【DESIGNER’S ROOM】トヨタ 新型 クラウン デザイナーインタビュー/トヨタデザイン部 グループ長 藤吉 正一(3/4)

  • 筆者: 森口 将之
  • カメラマン:オートックワン編集部・茂呂幸正・トヨタ自動車
【DESIGNER’S ROOM】トヨタ 新型 クラウン デザイナーインタビュー/トヨタデザイン部 グループ長 藤吉 正一
トヨタデザイン部 グループ長 藤吉 正一さん トヨタ 14代目 新型 クラウン「ReBORN」 トヨタ 14代目 新型 クラウン発表会で話題を呼んだ「ピンクのクラウン」 トヨタ 14代目 新型 クラウン ロイヤル 専用設計のフロントフェンダー トヨタ 14代目 新型 クラウン アスリート専用フロントフェンダー トヨタ 14代目 新型 クラウン ボディサイドのフォルム トヨタ 14代目 新型 クラウン ロイヤル リアコンビランプ トヨタ 14代目 新型 クラウン アスリート リアコンビランプ トヨタ 14代目 新型 クラウン ロイヤル(左奥)/クラウン アスリート(手前・右) トヨタ 14代目 新型 クラウン アスリート トヨタ 新型クラウン チーフデザイナー 藤吉正一さんがオススメするボディカラー:ダークレッドマイカメタリック 画像ギャラリーはこちら

有機的なフォルムを生み出す面構成の秘密

トヨタ 14代目 新型 クラウン ボディサイドのフォルム

AO:サイドのキャラクターラインがピシッと立っているような気がしたのですが。

F:断面を変えているのです。旧型ではキャラクターラインの下を膨らませる断面でしたが、新型では張りの強い面にしました。その分キャラクターラインが外側に出たので、上は水平に近い面として、フェンダーの面とつなげ、オーガニックな雰囲気を強調したのです。

すぐ下のドアハンドルの部分に、手を入れるための窪みをあとからプレスするので歪みが出やすいのですが、生産技術のほうで工夫をしてくれて、スムーズな成形ができました。この点もリスクを恐れず攻めた結果だと思っています。

クラウンならではの要件を満たしながらもスポーティなフォルムを実現

【DESIGNER’S ROOM】トヨタ 新型 クラウン デザイナーインタビュー/トヨタデザイン部 グループ長 藤吉 正一トヨタ 14代目 新型 クラウン ロイヤル リア周り

AO:リアはクラウンとしてはかなり絞り込まれている印象を受けます。

F:絞り込んであるように見せているのです。前後フェンダー間のパネルが、少し内側にくびれていて、それが後輪のところで一度全幅に戻り、また絞り込んでいるので、そう見えるのです。

ただオーナーさんのコメントでは、友達といっしょにゴルフに行くという方がやはり多かったので、ゴルフバッグを4セット積めることはマストでした。しかも今回はハイブリッドでも4個積めるように工夫しています。だから絞り込んでいても、リッドの開口幅は維持しています。ゴルフバッグ積み降ろしのテストは10回以上繰り返しました。このあたりがクラウンらしさではないでしょうか。

1800mmという限られた車幅の中で、フェンダーの張り出し感やタイヤとのツライチ感を出すため、新型クラウンではフェンダーアーチの端のヘムフランジをやや内側に曲げている。

AO:リアフェンダーにも凝った造形を入れたとのことですが。

F:全幅は国内のタワーパーキングを考えて、1800㎜に抑えました。クラウンは日本生まれ日本育ちですから、ここを外してはいけません。その中でトレッドを10㎜拡大しましたが、それ以上の張り出し感を出すために、フェンダーアーチの端のヘムフランジをやや内側に曲げています。

生産技術部門の部長たちを集めて、ヘムフランジが垂直のものと、やや内側に曲げたものを見比べてもらって、効果を実感してもらい、生産化の承諾をもらいました。

リアランプの細部にまで宿るこだわり

トヨタ 14代目 新型 クラウン ロイヤル リアコンビランプトヨタ 14代目 新型 クラウン アスリート リアコンビランプ

AO:リアコンビランプについて工夫した点を教えてください。

F:ロイヤルは赤い部分をすべてLED化しました。その上で光輝部分とそれ以外の部分のメリハリを出して、鳥が翼を広げたような雰囲気を出しました。

これを表現するために、リフレクターをバンパーに移動させるとともに、ウインカーとバックアップランプを下に収めて、赤と白というシンプルなコンビネーションにしています。

一方のアスリートは、旧型に続いて丸形を採用しています。86もそうですが、トヨタのスポーツモデルは丸型でアグレッシブさを表現しているモデルがいくつかあります。ただ今回は上端を斜めにカットして、鷹や鷲など猛禽類の鋭い眼光を表現しました。

インテリアにも見え隠れする伝統と革新の融合

トヨタ 14代目 新型 クラウン ロイヤル インテリア

AO:インテリアは別の方が担当されたとのことですが、エクステリアデザインと関連している部分はあるのでしょうか。

F:Aピラーを立てたことに合わせて、インパネ上面のラインを緩くカーブさせました。

クルマというのは左右に揺れながら走るものですが、このラインを直線にすると、揺れが大きく感じるのです。でもカーブしていれば揺れは目立ちません。

造形的なテーマでは、包む、重なる、表裏など、日本の伝統的なテーマを取り入れながら、マルチオペレーションタッチを採用することで、トヨタ車でいちばん多いんじゃないかと言われていたスイッチ類を整理できました。伝統と革新をうまく融合させたと思っています。

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

トヨタ クラウンロイヤルの最新自動車ニュース/記事

トヨタのカタログ情報 トヨタ クラウンロイヤルのカタログ情報 トヨタの中古車検索 トヨタ クラウンロイヤルの中古車検索 トヨタの記事一覧 トヨタ クラウンロイヤルの記事一覧 トヨタのニュース一覧 トヨタ クラウンロイヤルのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる