近年のミニバンは、モデルチェンジとともに走りに進化が伺えるものですが、そんな背が高く大きなボディを持つミニバンこそ、タイヤが与える効果というものは、とても大きいものです。
街中~高速道路~ワインディングロードと様々なシーンでこのタイヤを試乗しました。
トランパスmpFはドッシリとした安定感と乗り心地の良さ、そして静粛性の高さに優れ、専用開発の恩恵がとにかくわかりやすいのが特長です。
試乗車はフォルクスワーゲンのシャラン1.4Lターボエンジンに7速DSGを組み合わせたハイライン。ターボを搭載するダウンサイジング系小排気量エンジンは、トルクがあるために低回転でシフトアップさせてもスムーズ。そして燃費性能、静粛性と、ともに優れており、見た目のサイズ感からは想像すらできない機敏なハンドリング性能が、ボディ剛性の高さと相まってダイレクトに感じられるクルマです。
そんなシャランにトランパスmpFを履かせると、ドイツ車らしい高い剛性感はもちろん、ハンドリングの応答性もさらに高まります。
高速道路ではクルマが“グングン”と真っ直ぐ走ろうとする意志が強まったのでは?と思える安定した直進性が感じられ、車線変更では“スッ”と、車体のぐらつきを感じさせずに決まる様子が、手元やお尻、背中で感じることができます。つまりはステアリングからの情報量の多さが、足元をさらに引き締めたと感じさせ、より“頼もしさ”というものを与えてくれるタイヤです。
山間部のワインディングでは、シャランのボディサイズや重い車重感を忘れてしまうくらいの軽快なハンドリングや、思い通りのラインを描ける走りによって、そもそもの基本性能の高さをあからさまに印象付けてくれました。
カーブでイメージ通りにミニバンが走ってくれることは、ドライバーのみならず同乗者にとってもやはり気持ちはいいもの。みなさんが気になる乗り心地の良さは、段差を通過する際の“ドタンッ”という下からの衝撃が丸く穏やかに感じられたことをはじめ、タイヤの上に座席がある3列目シートの乗り心地にも不快を得ませんでした。
おかげで剛健なシャランの乗り味に幾分シットリ感が生まれ、ドライブの質を高めてくれたように感じました。
気になる燃費に関しては、街中(東京田町~世田谷区用賀)で11.1km/L、高速道路(東名用賀IC~小田原西IC)では13.5km/Lという、カタログ数値とほぼ同じ結果となりました。
また、3列目と言えば、1列目に座る人の話し声があまり聞こえないという、なんとも疎外感のようなものを感じるポジション。しかしトランパスmpFならば、そんな心配は無用です。タイヤノイズを感じさせない静粛性の高さは、1列目と3列目の会話をスムーズにしてくれるなど、同乗者にとっても嬉しいポイントが備わり、ますますこのタイヤの完成度の高さを目の当たりにしました。