トヨタマーケティングジャパン スポーツカーカルチャー推進グループ 喜馬克治 インタビュー(4/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦
スポーツカーの健全な姿を定着させたい
スポーツカーカルチャーを語るメッセージ文の最後に、『ハチロク。トヨタが、そして日本の大人たちが、長いあいだ忘れていたこと』と締めくくっている。なぜ、そのように自戒の念のようなコピーでメッセージを締めくくったのか?
【喜馬克治】この言葉が出てきた原点は、豊田章男社長が社長に就任する直前に「いいクルマを作りたい」との発言をうけてのことです。良いクルマではなく、いいクルマ。 そこにはいろいろな意味が含まれていると思いますが、そのなかに楽しいクルマがあると思ったのです。
しかし、ではなぜ楽しいクルマができなかったのかと言えば、それは、作る側や売る側がクルマの楽しさを忘れていたからであると豊田章男社長は説いたのです。
こうして、86を作る過程において、たとえ難しい課題があったとしても、作り手が楽しいと思えるクルマを出そう、やり遂げようとしてきました。
さらに、トヨタがクルマの作り方を変えるだけではなく、個人が、ルールのなかでもっと自立して良し悪しを作っていこうと立ち上がらないと日本の生活はよくならないだろうと思いはじめていて、その人たちがスポーツカーを待望し、スポーツカーの良さも悪さも見極めて、スポーツカーを普及していく仲間となって一緒にやって行こうと考えたときに、このセンテンスが出てきて、コピーライターと一緒に作ったのです。
「ショップ」については、カルチャーをサポートする拠点として、たとえばコーヒーショップのマスターのように、地域にあったスポーツカーカルチャーをアレンジしていく人、マスタースタッフを置いています。
そして、協業ということで、他業種の企業にも参加していただき、スポーツカーカルチャーをライフスタイルとして、アパレルや、バッグ、自転車など、グッズ開発との「コラボレーション」があります。
これらをプロローグと言うのは、本来はトヨタが定義することではなく、自立した大人が作るのがカルチャーであって、これはカルチャーサービスのプロトタイプと位置付けているからです。対話を重ねながら、日本にとってのスポーツカーカルチャーを作っていきたいですね。
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