トヨタ 安全技術説明会2012 イベントレポート/森口将之(2/2)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:オートックワン編集部
高い速度域での追突に対応!「衝突回避支援型プリクラッシュセーフティシステム(PCS)」
次にテストしたのは衝突支援回避システム。
といっても今までの「ぶつからないクルマ」とはちょっと違う。追突事故の90%以上に対応するというのだ。
トヨタの調査によれば、交通事故の34%が追突事故であり、その90%は前車との速度差が60km/h以下で起きているという。そこでプリクラッシュセーフティシステム(PCS)を改良。ブレーキアシストに最大60㎞/hの減速を行わせつつ、15~30km/hの減速を行う自動ブレーキを組み合わせた。
こちらも来月発売の新型セダンに搭載されるそうで、それを予感させるクラウンでテスト。ランドクルーザーに吊るされて徐行するバリア目がけ、70km/hで突進していく。
バリアに近づくと、まず警報と光で注意された。そこでブレーキに足を乗せると、踏力に比べて明確に強力な減速が始まり、その力が3段階に強まっていって、結局バリアにぶつからず止まることができた。
道路とクルマ、クルマとクルマ間で相互通信することにより交差点での事故を減らす「ITS技術」
さらに今回の説明会では、会場となった静岡県の東富士研究所に新設された「ITS実験場」も、助手席でチェックできた。
教習所のコースを思わせる広さ3.5haの敷地内に、昨年末にITS用に割り当てられた旧アナログテレビ用の700MHzの電波を使い、検知装置や通信装置などを設置したものだ。
まずは交差点からの情報を用いた「路車間通信」を試す。赤信号の交差点に進入しようとすると、車載モニターに赤信号が表示される。一旦停止し、青信号になったところで右折しようとすると、対向車や横断歩行者の存在を、音と光で教えてくれる。
続いては見通しの悪い交差点で「車車間通信」を確認。T字路で左折しようとすると、右側から来るクルマを、やはり音と光で伝えてくれた。
どちらも有意義なシステムだが、両方を装備するとなるとお金も時間も掛かる。個人的にはインフラ整備による「路車間」をメインにしたほうが良いと思った。「車車間」ではクルマしか対象にならないからだ。
道路はクルマだけのものではない。自転車や歩行者もいる。すべての利用者にとって安全なシステムこそ、理想のモビリティ社会と呼べるのではないかと思った。
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