ahead 1月号- 初代「レガシィ」を継承する「レヴォーグ」
- 筆者:
ビジネスを考えれば北米マーケットの要望は無視できない。しかしそれでは、これまでレガシィを愛し続けてきてくれた日本のユーザーに背を向けることになってしまう…。そんな葛藤がスバルに大きな決断をさせた。われわれは、レガシィとは別に、日本の市場環境にマッチした新しい車種をつくるべきだと。
そしてレヴォーグが生まれた。
スバルがレヴォーグをつくるに至ったのには、ボディサイズ以外にもワケがある。SUV人気が高い北米ではステーションワゴンの需要が少なく、次期型レガシィではツーリングワゴンの設定がなくなるのだ。
多くの販売台数を期待できない国内専用モデルを開発するのは経営的なリスクが大きい。しかし、サイズが大きくなりすぎるばかりか、伝統のツーリングワゴンさえ消滅してしまうという事態を迎えたことが、スバルの決意を後押ししたのだろう。
パワートレーンは2種類。いずれも水平対向4気筒直噴ターボ(DIT)で、レガシィがすでに搭載している2Lに加え、新開発の1.6Lを用意した。パフォーマンスDITと呼ばれる2Lが300psの高出力タイプであるのに対し、インテリジェントDITと呼ばれる1.6Lの持ち味は環境性能だ。最高出力は170psと控えめだが、JC08モード燃費は2Lターボより30%以上優秀な17.4㎞/Lをマークする。
伸びやかさと立体感を併せもつエクステリアデザインや、細部にまでこだわった上質なインテリアも見どころだ。僕としてはレガシィ・ツーリングワゴンの実質的な後継モデルに相応しい仕上がりだと感じた。
走りに関しても、インプレッサをベースにしつつ、1クラス上の車格に相応しい専用チューニングが施されている。スバルのことだ。きっと、高い安心感に裏打ちされた奥行きのあるドライビングプレジャーを提供してくれるだろう。発売は春の予定。試乗するのが楽しみだ。
Text:岡崎五朗
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