルマがあった時、「ドアミラーを畳めば通過できる」といった判断をすることがあるだろう。
この時にはドライバーの肩幅が、車両の全幅と同化している。「人馬一体」はスポーティ走行に限らず、運転中は常に生じていることだ。
一体感を伴うクルマは、理屈では割り切れない商品で、ユーザーは自分に向けて開発されたか否かを鋭敏に感じ取る。たとえ机上の計算で国内市場に合っていると判断されても、開発者の気持ちが日本のユーザーに向いていないと、国内で売れ行きを伸ばすことはできない。
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