autoc-one.jp 記事・レポート 特集 特別企画 社長に訊く ~プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社 代表取締役社長 上野国久~

国沢光宏
Q
上野さんはホンダという日本の企業と、ドイツの精神みたいなVW、そして『PSA』(プジョー・シトロエン・グループ)というフランスの企業と深く付き合ってきた経験をお持ちです。フランス人と働くのはいかがですか。
上野社長
やはり”独特”ですね!でも日本と同じような傾向があります。例えば仕事をする際、日本は「暗黙の了解」の領域が大きいですが、ドイツはそこが非常に小さい。ルールを明文化しなくちゃならないんです。フランスも日本と同じで「暗黙の了解」部分が多いんですね。
国沢光宏
Q
ユーザーに関係することで言えば、どんなことでしょうか?
上野社長
例えばワランティ(保証)ですね。本来なら保証の範囲じゃないような場合であっても、使い方に問題がなかったり、キチンと点検を受けていたような時は通しましょう、みたいなことが少なくないです。けれど明文化すると融通が利かなくなる。明文化されていないと仕事の進め方が属人的になることがあります。お客様とは関係無いですけれど、フランス人と仕事をしていると「俺がダメだと言ってるんだからダメだ!」となることもあります(笑)。
国沢光宏
Q
それは気分ですか?空気ですか?
上野社長
どちらもあるでしょうね(笑)。Aという質問や問題に対する明確な答えは無い、ということでしょうか。加えてフランス人は失敗したからといって、謝ると言うこともしないですね。
国沢光宏
Q
上野さんの話を聞いているとウワサ通りフランス人って付き合い難い感じがします。
上野社長
それがそうでもないんです。フランス人はとても付き合いやすいですね。仕事になると話が違ってきますけど‥‥。ただ彼らの「暗黙の了解」の解釈と、日本の「暗黙の了解」の解釈がけっこう違うので大変です。(笑)
国沢光宏
Q
プジョーとシトロエンは欧州ではライバル関係のブランドだと思います。イメージも明確に分けようとしています。日本だとなぜか同じ会社で売っている(笑)。
上野社長
そうですね。日本では2008年に両ブランドを一括して扱うようになるのですが、日本以外の国はプジョーとシトロエンを明確に分けています。私は一緒になるまでプジョー側に居たこともありシトロエン本社へ研修に行ったのですけれど、会社の雰囲気からして全然違うんですね。プジョーより元気が良かったです。ただ直近の数年はヨーロッパでも「プジョーもシトロエンも一緒にやろうよ」という流れになってきました。ところが今年になって、また距離を置こうという動きも出ている。(笑)
国沢光宏
Q
少し厳しい質問ですけれど、PSAはヨーロッパで非常に辛い財政事情にあるようですが
上野社長
2015年に回復するという目標を立てています。現在の欧州市場の状況は非常に厳しいため、海外市場で頑張ろうという動きになっていて、具体的には中国、南米、ロシアの比率を高めようとしている。だからといって特別に新しい商品があるということではなく、今のラインナップで頑張れ、という状況です。
国沢光宏
Q
日本でも売って欲しいのだけれど、これといったスペシャルはない、ということでしょうか?その割に日本は好調です。
上野社長
会議で製品などのリクエストをしても「そうだな。そうだな」と言ってくれるのですが、これといった新しい展開は出てこないです。現在のプジョー7千台とシトロエン4千台という販売台数は、もう少し伸ばしたいですね。とは言えそこから大きく台数を上乗せしようと思っているかとなれば、そうでもない。
国沢光宏
Q
伸ばすためのPR戦略についてお聞きしたいと思います。今年はパイクスピークでローブがブッチ切りで勝っているけれど、モータースポーツでの活躍振りがイマイチ上手に伝わっていないような気がします。
上野社長
日本ではモータースポーツの影響があまりないということだと思っています。若者の話題にならないんですね。田嶋さんがパイクスピークで7連勝してもみんな知らない。シトロエンは来年WTCCに出るのですが、これも難しいと考えます。
国沢光宏
Q
PSAが得意としているモータースポーツの効果が無いとなれば、どんなことをPRのツールにしていくつもりでしょう?
上野社長
TVなどでCMを流してプッシュしても効果が薄いと考えています。幸いあまり熱心にならなくても日本くらいの大きさのマーケットだと1万台から1万5千台の台数であれば売れる台数なんですね、東阪名など輸入車のシェアが大きい地域だと、ディーラーにお客さんがおいでになります。
国沢光宏
Q
そうはいってもナニもしていないワケじゃないと思います。
上野社長
一番効くのはショッピングモールなどのイベントですね。やはり人が集まってくれます。実車を見て貰うというのも重要です。大きな都市を除けば、ディーラーで待っていても来店して頂けないですから。プジョーは高価だと思われているらしく、200万円ですよ、というと驚いてくれます。

1

2

次へ

次のページへ >>

「社長に訊く」バックナンバー