MOTAトップ ニュース/記事 特集 特別企画 社長に訊く ~トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男~ page01

国沢光宏
Q
厳しい質問になります。アメリカ『IIHS』のスモールオーバーラップ試験(通常のオフセット衝突よりさらに条件の悪い衝突モード)で厳しい評価を受けたり、自動停止ブレーキで遅れを取ったりしています。
豊田社長
一時期「日本のメーカーなんだから日本の方針でクルマを作る」という流れになりました。衝突安全性も自動ブレーキも含まれます。その時に少し自信を持ちすぎた、と考えています。今は大きく方向転換し、アメリカの人にもヨーロッパの人にも、もちろん日本の人にも安心して頂けるようなクルマ作りを始めています。もう少しだけお待ちください。
国沢光宏
Q
章男さんは自工会の会長でもあります。東京モーターショー2013にどういう方向性を持たせようとしているのでしょう?
豊田社長
モーターショーというと、どこの国でもそうなんですが「静」です。クルマを並べて置くだけが多いと思います。今回は「お台場モーターフェス」などを近隣の施設で行い、クルマを動かしたいと思っています。「静」と「動」を組み合わせたハイブリッドモーターショーです。もう一つは日本の技術や存在感、将来の姿をアピールしたいです。
国沢光宏
Q
一度お聞きしたいと思っていたことですが、章男さんのような立場になると、皆さん良いことばかりしか言わなくなるような気がします。どうやって情報を仕入れているのでしょうか?
豊田社長
的確な情報の必要性は十分認識しています。例えばフェイスブックですね。もちろん無制限にお友達を作ると収集がつかなくなりますが(笑)、基本的に垣根を作っていません。移動の時間も多いので、頻繁にチェックします。”友達の友達”などのコメントは幅広い人の意見ですから、いろんな情報を得られます。
国沢光宏
Q
章男さんのフェイスブックは人気ですよね。いつも盛り上がっています。
豊田社長
それと自動車雑誌や新聞、TVなどで情報を仕入れ、判断しています。会社から入ってくる情報や報告はあまりあてにしてない。むしろ会社の報告は現実社会とのギャップを見るために読みますね(笑)。そういった意味では普通の企業のトップと違うかもしれません。これもアメリカで起きた品質問題の反省からきています。私に伝わる情報は3か月遅れだったんですから。今は相当早いと思ってます。
国沢光宏
Q
ラリーの時など囲まれているシーンをよく見ます。章男さんほど普通のクルマ好きの間で人気のある自動車メーカーのトップは見たことがありません。
豊田社長
もっともっと応援される企業になりたいと思っています。新聞記者に囲まれるトップは多いでしょうけど、クルマ好きの皆さんからサインをせがまれるトップは珍しいでしょう。社内からは好きでレースやラリーに出ているんじゃないか、と言われますがトヨタのためなんです(笑)。断じて(笑)。ちなみに先日の新城ラリーもアメリカから帰ってきた次の日ですから辛い”業務”でしたね。
そういえば国沢さん、電気自動車での初優勝、おめでとうございます!
国沢光宏
Q
新城ラリーのコースは超ハードだったんじゃなかったでしょうか?特に『Ganpo』と呼ばれるタイトでツイスティなコースは。コースアウトしたら谷に落ちる。世界レベルで見ても難易度が高いSSです。なぜラリーに出るようになったのでしょう。
豊田社長
昨年5月にあったお台場のイベントで国沢さん達にラリー車に乗せられた上、私にドーナツターンやらせ、出来ないからと場内アナウンスでからかったじゃないですか。あれがきっかけですよ。今やテストコースで行う86でのドーナツターンは私の得意技になりました。先日、役員懇親会でやりましたからね。奥様方も乗せちゃったんです(笑)。
国沢光宏
Q
このあと、恒例の趣味の質問をしようとしたのですが、もうモータースポーツの話でとりとめがなくなり時間切れです。趣味はクルマということでOKかと思います。新城ラリーでは大村愛知県知事を隣に乗せてドーナツターンをやったり、中国まで「愛機の86」を持って行って要人を乗せて驚かせたりと大暴れしているとのこと。いやはやなんとも。

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トヨタ自動車 株式会社 代表取締役社長 豊田 章男(トヨダ アキオ)
1984年4月

トヨタ自動車株式会社 入社

1998年4月

ニューユナイテッド モーターマニュファクチャリング株式会社 出向

2000年1月

トヨタ自動車株式会社 Gazoo事業部主査

2000年6月

同社 取締役 就任

2001年6月

同社 アジア本部本部長

2002年6月

同社 常務取締役 就任

2003年6月

同社 専務取締役 就任

2005年1月

同社 豪亜中近東本部本部長

2005年1月

同社 中国本部本部長

2005年6月

同社 取締役副社長 就任

2005年6月

同社 情報事業本部本部長

2009年6月

同社 取締役社長 就任

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